K−19 | |||||
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K−19 (2002) | |||||
K-19: THE WIDOWMAKER | |||||
映画『 K−19 (2002) K-19: THE WIDOWMAKER
』をレヴュー紹介します。 映画『 K−19 (2002) K-19: THE WIDOWMAKER 』を以下に目次別に紹介する。 ■映画『 K−19 (2002) K-19: THE WIDOWMAKER 』の解説及びポスター、予告編 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。 ■映画『 K−19 (2002) K-19: THE WIDOWMAKER 』の映画データ ■映画『 K−19 (2002) K-19: THE WIDOWMAKER 』のスタッフとキャスト ■映画『 K−19 (2002) K-19: THE WIDOWMAKER 』の<もっと詳しく> <もっと詳しく>は映画『 K−19 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 K−19 (2002) K-19: THE WIDOWMAKER 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。 ■映画『 K−19 (2002) K-19: THE WIDOWMAKER 』の結末 ■映画『 K−19 (2002) K-19: THE WIDOWMAKER 』の更新記録 >>「映画解説・レヴュータイトル一覧表」へ(画面の切り替え) |
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幸の鑑賞評価: 8つ星 | |||||
■映画『 K−19 (2002) K-19: THE WIDOWMAKER 』の解説及びポスター、予告編 | |||||
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■映画『 K−19 (2002) K-19: THE WIDOWMAKER
』の解説 映画『 K−19 (2002) K-19: THE WIDOWMAKER 』は、製作総指揮と主演を兼任する"ハリウッドで最も客を呼べる男"ハリソン・フォードが、ソ連の原子力潜水艦“K−19”の艦長を演じる緊迫感いっぱいの作品。『 K−19 』は米ソの冷戦時代の 1961 年に実際にあった原潜の放射能漏れ事故の話で、製作費 125 億円、構想5年、製作期間5ヶ月という大作だ。『 K−19 』監督・製作のキャスリン・ビグローは、こんなハード・タッチの映画を作ったとは想像できない女性で、『 タイタニック (1997) TITANIC 』監督・製作・脚本・編集のジェームズ・キャメロンは元夫。 1991 年に「ハートブルー」をキャメロンが製作総指揮、ビグローが監督で仲良くコラボしているが、それは二人の結婚中の作品。というのは、キャメロンは最初の妻とは 11 年間、二回目からは2〜4年ごとに結婚離婚を繰り返し、今の妻は何と五人目なのだ!キャスリン・ビグローは三人目の結婚相手だった。 『 K−19 』の原題にある< THE WIDOWMAKER >とは、未亡人を作るもの、つまり、これに乗ったら生きて帰って来られないという“ K−19”の悪名高いあだ名に由来する。 |
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●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。 Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com. Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc. |
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■映画『 K−19 (2002) K-19: THE WIDOWMAKER 』の映画データ | |||||
