コールドマウンテン＠映画の森てんこ森

コールドマウンテン

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コールドマウンテン　(2003)

COLD MOUNTAIN

　映画『コールドマウンテン　(2003) COLD MOUNTAIN 』をレヴュー紹介します。『コールドマウンテン　(2003) COLD MOUNTAIN 』は 2004/01/28 の時点では邦題は分からなかったので「コールド・マウンテン」としておいたら『コールドマウンテン』と決まった。

■映画『コールドマウンテン　(2003) COLD MOUNTAIN 』のポスター、予告編および映画データ
■映画『コールドマウンテン　(2003) COLD MOUNTAIN 』の解説
　ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『コールドマウンテン　(2003) COLD MOUNTAIN 』の原作とタイトル
■映画『コールドマウンテン　(2003) COLD MOUNTAIN 』の受賞
■映画『コールドマウンテン　(2003) COLD MOUNTAIN 』の主なスタッフ
■映画『コールドマウンテン　(2003) COLD MOUNTAIN 』のスタッフとキャスト
■映画『コールドマウンテン　(2003) COLD MOUNTAIN 』の＜もっと詳しく＞
　＜もっと詳しく＞は映画『コールドマウンテン』の「テキストによる映画の再現」レヴュー（あらすじとネタバレ）です。※ご注意：映画『コールドマウンテン　(2003) COLD MOUNTAIN 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『コールドマウンテン　(2003) COLD MOUNTAIN 』の結末
■映画『コールドマウンテン　(2003) COLD MOUNTAIN 』の更新記録

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■映画『コールドマウンテン　(2003) COLD MOUNTAIN 』更新記録
　※2004/01/28　「読む映画試写会　解説」を「観たい度映画」として紹介した。
　※2004/02/28　本ページ「読む映画試写会　レヴュー」として全ストーリー（ネタばれ含む）を書いた。

幸の鑑賞評価：８つ星　

コールドマウンテン
コールドマウンテン

Links:	Official Web Site
Trailers:	Quick Time 56K Quick Time 100K Quick Time 300K

上映時間 Runtime：	2:35
製作国 Country：	アメリカ USA
製作会社 Production Company：	Miramax Films [us] Bona Fide Productions Mirage Enterprises [us]
全米配給会社 Distributer：	Miramax Films [us]
全米初公開 Release Date：	2003/12/25
日本初公開 R. D. in Japan：	2004/04/24
日本公開情報：	東宝東和
ジャンル Genre：	ドラマ／戦争／ロマンス Drama / War / Romance
MPAA Rating 指定：	Rated R for violence & sexuality.
日本語公式サイト
http://www.coldmountain.jp/

●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.

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■映画『コールドマウンテン　(2003) COLD MOUNTAIN 』の解説

　『コールドマウンテン』は 2004/01/28 の時点で日本公開は未定のようだったので解説は書いていなかったが、この『コールドマウンテン　(2003) COLD MOUNTAIN 』が第61回ゴールデングローブ賞 Golden Globe Awards で輝かしい成果を収めたので急いで調べた。『コールドマウンテン』のレニー・ゼルウィガーがゴールデングローブの助演女優賞を獲得。彼女の作品は『ベティ・サイズモア　(2000) NURSE BETTY 』『ブリジット・ジョーンズの日記　(2001) BRIDGET JONES'S DIARY 』『シカゴ　(2002) CHICAGO 』『恋は邪魔者　(2003) DOWN WITH LOVE 』『ブリジット・ジョーンズの日記　きれそうなわたしの12カ月　(2004) BRIDGET JONES: THE EDGE OF REASON 』等。レニー・ゼルウィガーは受賞の壇上から＜アンソニー・ミンゲラは私のヒーロー」と監督を称賛。「あなたが一緒に仕事をしようと連絡してくれるのを、ずっと待ってたんですよ」と感謝した。また共演者のニコール・キッドマンとジュード・ロウに向けては、「お二人と一緒に納屋の掃除を出来て、光栄でした」と語った。（CNN co.jp - エンタテイメント CNN/AP通信）＞そうだ。

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■映画『コールドマウンテン　(2003) COLD MOUNTAIN 』の原作とタイトル

　『コールドマウンテン』はチャールズ・フレイジャーの最初の小説「Cold Mountain (1997) 」の映画化だ。映画と同タイトルの小説は、米国で最も権威のある「全米図書賞 National Book Award 」に輝いており、映画の方はラブ・ストーリーに戦争の悲劇を加えて大スケールで見せてくれる。ミラマックスはこの映画『コールドマウンテン』に $83,000,000 （＄１＝￥ 110 換算で91億3千万円）という巨額な制作費をかけている。出演している俳優たちも有名な人が多い。

　『コールドマウンテン』のタイトルの由来は、ジュード・ロウ扮する脱走兵が恋人ニコール・キッドマンの待つ故郷コールドマウンテン（コールド・マウンテン）を目指すストーリーだからだ。英語のキャッチコピーは"Find Your Way Home （故郷への帰り道を見つけろ）"或いは"Find the strength. Find the courage. No matter what it takes... find the way home. （力を見つけろ。勇気を見つけろ。たとえ何があろうと…故郷への帰り道を見つけろ。）"という。日本の公開時コピーは「それは、千億の山と谷を越えて、あなたへと続く帰り道。」

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■映画『コールドマウンテン　(2003) COLD MOUNTAIN 』の受賞
　『コールドマウンテン』は第61回ゴールデングローブ賞 Golden Globe Awardsで上記解説のようにレニー・ゼルウィガーが助演女優賞に輝いた他、作品賞［ドラマ部門］、
ジュード・ロウが主演男優賞［ドラマ部門］、

監督・脚本のアンソニー・ミンゲラ（
『イングリッシュ・ペイシェント　(1996) THE ENGLISH PATIENT 』
『マレーナ　(2000) MALENA 』『アイリス　(2001) IRIS 』
『愛の落日　(2002) THE QUIET AMERICAN 』等）が脚本賞、

ガブリエル・ヤーレ（
『カミーユ・クローデル　(1988) CAMILLE CLAUDEL 』
『抱擁　(2002) POSSESSION 』
『トロイ　(2004) TROY 』等）が音楽賞など、ノミネートも多かった。

　『コールドマウンテン』はまた、第76回アカデミー賞 Academy Award Awards でも助演女優賞をレニー・ゼルウィガーが獲得したし、６部門でノミネートもされた。

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■映画『コールドマウンテン　(2003) COLD MOUNTAIN 』の主なスタッフ

　『コールドマウンテン』の音楽は、上記ガブリエル・ヤーレの他にも、
『ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密　(2002) DIVINE SECRETS OF THE YA-YA SISTERHOOD 』
『レディ・キラーズ　(2004) THE LADYKILLERS 』のＴ＝ボーン・バーネットや、

『ハイ・フィデリティ　(2000) HIGH FIDELITY 』のエルヴィス・コステロらの個性的な面々の名が並ぶ。
『ポロック・２人だけのアトリエ　(2000) POLLOCK 』
『Ｋ－１９　(2002) K-19: THE WIDOWMAKER 』の編集のウォルター・マーチはよく知られる人だ。

　『コールドマウンテン』の製作総指揮ボブ・オシャーは
『ニューヨークの恋人　(2001) KATE & LEOPOLD 』
『セレンディピティ　(2001) SERENDIPITY 』、

　同イアイン・スミスは
『炎のランナー　(1981) CHARIOTS OF FIRE 』
『１４９２・コロンブス　(1992) 1492 CONQUEST OF PARADISE 』
『セブン・イヤーズ・イン・チベット　(1997) SEVEN YEARS IN TIBET 』
『 PLANET OF THE APES　猿の惑星　(2001) PLANET OF THE APES 』
『スパイ・ゲーム　(2001) SPY GAME 』。

　それに、ミラマックスの顔、製作総指揮のボブとハーヴェイのワインスタイン兄弟は、
『イングリッシュ・ペイシェント　(1996) THE ENGLISH PATIENT 』
『リトル・ヴォイス　(1998) LITTLE VOICE 』
『恋におちたシェイクスピア　(1998) SHAKESPEARE IN LOVE 』
『マレーナ　(2000) MALENA 』
『ショコラ　(2000) CHOCOLAT 』
『フル・フロンタル　(2002) FULL FRONTAL 』
『ビロウ　(2002) BELOW 』
『コンフェッション　(2002) CONFESSIONS OF A DANGEROUS MIND 』
『キル・ビル　(2003) KILL BILL: VOLUME 1 』
『ロード・オブ・ザ・リング／王の帰還　(2003) THE LORD OF THE RINGS: THE RETURN OF THE KING 』等で有名。

　映画『コールドマウンテン』のレヴュー（ストーリー・ネタばれ含む）は下に書きます。

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【『コールドマウンテン』のスタッフとキャスト】

監督：アンソニー・ミンゲラ　Anthony Minghella　(Directed by)
製作：アルバート・バーガー　Albert Berger　(producer)
　　　　ウィリアム・ホーバーグ　William Horberg　(producer)
　　　　シドニー・ポラック　Sydney Pollack　(producer)
　　　　ロン・イェルザ　Ron Yerxa　(producer)
　　　　スティーヴ・Ｅ・アンドリューズ　Steve E. Andrews　(associate producer)
　　　　ティム・ブリックネル　Tim Bricknell　(associate producer)
製作総指揮：ボブ・オシャー　Bob Osher　(executive producer)
　　　　イアイン・スミス　Iain Smith　(executive producer)
　　　　ボブ・ワインスタイン　Bob Weinstein　(executive producer)
　　　　ハーヴェイ・ワインスタイン　Harvey Weinstein　(executive producer)
原作：チャールズ・フレイジャー　Charles Frazier　(book)
脚本：アンソニー・ミンゲラ　Anthony Minghella　(screenplay)
撮影：ジョン・シール　John Seale　(Cinematography by)
編集：ウォルター・マーチ　Walter Murch　(Film Editing by)
音楽：ガブリエル・ヤーレ　Gabriel Yared　(Original Music by)
　　　　エルヴィス・コステロ　Elvis Costello (song "The Scarlet Tide")
　　　　スティング　Sting (song "You Will Be My Ain True Love")
　　　　ジャック・ホワイト　Jack White (song "Never Far Away")
　　　　Ｔ＝ボーン・バーネット　T-Bone Burnett (songs "I Wish My Baby Was Born""Like a Songbird That Has Fallen" "The Scarlet Tide")