上映時間:138分 製作国:アメリカ/イギリス/ドイツ 公開情報:日本ヘラルド映画 アメリカ初公開年月:2002/7/19 日本初公開年月:2002/12/14 ジャンル:ドラマ/サスペンス |
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【『 K−19 』のスタッフとキャスト】 | |||||
監督: キャスリン・ビグロー Kathryn Bigelow
製作: キャスリン・ビグロー Kathryn Bigelow エドワード・S・フェルドマン Edward S. Feldman シガージョン・サイヴァッツォン Sigurjon Sighvatsson ナイジェル・シンクレア Nigel Sinclair クリス・ウィッテカー Chris Whitaker 製作総指揮: モリッツ・ボーマン Moritz Borman ガイ・イースト Guy East ハリソン・フォード Harrison Ford 原案: ルイス・ノーラ Louis Nowra 脚本: クリストファー・カイル Christopher Kyle 撮影: ジェフ・クローネンウェス Jeff Cronenweth 音楽: クラウス・バデルト Klaus Badelt 出演: ハリソン・フォード Harrison Ford アレクセイ・ボストリコフ艦長 リーアム・ニーソン Liam Neeson ミハイル・ポレーニン副艦長 ピーター・サースガード Peter Sarsgaard 原子炉担当官ヴァディム・ラドチェンコ クリスチャン・カマーゴ Christian Camargo バベル・ロクテフ ピーター・ステッビングス Peter Stebbings クリシェフ ナターリア・ヴィントロワ Natalia Vintilova カーチャ ジョス・アックランド Joss Ackland ゼレントソフ元帥 ドナルド・サンパー Donald Sumpter サフラン医師 イングヴァー・エゲルト・シガードソン Ingvar Eggert Sigurdsson ヴィクター・ゴレロフ ▲TOPへ |
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<もっと詳しく> | |||||
ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。 |
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■映画『 K−19 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー 私は日本公開前に字幕スーパーなしの英語で観たので、わかる範囲でレヴューします。映画データについては調査した時点と公開される時点で異なる場合があります。本作の内容については、語学力と経験・常識不足のため、間違いや勘違いや適切でない表現があるかもしれません。どうかご理解賜りますようお願いいたします。また、リンクやメールをいただく場合はここを必ずお読みくださいますように。 ▲TOPへ 【 K−19 第01段落】 海中から海面を見上げた角度の映像、つまり潜水艦からの視野の象徴に、先ずこの映画の背景がテロップで表示される。<これは実際にあった事件に基づいている。この話は 28 年間極秘にされていた。 1961 年、ソ連は世界を2度も破壊できるだけの核兵器を所持し、アメリカ合衆国は世界を 10 度も破壊できるだけの核兵器を所持していた。米ソとも核兵器の量を増大していた。1961 年、アメリカ軍はレニングラードとモスクワを射程圏内とする原子力潜水艦を配備するに至っていた。両国の権力者達は、戦争は一触即発の状態であると見ていた。時機と、どちらが先に仕掛けるかの問題であった。> 【 K−19 第02段落】 まだ航海に出る前の段階、ソ連の誇る最新原子力潜水艦K−19の艦内の乗組員たちの慌ただしい動き。ミハイル・ポレーニン艦長(リーアム・ニーソン: 『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』 『 ラブ・アクチュアリー (2003) LOVE ACTUALLY 』 『 愛についてのキンゼイ・レポート (2004) KINSEY 』 『 キングダム・オブ・ヘブン (2005) KINGDOM OF HEAVEN 』 『 バットマン ビギンズ (2005) BATMAN BEGINS 』等)の指揮の下、ミサイル発射の訓練をするが失敗する。