出演：ジュード・ロウ　Jude Law as W.P. Inman インマン
　　　　ニコール・キッドマン　Nicole Kidman as Ada Monroe エイダ・モンロー
　　　　レニー・ゼルウィガー　Renee Zellweger as Ruby Thewes ルビー・シューズ
　　　　ドナルド・サザーランド　Donald Sutherland as Reverend Monroe モンロー牧師
　　　　レイ・ウィンストン　Ray Winstone as Teague ティーグ
　　　　ブレンダン・グリーソン　Brendan Gleeson as Stobrod Thewes スタブロッド・シューズ
　　　　フィリップ・シーモア・ホフマン　Philip Seymour Hoffman as Veasey ヴィージー
　　　　ナタリー・ポートマン　Natalie Portman as Sara 未亡人セーラ
　　　　キャシー・ベイカー　Kathy Baker as Sally Swanger 隣人サリー・スワンガー
　　　　ジェームズ・ギャモン　James Gammon as Esco Swanger エスコー・スワンガー
　　　　ジョヴァンニ・リビシ　Giovanni Ribisi as Junior ジュニア
　　　　アイリーン・アトキンス　Eileen Atkins as Maddy 山羊飼い老女マディ
　　　　チャーリー・ハナム　Charlie Hunnam as Bosie ボジー
　　　　ジェナ・マローン　Jena Malone as Ferry Girl 渡し船の少女
　　　　イーサン・サプリー　Ethan Suplee as Pangle パングル
　　　　ジャック・ホワイト　Jack White as Georgia ジョージア
　　　　ルーカス・ブラック　Lucas Black as Oakley オークリー
　　　　ジェイ・タヴァレ　Jay Tavare as Swimmer スイマー
　　　　クリストファー・フェネル　Christopher Fennell as Acton Swanger 隣人の息子
　　　　エリック・スミス Erik Smith as Ellis Swanger 隣人の息子
　　　　メローラ・ウォルターズ　Melora Walters as Lila リーラ
　　　　タリン・マニング　Taryn Manning as Shyla シェイラ
　　　　ジェームズ・レブホーン　James Rebhorn as Doctor 医師

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＜もっと詳しく＞

ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。

■映画『コールドマウンテン』の「テキストによる映画の再現」レヴュー
　私は日本公開前に字幕スーパーなしの英語で観たので、わかる範囲でレヴューします。映画データについては調査した時点と公開される時点で異なる場合があります。本作の内容については、語学力と経験・常識不足のため、間違いや勘違いや適切でない表現があるかもしれません。どうかご理解賜りますようお願いいたします。また、リンクやメールをいただく場合はここを必ずお読みくださいますように。
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【コールドマウンテン　第01段落】　　『コールドマウンテン』のストーリーは、米国の南北戦争（ the American Civil War　1861- 1865 ）の頃が舞台。先ず映画は南北戦争の南軍陣地で、兵士の死体からブーツや上着を集めている少年兵オークリー（ルーカス・ブラック）を映し出す。それを有難く受け取って身に着けるのは、少年兵と同郷のノースカロライナ州コールド・マウンテン出身のＷ・Ｐ・インマン（ジュード・ロウ：（
『リプリー　(1999) THE TALENTED MR. RIPLEY 』
『スターリングラード　(2000) ENEMY AT THE GATES 』
『ロード・トゥ・パーディション　(2002) ROAD TO PERDITION 』
『スカイキャプテン　ワールド・オブ・トゥモロー　(2004) SKY CAPTAIN AND THE WORLD OF TOMORROW 』
『ハッカビーズ　(2004) I HEART HUCKABEES / I LOVE HUCKABEES 』
『アルフィー　(2004) ALFIE 』
『クローサー　(2004) CLOSER 』
『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語　(2004) LEMONY SNICKET'S A SERIES OF UNFORTUNATE EVENTS 』
『アビエイター　(2004) THE AVIATOR 』等））や、
仲の良いネイティヴ･インディアンの兵士のスイマー（ジェイ・タヴァレ：
『アダプテーション　(2002) ADAPTATION 』
『ミッシング　(2003) THE MISSING 』等）らだ。

【コールドマウンテン　第02段落】　　戦地の緊迫の合間に、インマンは手紙に挟んだ愛しい人の写真をそっと眺める。故郷コールドマウンテンで自分を待ってくれている心の恋人エイダ・モンロー（ニコール・キッドマン：
『ムーラン・ルージュ　(2001) MOULIN ROUGE! 』
『めぐりあう時間たち (2002) THE HOURS 』
『イン・ザ・カット　(2003) IN THE CUT 』
『ドッグヴィル　(2003) DOGVILLE 』
『白いカラス (2003) THE HUMAN STAIN 』
『ステップフォード・ワイフ　(2004) THE STEPFORD WIVES 』
『バース　(2004) BIRTH 』
『奥さまは魔女　(2005) BEWITCHED 』
『ザ・インタープリター　(2005) THE INTERPRETER 』等）の写真だ。昔の技術で銅版写真だから、こわい顔で写っているけど、それでもインマンにとっては心の拠り所である。

【コールドマウンテン　第03段落】　　そして３年前にフラッシュバック。・・・ 1861 年、エイダ・モンローは、サウスカロライナ州の港市チャールストン Charleston, South Carolina からノースカロライナ州のコールドマウンテン Cold Mountain, North Carolina に引越ししてきた。牧師の父親（ドナルド・サザーランド：
『スペースカウボーイ　(2000) SPACE COWBOYS 』
『ハッピー・フューネラル　(2001) BIG SHOT'S FUNERAL / THE FUNERAL OF THE FAMOUS STAR / 大腕 (原題) 』等）に付き添ってである。母親はエイダが赤ん坊の時に亡くなっている。

【コールドマウンテン　第04段落】　　牧師の父に伴って馬車でやって来た都会的に洗練された美女エイダを、村人たちは憧憬の眼差しで歓迎する。その一人が、大工のＷ・Ｐ・インマンだった。モンロー牧師のための教会の新築作業をしている最中、はしごの上からインマンの目はエイダに釘付けになる。そしてエイダはお盆に載せた冷たい飲み物を差し出して、インマンと初対面の会話をする。自己紹介されて「Ｗ・Ｐ・インマン」というちょっと変わった名前を彼女がオウム返しすると、繰り返すだけじゃ進歩がないと言われて、「インマン」と、ぎごちなく言い直した。こうして二人は見つめ合い微笑み合い、その瞬間にお互い一目惚れ状態になるのだ。

【コールドマウンテン　第05段落】　　港の町から見たらコールドマウンテンは農業中心の山間の田舎で、この世の果てに来たように思われるでしょと、隣家になるスワンガー家の中年の奥さんサリー（キャシー・ベイカー：
『シザーハンズ　(1990) EDWARD SCISSORHANDS 』
『サイダーハウス・ルール　(1999) THE CIDER HOUSE RULES 』）が気遣う。いいえ大丈夫、と答えるものの、エイダにはこんな田舎の自給自足生活など縁遠いものだった。教会での父のアシスタントとピアノ演奏と読書くらいしかせず、生活の匂いのない、常に綺麗に着飾っている垢抜けた女性だ。こんな環境で、エイダの関心は自ずから、カッコイイ男性インマンだけに寄せられる。一方インマンも、エイダの姿を見るだけでドキドキするという純真な恋心を抱いている。

【コールドマウンテン　第06段落】　　エイダがピアノを弾くというので、インマンは親が教師でピアノを弾いていた関係で持っていた楽譜を何枚もモンロー家に届けた。それに、微笑ましいのは、インマンの自分の写真、やはり銅版写真で厳（いか）つく写っているのを、楽譜に挟んで彼女に渡したことだ。それから毎日、エイダは彼から貰った写真をちらちら見ながら、同じく彼から貰った楽譜でピアノを演奏して想いを募っていく。エイダ役のニコール・キッドマンは 1967 年生まれの 37 歳なのにこんな若～い役になっているとは、流石、女優さんは怪物だ。 1972 年生まれのジュード・ロウよりお姉さんなんだ。ブリっ子風に演技して見えたのはちょっと辛かったけど。

【コールドマウンテン　第07段落】　　それから暫くして、インマンは南北戦争での南部同盟軍の兵士として出征しなければならなくなる。出征の日、エイダはインマンのアパートを急に訪ね彼をドギマギさせる。服を着替えて出てきたインマンに、玄関の外で、エイダは一冊の本と自分の銅版写真を彼に差し出した。戦地に行っても覚えていてね、という女心だろう。村のメインストリートでは、村人たちの歓声に見送られて男性たちは戦地への行進を始めている。もう時間がない。とっさにインマンはエイダを抱き寄せた。そして激しい口づけ。二人はこのたった一度のキスで名残惜しく別れねばならなかった。

【コールドマウンテン　第08段落】　　そして３年後の戦地に映像は戻る。・・・映画はこのように、特に前半は現在と過去を何度か行ったり来たりする。二人は手紙で愛のやり取りをして年月は経っていった。 1864年 7 月 30 日、ヴァージニア州ピーターズバーグでのクレイターの戦い the Battle of the Crater in Petersburg, Virginia 。北軍が仕掛けた大規模な爆破が起こり、南軍陣地は大きなダメージを被る。と同時に北軍兵と南軍兵は一対一の乱闘になり、原始的な刺し殺し、殴り殺し、踏み潰し、という残酷な戦いが映し出される。インマンの同郷の少年兵オークリーも腹部を刺されて泥々にされて痛みつけられているのを、インマンとスイマーとでどうにか救い出した。しかし少年兵は故郷コールドマウンテンを思いながら息絶えていった。

【コールドマウンテン　第09段落】　　その数日後か、北軍の生き残った部隊へ奇襲攻撃をかけることになり、インマンとスイマーらが選ばれる。夜の闇に包まれて忍び寄って襲撃するが、スイマーは殺され、インマンも喉を射撃されてしまう。倒れたインマンが気づくと、南軍の野戦病院に収容されていた。医師役にはジェームズ・レブホーン（
『セント・オブ・ウーマン／夢の香り　(1992) SCENT OF A WOMAN 』
『リプリー　(1999) THE TALENTED MR. RIPLEY 』
『プルート・ナッシュ　(2002) THE ADVENTURES OF PLUTO NASH 』
『エデンより彼方に　(2002) FAR FROM HEAVEN 』等）が扮している。インマンが声も出ず身体も動けない重傷で悲嘆に暮れて病床にいると、慰問に訪れた市民の女性が手紙を声を出して読んでくれた。それは愛するエイダからの手紙だった。インマンが無事でいるか心配し、手紙が届いているか、また、便りをくれているのかといった内容の他に、「戻ってきて欲しい」と切実にしたためられている。