その報告を受けたモスクワ、クレムリンのゼレントソフ元帥(ジョス・アックランド)は、アレクセイ・ボストリコフ(ハリソン・フォード: 『 エアフォース・ワン (1997) AIR FORCE ONE 』 『 ホワット・ライズ・ビニース (2000) WHAT LIES BENEATH 』 『 ハリウッド的殺人事件 (2003) HOLLYWOOD HOMICIDE 』等)を艦長に任命する。アレクセイの父親は革命の士として栄誉の殉死をしている。モスクワは寒そう。分厚い長い丈のコートに軍服、軍帽姿のハリソン・フォードは、白い息を吐きながら、責任の大きな役の任命を厳粛な顔つきで仰せつかる。 【 K−19 第03段落】 ここはソ連コラ半島、ムルマンスクの海軍基地。コラ半島は、ソ連の北西部、フィンランドのすぐ東、バレンツ海に面した半島だ。ここの撮影はカナダの東部、大西洋岸のノヴァ・スコシア州で。あとのシーンはアイスランドとモスクワと、カナダのマニトバ州やトロント市がロケ地だそうだ。観ていると本当にソ連らしく見えてくるのだが、実際はこんなにもいろいろな所で撮影されているのだ。それに、出演者たちは、みんなソ連人の配役名で演じているけれど、フォード始め、殆どロシア人でない俳優だ。リーアム・ニーソンは背が高い。彼は英国は北アイルランドの出身で標準英語を話す人ではないので、ちょっとロシア語っぽく英語を話すのに適役だ。最初の艦内のシーンでは、全員英語を使っているから米国の潜水艦内だと思ったら、ソ連のだとわかって、慣れるまで何とも変だった。それに、ロシア語の配役名が難しくてオロオロした私。 【 K−19 第04段落】 リーアム・ニーソンのミハイル・ポレーニン艦長は副艦長に下げられて、おもしろくない。そこにハリソン・フォードのアレクセイ・ボストリコフ艦長が乗り込んできて、副艦長は艦内を案内する。酔って眠りこけている原子炉担当官を見つけてボストリコフ艦長は降船と人員交代を命じるが、ポレーニン副艦長は、技術の面で必要な者だから辞めさせるわけにはいかないと言う。もう最初から、二人の意見が対立する。それでもボストリコフ艦長は、新しい原子炉担当官、ヴァディム・ラドチェンコ(ピーター・サースガード: 『 ニュースの天才 (2003) SHATTERED GLASS 』)を指名する。ラドチェンコは海軍学校を一番の成績で出た前途有望の若者で、この役のピーター・サースガードは 『 仮面の男 (1998) THE MAN IN THE IRON MASK 』のラウルに扮していたけど、海軍の軍服姿では同人物とは到底気付かない。ハリソン・フォードのボストリコフ艦長は、このように、妥協を許さない、厳格で、ストイックな男として描かれる。 【 K−19 第05段落】 この映画『 K−19 』は「レッド・オクトーバーを追え!」( 1990 )と潜水艦の話で路線が似ているし、同じくCIA情報分析官ジャック・ライアン( 『 トータル・フィアーズ (2002) THE SUM OF ALL FEARS 』参照)の2代目のハリソン・フォードの第2弾・第3弾「パトリオット・ゲーム」( 1992 )・「今そこにある危機」( 1994 )や 『 逃亡者 (1993) THE FUGITIVE 』のフォードの切迫した表情は同様だ。しかも、今回の『 K−19 』は 1942 年生まれのフォード 60 歳、その上、ソ連という国家の誇る原潜の艦長という重い役どころなので、これまで以上に常に重厚で渋く、威風堂々の演技を貫いている。 【 K−19 第06段落】 いよいよK−19の進水式。ボストリコフ艦長は整列した乗組員達に、K−19は世界で最高の原潜で、これに選ばれた諸君は名誉だとスピーチする。そして、進水式の祝いの象徴シャンパンの瓶を女性が割る動作では、割れない。何か、悪い予感が…。また、出航に向けて、大量の食材等の積み込みがリレー方式で行なわれ、料理長は荷物運搬用のトラックに轢かれて死ぬ。何やら事故が続き、出航前に十人が死亡してしまう。先の航海もどんな危険な事が起こるか予測できない。こういうことから、K−19は、原題にある< THE WIDOWMAKER >つまり、未亡人製造艦という俗称がついているとポレーニン副艦長は教える。