【コールドマウンテン　第10段落】　　また舞台は戦場から山間のコールドマウンテンへ。・・・コールドマウンテンでは、ここの住民ティーグ（レイ・ウィンストン：
『リトル・ストライカー　(2000) THERE'S ONLY ONE JIMMY GRIMBLE 』等）という中年男が幅を利かせて町を牛耳っている。ティーグの右腕はボジー（チャーリー・ハナム：
『ケイティ　(2002) ABANDON 』）という気持ち悪く冷酷そうな男だ。彼らは二人の新参者エイダ父娘にも何かと威張っている。さらに、若くて美しいエイダに言い寄ったり。インマンを想い続けるエイダは勿論相手にしない。そんなある日、エイダの父親モンロー牧師は急死する。この時から、お嬢さん育ちで何も生活力のない彼女は地獄の底へ突き落とされる如きの暮らしになる。

【コールドマウンテン　第11段落】　　スクリーンには何故か登場しないが、黒人奴隷たちがエイダの家の農場仕事を担っていたのだ。しかし父親が亡くなり、奴隷も手放したため、エイダは独りぼっちになった。野菜の収穫も家畜の世話もしたことがない。だからアッと言う間に、食いはぐれるという事態が待ち受けていた。コールドマウンテンに寒々とした秋が訪れ、飢えた彼女は、隣人サリーに料理を恵んでもらってギリギリ生き延びていた。父親の死と、こういう事情があるからこそ、戦地のインマンに「私を助けに戻ってきて」と書いたのだ。こんな風に捉えると夢がないかもしれないけど、ロマンティックに、愛する人に戻ってきて欲しい、と望んだだけでなく、生活がかかっていたのは事実だろう。

【コールドマウンテン　第12段落】　　病院に収容されている負傷兵インマンはその手紙を読んで、恋人の許に戻ろうと決心するのだ。たった一度のキスの心の恋人エイダ。彼はまだ喉に大きな銃創が残っている痛々しい姿で、早朝に病院のベッドを抜け出す。こうしてインマンは脱走兵（ AWOL = absent without leave 無届外出・無断離隊）となって、故郷コールドマウンテンへの遠く危険な逃避行が始まる。 1864 年 9月のことだった。

【コールドマウンテン　第13段落】　　軍隊を脱走するというのは非常に重罪で、現在でも米国では軍法会議にかけられて厳しく罰せられる。だからインマンは南軍の捜査隊に見つからないようにビクビクしながら進んだ。ろくな食べ物もないから、畑の生の野菜を盗みかじったり、カエルやら魚やらを捕らえたりして腹に入れていった。そんなある日、黒人女性を妊娠させた堕落した白人のデブッチョの牧師ヴィージー（フィリップ・シーモア・ホフマン：
『ブギーナイツ　(1997) BOOGIE NIGHTS 』
『パッチ・アダムス　(1998) PATCH ADAMS 』
『マグノリア　(1999) MAGNOLIA 』
『パンチドランク・ラブ　(2002) PUNCH-DRUNK LOVE 』
『レッド・ドラゴン　(2002) RED DRAGON 』
『 25時　(2002) 25TH HOUR 』等）と出会う。

【コールドマウンテン　第14段落】　　すると追っ手の銃声がしたので、二人は渡り舟の少女（ジェナ・マローン：
『ドニー・ダーコ　(2001) DONNIE DARKO 』等）にお金をたくさん（ 30 ドルだったか）握らせて、湖沼を小船で渡り始めた。そこに至近距離まで迫って来た追っ手は無慈悲にも銃を何発も発射して、あろうことか渡り舟を漕いでくれていた少女を死なせる。冒頭のピーターズバーグの戦いの映像でも戦争の怖さ・残酷さをまざまざと感じたが、この少女の場合も、兵士でもないのにあっさりと銃殺されてしまって、戦争は惨いものだなとつくづく思った。辛うじて逃げ延びた二人は意気投合して、行動を共にすることに。気のいい男のヴィージーは川原でのこぎりを拾ってご機嫌。

【コールドマウンテン　第15段落】　　すると、大きな牛が川の浅瀬で死んでしまって身動きできなくて困っている男に遭遇した。ジュニア（ジョヴァンニ・リビシ：
『ヴァージン・スーサイズ　(1999) THE VIRGIN SUICIDES 』
『ギフト　(2000) THE GIFT 』
『ヘヴン　(2002) HEAVEN 』
『閉ざされた森　(2003) BASIC 』
『ロスト・イン・トランスレーション　(2003) LOST IN TRANSLATION 』
『スカイキャプテン　ワールド・オブ・トゥモロー　(2004) SKY CAPTAIN AND THE WORLD OF TOMORROW 』
『フライト・オブ・フェニックス　(2004) FLIGHT OF THE PHOENIX 』等）というその男を、ヴィージーは早速さっき拾ったのこぎりで牛の首を切ってやって便宜を図ってあげた。それでお礼に、ジュニアは森の中の掘っ立て小屋の自宅に連れて行って、二人をもてなす。そこは異常な雰囲気で、ジュニアの妻や女性が数人いて、二人に酒を飲ましてベッドに誘い込む。しかし、ジュニアはそんな単純な男ではなかった。ジョヴァンニ・リビシは何かクセのある役が多いもの、当然かぁ。ジュニアは酒を飲んでは大暴れする男。裏切って、脱走兵を追っている部隊に知らせに行ったのだ。ジョヴァンニ・リビシの演技には何か鬼気として、哀愁に帯びた彼独特の世界がある。