サフラン医師(ドナルド・サンパー: 『 エニグマ (2002) ENIGMA 』)が乗り込み、病人や怪我人の手当てに控えることになる。船酔いするから、すぐ帰港できたらいいけどねと冗談も言える余裕もこの辺りではあった。 【 K−19 第07段落】 若き乗組員クリシェフ(ピーター・ステッビングス)は恋人カーチャ(ナターリア・ヴィントロワ)と暫しの別れを惜しむ。彼女の写真をベッドに置いて、他の乗組員に自慢して見せたり、手紙を書いたりしている。 1600 時間、潜水艦は海の中にいるわけだから、寄港地で手紙を投函するということもできないわけだ。仲間にからかわれ、もしもの時の為に書いているんだと言うクリシェフ…。また、ある者は、乗艦と同時に、ペットのハツカネズミの小さな籠をベッドの柱に吊るす。 【 K−19 第08段落】 こうして 1961 年 6 月 18 日、 128 人を乗せてK−19の処女航海は始まり、早速、急速潜水や浮上の実地訓練が開始される。また、電気系統の故障や水圧調整の不具合の想定の訓練も容赦なく行なわれる。負傷者が出ても、実戦を想定して、ストップウォッチを手に、ボストリコフ艦長は厳しく指揮するのだ。部下の失敗は指揮官の責任だと、上層部の者たちにもハッパをかける。副艦長の反対にも拘わらず、潜水艦の限界と言われる水深 300 メートルまで降下し、水圧で潜水艦の外壁がバリバリと音を立ててへこんで、乗組員達も観ている方もドキドキしたが、無事に乗り越え、急上昇。そして実験ミサイル発射成功。モスクワのゼレントソフ元帥からは成功祝福のメッセージがボストリコフ艦長に届く。軍隊なので、数列の暗号でだが。 【 K−19 第09段落】 バリバリと物凄い音と衝撃で、K−19は氷の海に浮上する。こういうシーンはCGだそうだ。乗組員達は、艦外に出て、厚く凍った氷の上でボール投げをしたり記念写真を撮ったりして厳寒の中を楽しむ。一方、実験ミサイル発射成功によって、クレムリンからは、K−19に次の更に大きな任務の指令が届く。このまま 15 ノットで西に進み、米国の東岸のワシントンDCとニューヨークを結ぶ線から 400 km の所まで潜航、NATO偵察基地のすぐ近くを潜航するようにとの指令だ。もう帰国できると早合点していた若者達はがっかりするが、ミッションはまだまだ続くのだ。 【 K−19 第10段落】 出航から約2週間後の7月4日、北大西洋を潜航していたK−19の冷却装置にひび割れが見つかり、原子炉が加熱し始める。冷却装置を修理させるが、そう簡単に直る種類の故障ではなかった。原子炉心が 1000 ℃まで上がると溶融と爆発を起こし、潜水艦は木っ端微塵になってしまうのだ。艦だけではない。近くのNATO基地も海も放射能でやられ、そして積んでいるミサイルが加熱により誤発射されて第3次世界大戦が間違いなく勃発してしまう。食い止めなければ乗組員達も世界も滅亡だ。原子炉の温度は 490 ℃、 530 ℃、 720 ℃とどんどん上昇し、このままではあと3〜4時間しか持たない。ますます眉間に皺を寄せて苦難の表情を見せるボストリコフ艦長。 【 K−19 第11段落】 ボストリコフ艦長が抜擢した原子炉担当官ヴァディム・ラドチェンコの提案で、というか、それしか手段はないのだが、二人ずつ組になって、 10 分交替で、原子炉の修理をするということに決まる。放射能よけの特別服は備えていなかったので、レインコートまがいの簡単なコートを頭から被って、溶融し続ける魔の炉心の間近で行動する二人組。バベル・ロクテフ(クリスチャン・カマーゴ)達の組。 10 分交替で次の組を入れる。次は三組目、一人は気が狂うほど恐ろしがって拒否する。ヴィクター・ゴレロフ(イングヴァー・エゲルト・シガードソン)が原子炉の修理に入って行った。溶けさかる原子炉にまともに身体を冒され、よれよれになっても独り、修理を続ける。犠牲・使命感…。すると、 890 ℃、 950 ℃ ともう限界近くまで上がっていたのが、遂に、 930 ℃、 900 ℃と落ちてきた。ボストリコフ艦長はゴレロフに感謝する。 【 K−19 第12段落】 神々しい歌声のBGM。