【コールドマウンテン　第16段落】　　こうして南軍の追っ手に二人は捕まって、また戦場まで戻されていこうとしている。他にも二、三人の脱走兵と共に鎖に繋がれて数人一緒に引きずられている時、付近に北軍の騎馬部隊が通っていくのが聞こえた。ここで銃を発砲すれば北軍に気づかれてしまうため南軍捕獲者たちは何の手立ても打てないと悟って、インマンがけしかけ、脱走兵たちは土手を駆け上って再度脱走を図った。しかし北軍に見つかり、銃撃される。鎖で繋がれたその数人の男たちはインマンを除いて全員射殺されてしまった。連れのヴィージーも死んでしまった。兵士たちが去った後、奇跡的に生き残ったインマンは立ち上がって進もうとする。しかし、悲しいかな、死人数体と鎖で繋がれているから引きずろうにも不可能だ。鎖が体に食い込んで血まみれになりながら男泣きするのだ。

【コールドマウンテン　第17段落】　　気が付くと、服を脱がされ別の布をまとって寝かされている。インマンは世捨人の老女マディ（アイリーン・アトキンス：
『ゴスフォード・パーク　(2001) GOSFORD PARK 』
『ロイヤル・セブンティーン　(2003) WHAT A GIRL WANTS 』等）に救われて保護されていた。森の中、山羊を数頭飼ってあばら家に暮らしているマディは、アヘンと薬草でインマンの傷を治療してくれている。インマンの意識が戻ったのを知ると、老女は大切に可愛がって飼っていた山羊一頭をインマンのために殺して料理して食べさせる。頭を撫でて愛おしそうにした直後にサッと息の根を止めるのは衝撃的だった。インマンにも観客にも。しかし老女は言うのだ。生きとし生けるものにはそれぞれの役割があるのだと。哲学的だなぁ。最愛のペットも、旅の病人を救う滋養となる食材として昇天させたのだ。

【コールドマウンテン　第18段落】　　数日間インマンはこの老女マディの手厚い看護を受けて体調が回復した。感謝して、またコールドマウンテンへの逃避行を続行する。大雨も降り、空腹も極限になった時、一軒家を見つけてノックする。顔を出した若い主婦セーラ（ナタリー・ポートマン：
『マーズ・アタック！　(1996) MARS ATTACKS! 』
『ズーランダー　(2001) ZOOLANDER 』等）は、一旦は断ったものの、インマンを呼び戻した。やっぱり美男は得だ！そして温かいシチューか煮豆をふるまってくれた。聞くと戦争未亡人で、赤ん坊が熱があって調子が悪そう。彼女は体形も同じようだと言う亡き夫の服をインマンに提供してくれて、家屋に隣接する納屋で寝るように案内してくれた。セーラは寂しそうな疲れ果てた顔つきをしている。

【コールドマウンテン　第19段落】　　納屋と壁一枚隔てた寝室で、セーラはベッドに入っても寝付けない。遂に意を決した表情で納屋まで「一夜の客」を呼びに行く。寝室に招き入れ、こらえきれない辛い表情でインマンに抱きつく。あぁ、戦争ってこういう若い未亡人も作ってしまう罪深いものだ。インマンはそういう彼女を愛おしく説教して、自分には故郷に愛する人が待っているから、と抱きかかえて眠らせる。片や戦争未亡人、片や恋人の許へ帰ろうとしている純な男性。安らかに並んで眠るだけで無事に翌朝を迎えると、三人の野蛮そうな兵士がやって来た。セーラはインマンを素早く裏窓から脱出させ応対すると、兵士は病気の赤ん坊を寒い屋外に服をめくって地面に置いた。死なせようとしている。それに加え、セーラをレイプし始めた。陰で様子を窺っていたインマンは機転を利かせてセーラを救う。二人の兵士は殺害したが、三人目の若い兵士は赤ん坊に服をかけてやって優しかったのでインマンは殺さずに逃がしてやった。けれども、セーラは逆上してその兵を銃で倒した。戦争は悲惨だ。

【コールドマウンテン　第20段落】　　舞台変わってコールドマウンテンでは、父親が亡くなって独りで心細かったエイダの許に、隣人サリーの手回しで別の女性が一緒に暮らすようになった。このフラリとやって来た流れ者の女性はルビー・シューズ（レニー・ゼルウィガー）といい、食・住を提供してもらうのと引き換えに農作業を一緒にやってくれると言う。召使でなく、あくまで平等な地位でという条件だ。ニコール・キッドマンが今年のゴールデングローブで主演女優賞にノミネートされながら賞を逸した訳は、レニー・ゼルウィガーが登場するまでのシーンで冴えなかったからだという。レニー・ゼルウィガーと一緒に撮るようになったら急に役柄の内面の強さがよく出てきて、見違えるようになる。だからこそレニー・ゼルウィガーが助演女優賞を獲得したのだろう。

【コールドマウンテン　第21段落】　　ルビーはエイダと対照的にバイタリティに溢れた女性で、先ず、雄鶏を「悪魔」だと怖がっているエイダの前でいとも容易く雄鶏の首をひねって殺す。そしてさっさと料理してしまう手際のよさ。農場の作業をするにも注意事項をリストアップして述べてリーダーシップを発揮する。何も出来なかったし、やりもしなかったエイダだが、ルビーが同居して精力的に労働する姿に感化されて、彼女の真似事をするように進歩してきた。この広大な山間の風景描写は非常に美しく、撮影のジョン・シール（
『レインマン　(1988) RAIN MAN 』
『ハリー・ポッターと賢者の石　(2001) HARRY POTTER AND THE SORCERER'S STONE / HARRY POTTER AND THE PHILOSOPHER'S STONE 』
『ドリームキャッチャー　(2003) DREAMCATCHER 』等）は賞賛されている。