『 K−19 』の音楽のクラウス・バデルトは 『 グラディエーター (2000) GLADIATOR 』 『 M:I−2 (2000) MISSION: IMPOSSIBLE 2 / M:I-2 』 『 ハンニバル (2001) HANNIBAL 』 『 パール・ハーバー (2001) PEARL HARBOR 』 『 タイムマシン (2002) THE TIME MACHINE 』 『 リベリオン (2002) EQUILIBRIUM 』 『 リクルート (2003) THE RECRUIT 』 『 閉ざされた森 (2003) BASIC 』 『 セイブ・ザ・ワールド (2003) THE IN-LAWS 』 『 キャットウーマン (2004) CATWOMAN 』等、目覚しい活躍をしている人物だ。 【 K−19 第13段落】 出てきた者は、放射能にもろに汚染され、吐き、高熱と身体中の組織と皮膚の破壊で人間のようでなくなっていく…。(思わず、茨城県東海村原子力発電所の事故の惨状、亡くなった方々のニュースを思い出しました。) その中には、恋人の写真も目が見えなくなった、あのクリシェフもいた。被爆した全身はただれ、もがき苦しむ作業員達。乗艦しているサフラン医師は放射能専門ではないので、なすすべがなく、アスピリンを与えているだけだと言う。どう処置しても治療できないのだ。至近の被爆なら5段階中、5の症状になるらしいが、映像では余りにも残酷になるので3くらいの症状に留めていたそうだ。 【 K−19 第14段落】 艦内は漏れてきた放射能で汚染が始まり、放射能感知器で、コンパートメント(潜水艦は水の流入に備え、ハッチで部屋ごとに切り離されている)の至る所も人間も、ビービーと音を立てて被爆状態が読まれていく。ペットの小さなハツカネズミも仰向けになって、息絶える。放射能の流れを少しでも食い止めるため、換気システムを停止すらする。副艦長は、米軍に助けを求めたらと主張するが、ボストリコフ艦長は断固として拒絶する。そして、海上浮上中に、米軍のヘリコプターが飛んできても、故障ではない、ただ空気を吸っているだけだと言わせる。副艦長には、二度と米軍に降伏するなどということを口に出すなと命じるのだった。そうこうしている間に、また原子炉の温度は上昇し 450 ℃以上になっていく。艦内の放射能を怖がり、海上のデッキに出たまま艦内に戻るのを拒否する者も出て、海に跳び込むという自殺行為をする者すら出てくる極限状態に陥ってきた。・・・ ▲TOPへ ◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say ! 【 K−19 第15段落】 ポレーニン副艦長とボストリコフ艦長は極限状態で初めて心を通わせ、ボストリコフ艦長はこの艦の"父親"であるから、どこまでもついていくと忠誠を誓うのだった。原子炉の修理は失敗に終わった。このままでは、この潜水艦は勿論、付近の米軍の艦船も破壊し、また米国本土も破壊してしまう。この危機状態をボストリコフ艦長は船内放送して、コンパートメントごとの意見を訊く。すると、どのコンパートメントも、ボストリコフ艦長の仰る通りにしますという快い回答が返ってきた。 【 K−19 第16段落】 この間に、原子炉担当官ヴァディム・ラドチェンコは、誰にも言わず、ただ独り、原子炉の修理に入って行った。究極の使命感だ。原子炉内に 18 分も入っていると知ったボストリコフ艦長は、これも独りで、原子炉内に突入し、ラドチェンコを引きずり出してくる。自らの被爆も顧みないで部下を救う(勿論、助からないが)ボストリコフ艦長に、これまで対立ばかりしてきたポレーニン副艦長は尊敬の念をはっきり表す。 270 ℃以下に下がってきて、完全に原子炉はなおった。副艦長は、あなたが選んだ部下がやり遂げましたと心からボストリコフ艦長を称えるのだった。艦長は、全艦に、爆発の危機はラドチェンコの命がけの行動で免れたことを伝え、ラドチェンコこそ英雄、乗組員全員が英雄だと感謝する。 【 K−19 第17段落】 モスクワでは、K−19のトラブルを感知していた。そして、NATOの近くだから米軍の艦船がいるが、極秘の任務ゆえに助けを求めてはならないという通達だ。しかし、現実は、艦内の放射能汚染。原子炉修理をした被爆者を一刻も早く病院に収容しなければならない。また、どんどん被爆していく他の 120 人余りの乗組員達の命を救わなければならない。ボストリコフ艦長は米軍への援助要請を遂に決意する。しかし、ソ連の別の潜水艦が間に合ったので、早速、K−19に横付けしたその潜水艦に一人ずつ乗り移り、裸になって身体を洗われ、放射能を帯びないようにしてもらう。 【 K−19 第18段落】 原子炉修理に携わった7人が亡くなった。ロクテフやクリシェフやゴレロフやラドチェンコは、帰国の途で息を引き取ったと言う。恋人とも家族とも再会を果たせず、前途に広がる人生は途切れてしまった。それに、あと 20 人が被爆で数年後に死んでいった。<ウィドウ・メイカー>の名の通りだった。しかし、K−19の船体、残りの乗員達の命、そして世界を救ったのはボストリコフ艦長の決断であった。モスクワの軍事裁判で、被告席に座っているボストリコフ艦長に、証人のポレーニン副艦長は、力強くボストリコフ艦長の功績を説くのだ。ここにいる誰一人としてボストリコフ艦長を裁く権利はない。なぜなら、あの惨状の現場にいなかったのだから、と裁判官達に熱く陳情するリーアム・ニーソンの副艦長。そして言うのだ、ボストリコフ艦長の下で再び航海できれば名誉です、と。こうしてボストリコフ艦長は放免されたが、二度と潜水艦の艦長にはならなかったという。そして、彼も、生き残った乗組員も、あの事件の口外はご法度であると誓わされた。 【 K−19 第19段落】 1961 年からソ連の崩壊の少し前の 1989 年までの 28 年間、この事件は極秘にされ、亡くなった仲間を悼むことすら許されなかったそうだ。そして、遂に 1989 年、年老いたハリソン・フォードのアレクセイ・ボストリコフ艦長は、白髪と皺の大きくなった苦悶の顔つきで、雪の降りしきる中、かっての部下達の墓参に初めて行けたのだ。そこには、ミハイル・ポレーニン副艦長を筆頭に、あの時の若かった司令官や部下たちが、雪で真っ白になって佇んでいる。みんな敬愛の表情でボストリコフ艦長に敬礼し、全員でかっての仲間達の墓に乾杯するのだった。それにしても、ハリソン・フォードの老け役は『 刑事ジョン・ブック/目撃者 (1985) WITNESS 』等の若き、まだ美しかった頃と余りにも違うなぁ。 【 K−19 第20段落】 因みに、旧ソ連及びロシアの原潜の沈没事故は、この 1961 年のK−19の原子炉事故から、 2000 年まで計9件ある。死者は、2度目は 1968 年、太平洋ハワイ沖で爆発で 70 人、3度目は 1968. 4. 11、同じく太平洋ハワイ沖で原因不明で人数未発表、4度目は 1970. 4. 10、大西洋スペイン沖で火災で 53 人、5度目は 1972. 2. 24、大西洋カナダ沖で火災で 28 人、6度目は 1983. 6. 23、カムチャッカ近海で浸水で 16 人、7度目は 1986. 10. 6、大西洋バミューダ沖で火災爆発で4人、8度目は 1989. 4. 7、ノルウェー海で火災で 42 人、9度目は 2000. 8. 12、バレンツ海で原因不明で何と 118 人、記憶に新しいところだ。逃げ場のない海中での悲劇に心が痛む…。 以上。 <もっと詳しく>からスペースを含まず7109文字/文責:幸田幸 参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集 http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm IMDb allcinema ONLINE Nostalgia.com CinemaClock.com K−19 公式サイト(英語版) http://www.k19movie.com/ 21世紀 核時代 負の遺産 http://www.chugoku-np.co.jp/abom/nuclear_age/former_soviet/011209.html |
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■映画『『 K−19 』の更新記録 2002/11/05新規: ファイル作成 2004/07/14更新: ◆テキスト一部とリンクおよびファイル書式 2005/01/03更新: ◆一部テキスト追記と書式変更 2005/05/23更新: ◆データ追加 2005/10/06更新: ◆追記 |
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幸田 幸 coda_sati@hotmail.com |
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