【コールドマウンテン　第22段落】　　同等の関係で一緒に暮らしていくと、二人の間には堅い友情も信頼関係も育まれた。エイダはルビーにインマンのことを話してお惚気（のろけ）している。「嵐が丘 Wuthering Heights 」を読んだり、インマンに貰った楽譜でピアノを弾いたり、農作業を終えた夜はルビーに見守られて有意義に過ごせた。エイダの生き甲斐は恋人インマンの帰郷だということも、隠さずルビーに話している。

【コールドマウンテン　第23段落】　　さて、保安官気取りのティーグは、右腕のボジーらと共に義勇軍となって、徴兵拒否者や脱走兵を目くじら立てて探し回っていた。エイダの隣家（隣と言っても農家だから１km近く離れている）のサリーの家では、息子二人を軍隊に参加させずに家の中に隠していた。すると、ティーグら義勇軍が襲ってきて、止めようとしたサリーの夫エスコー（ジェームズ・ギャモン：
『ザ・セル　(2000) THE CELL 』
『ブロンド・ライフ　(2002) LIFE OR SOMETHING LIKE IT 』
『カントリー・ベアーズ　(2002) THE COUNTRY BEARS 』等）と息子たち（クリストファー・フェネルとエリック・スミス：
『ウォーク・トゥ・リメンバー　(2002) A WALK TO REMEMBER 』）を射殺する。更にサリーを丸太に手を挟んで拷問して去って行った。銃声を聞いて駆けつけたエイダとルビーはその光景を見て愕然とし、一瞬にして最愛の家族を失った傷心の中年女性サリーを自宅に連れて帰って介抱する。

【コールドマウンテン　第24段落】　　この頃、コールドマウンテンの農場でエイダと暮らしているルビーの許に、疎遠になっていたルビーの父親スタブロッド・シューズ（ブレンダン・グリーソン：
『フィオナが恋していた頃　(1998) THIS IS MY FATHER 』
『Ｍ：Ｉ－２　(2000) MISSION: IMPOSSIBLE 2 / M:I-2 』
『２８日後...　(2002) 28 DAYS LATER 』
『ギャング・オブ・ニューヨーク　(2001) GANGS OF NEW YORK 』
『トロイ　(2004) TROY 』
『ヴィレッジ　(2004) THE VILLAGE 』等）が偶然現れる。父親は徴兵を拒否して旅回りの音楽家になっていた。仲違いしていた関係で、ルビーは内心は嬉しいだろうに、食料と温かいコートだけ渡して出て行かせた。父には、パングル（イーサン・サプリー：
『ジョンＱ－最後の決断－　(2002) JOHN Q 』
『バタフライ・エフェクト　(2004) THE BUTTERFLY EFFECT 』等）とジョージア（ジャック・ホワイト）という若い男性二人の音楽家仲間が一緒だ。

【コールドマウンテン　第25段落】　　近隣の小屋に三人の音楽家は暫く滞在して、ルビーやエイダとも交流している。そしてクリスマス・イヴにはエイダの家で、歌とバンジョー等の軽快な音楽とご馳走で楽しい夕べを持った。エイダ、ルビー、父、パングル、ジョージア、それに、もう家族の一員のようになっているサリーだ。ジョージアはルビーのことが好きみたい。戦場と違い、雪深いコールドマウンテンの一角では、ささやかな幸せが訪れているようだった。しかし、その直後、義勇軍ティーグやボジーは、森の中で野宿していたルビーの父の一行を襲った。パングルは射殺され、父親スタブロッドも撃たれて飛ばされた。難を逃れたジョージアはルビーとエイダに知らせに行き、三人が森に戻ると、父親は死なずに息がある。それで救出して、山中の小屋に寝かせて治療し、どうにか回復していった。これでルビーは父親と真の愛情を確かめ合い、もう離れ離れになることはあるまい。

【コールドマウンテン　第26段落】　　コールドマウンテンの真っ白に降りしきり雪山の小屋に、エイダとルビーは父親を義勇軍から匿って滞在している。すっかり逞しくなったエイダは、クリスマスの七面鳥を仕留めに、ライフルを持って出かけていった。バーン。大きな黒い鳥が落ちてきた。上から下まで黒ずくめのエイダ役のニコール・キッドマンは 1.79 m あるから、白一色の山の雪道に、彼女のほっそりした長身の黒ずくめの立ち姿が際立ったコントラストを見せる。雪はしんしんと降り続いている。と、その時、見かけないやつれた男性が雪降る中をこちらへひたすら歩を進めている。「待って。あっちへ行って。行かないと撃つわよ！」銃を構えてエイダは男に威嚇した。男は小さな声で「エイダ…」とささやいたようだ。

【コールドマウンテン　第27段落】　　男がＵターンして数秒後、エイダは気づく。インマン！帰ってきてくれたのね！堅い抱擁。こうして夢にまで見た二人の再会は実現した。・・・

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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
　ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !

【コールドマウンテン　第28段落】　　雪山の小屋の外で、愛しい恋人たちは夜を徹して思い出話にふける。それを聞いているルビーは気を利かせて薪小屋に移り、小屋の粗末なベッドではあるが、エイダとインマンに明け渡してくれた。ルビーはエイダからインマンのことをずっと聞かされていたので、心から喜んでくれているのだ。ここからロマンティックなシーンのハイライト。エイダとインマンは、出征の日の一度のキス以来、お互い待ち焦がれていたことが叶った。ニコール・キッドマンも綺麗、ジュード・ロウも最高。二人は熱く熱く結ばれる。

【コールドマウンテン　第29段落】　　あぁ、これでハッピーエンドならいいのに…。義勇軍ティーグやボジーが、死ななかったルビーの父を殺しにまた襲撃してきたのだ。彼らは脱走兵や徴兵拒否者を徹底して敵視している。ここで女たちは勇敢に立ち振る舞い、ティーグは倒した。インマンも義勇軍と撃ち合い、最後の一人、ボジーと並行して馬を走らせて一騎打ちとなる。インマンもボジーも馬上から相手に銃を向けて…。バ～ン。ボジーが馬上から倒れ落ちた。ホッ。インマンは壮絶な顔をして雪道を進む。そこへエイダが駆け寄る。でも…横腹から血がドクドク流れてインマンは雪の地面に倒れこんだ。悲鳴のエイダ。何という何という結末…。

【コールドマウンテン　第30段落】　　あれから数年後のエイダの家。プロンドの長髪の女の子が母エイダと平和に暮らしている。そう、たった一度インマンと愛し合って授かった愛の結晶である。そばにはルビーとジョージアの夫婦、それにルビーの赤ん坊、ルビーの父親、随分回復したサリー。この七人が「ファミリー」となって明るく逞しく生きている。インマンのことはエイダの脳裏から一生消えることはない。娘にも父インマンとの思い出は宝物として語り継いでいくだろう。

【コールドマウンテン　第31段落】　　ラストはこのように、どんな悲劇が起こっても女性は強くしたたかに生き延びていくと暗示しているようだ。それにしても、ルビー役のレニー・ゼルウィガーはどう見たって一番おいしい役を貰っている。結局一番幸せになったのはルビーだ。ニコール・キッドマンとジュード・ロウの役の結末は本当にストレスが溜まった。そりゃハッピーエンドだと平凡でつまらないだろうけど…。ジュード・ロウは一体何のために苦労して山越え谷越え彼女の所に戻ってきたのヨ！でも、戻ったことには違いない。だからラブ･ストーリーは完結できている。そこに戦争の悲劇の複雑さが介入してこういう結果になったのだ。

【コールドマウンテン　第32段落】　　南北戦争時代のアメリカの乱暴さと残酷、とりわけ子羊やトリを絞（し）め捌（さば）き食す作業を、現代のように分業化していないで女性が簡単にやってのける女性の逞（たくま）しさに今更ながら自分ではできないなと尊敬もし驚く。男は戦争で戦って虫けらのように死んでいく時代に残された女が生きていくには、愛と夢と希望を持って強（したた）かに生きるしかない。「コールドマウンテン」は、大筋としてラブストーリーだが、最後のシーンで、インマンとの間にできた所謂（いわゆる）忘れ形見（わすれがたみ）の子供が女の子である点が、単なるロマンスものではない。「恋」は「愛」へ移行した時点で生活に追われる。音楽を愛する「恋」に生きるか弱きエイダと、一方「恋」も知らずに「生活」に敢然と向き合って生きるルビー。この二人の女性こそが南北戦争という悲惨で残酷な有事を乗り越えて大きな包括的な「愛」でファミリーを作っていくのだというメッセージが聞こえてきそうな気がする。これってもしかして、近い将来のアメリカや日本へのメッセージだったら、とってもコワイ…。それにしても、ジュード・ロウはゴールデングローブとアカデミー賞の両方で主演男優賞にノミネートされただけあって、物凄くよかった。カッコよさも最高。アップも美しく、ウットリでした。

以上。
＜もっと詳しく＞からスペースを含まず11439文字／文責：幸田幸

参考資料：「映画の森てんこ森」映画タイトル集
　　　　　　　http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
　　　　　　IMDb
　　　　　　allcinema ONLINE
　　　　　　Nostalgia.com
　　　　　　CinemaClock.com
　　　　　　公式サイト（英語）
　　　　　　　http://www.miramax.com/cold_mountain/
　　　　　　OSCAR.com - 76th Annual Academy Awards
　　　　　　　http://www.oscar.com/
　　　　　　HOLLYWOOD FOREIGN PRESS ASSOCIATION
　　　　　　　http://erkki3.vwh.net/
　　　　　　:: GOLDEN GLOBE AWARDS WINNERS 2004
　　　　　　　http://www.hfpa.org/realtime.html
　　　　　　CNN co.jp - エンタテイメント
　　　　　　　http://cnn.co.jp/showbiz/CNN200401260009.html

■映画『コールドマウンテン』の更新記録
2004/01/28新規：ファイル作成
2004/02/26更新： ◆タイトル変更
2004/03/27更新： ◆＜もっと詳しく＞
2004/11/09更新： ◆インデクス書式
2004/12/15更新： ◆一部テキスト追記と書式変更
2005/05/24更新： ◆データ追加
2005/10/06更新： ◆追記

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幸田　幸
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