ニューヨークの恋人 | |||||
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映画の森てんこ森■読む映画試写会■映画解説 | |||||
ニューヨークの恋人 (2001) | |||||
KATE & LEOPOLD | |||||
映画『 ニューヨークの恋人 (2001) KATE
& LEOPOLD 』をレヴュー紹介します。 映画『 ニューヨークの恋人 KATE & LEOPOLD 』を以下に目次別に紹介する。 ■映画『 ニューヨークの恋人 KATE & LEOPOLD 』の解説及びポスター、予告編 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。 ■映画『 ニューヨークの恋人 KATE & LEOPOLD 』の映画データ ■映画『 ニューヨークの恋人 KATE & LEOPOLD 』のトリビア ■映画『 ニューヨークの恋人 KATE & LEOPOLD 』のスタッフとキャスト ■映画『 ニューヨークの恋人 KATE & LEOPOLD 』の<もっと詳しく> <もっと詳しく>は映画『 ニューヨークの恋人 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタばれ)です。※ご注意:映画『 ニューヨークの恋人 (2001) KATE & LEOPOLD 』の内容やネタばれがお好みでない方は読まないで下さい。 ■映画『 ニューヨークの恋人 KATE & LEOPOLD 』の結末 ■映画『 ニューヨークの恋人 KATE & LEOPOLD 』の感想(ネタばれご注意) ■映画『 ニューヨークの恋人 』に因んでエレベーターの総合メーカー、オーティス ■映画『 ニューヨークの恋人 KATE & LEOPOLD 』の更新記録 >>「映画解説・レヴュータイトル一覧表」へ(画面の切り替え) |
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幸の鑑賞評価: 8つ星 | |||||
■映画『 ニューヨークの恋人 (2001) KATE & LEOPOLD 』の解説及びポスター、予告編 | |||||
ニューヨークの恋人
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■映画『 ニューヨークの恋人 KATE & LEOPOLD
』の解説 映画『 ニューヨークの恋人 (2001) KATE & LEOPOLD 』は、『 17歳のカルテ (1999) GIRL, INTERRUPTED 』『 “アイデンティティー” (2003) IDENTITY 』のジェームズ・マンゴールド監督による、ロマ・コメの女王メグ・ライアンとオーストラリア出身の新進スター、ヒュー・ジャックマンの時空を越えたラブ・ストーリー。『 ニューヨークの恋人 』で、もう 40 歳なのにロマ・コメ女王として頑張っているメグ・ライアンはエライ!『 X−メン (2000) X-MEN 』でハリウッド・デビューを果たした『 ニューヨークの恋人 』共演のヒュー・ジャックマン(『 X−MEN2 (2003) X-MEN 2 』『 ヴァン・ヘルシング (2004) VAN HELSING 』等)は、ロンドンやオーストラリアの舞台でも活躍していた実力派。 19 世紀の英国紳士を堂々と演じている。 映画『 ニューヨークの恋人 』では、タイムトンネルを発見した、ケイトの元彼のスチュアート(リーヴ・シュレイバー)は 1876 年のニューヨークへとタイムトラベル。彼の先祖であるレオポルド(ヒュー・ジャックマン)と出会う。スチュアートを不審に思ったレオポルドは彼を追い、一緒にタイムトンネルに落ちてしまう。 19 世紀の進歩的な考えを持つイギリス公爵レオポルドと、 21 世紀のNYを闊歩するキャリアウーマンのケイト(メグ・ライアン)は、運命の恋に落ちる…。それが『 ニューヨークの恋人 』。 |
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●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。 Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com. Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc. |
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■映画『 ニューヨークの恋人 (2001) KATE & LEOPOLD 』の映画データ | |||||
上映時間:118分 公開情報:ギャガ=ヒューマックス アメリカ初公開年月:2001年12月25日 日本初公開年月:2002年6月15日 ジャンル:ロマンス/コメディ/ファンタジー 《米国コピーTagline》 If they lived in the same century they'd be perfect for each other. |
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■映画『 ニューヨークの恋人 (2001) KATE & LEOPOLD 』のトリビア | |||||
■「映画の森てんこ森」にある『 ニューヨークの恋人 』のようなロマンス・コメディ映画レヴュー: 『 踊れトスカーナ! (1996) IL CICLONE (原題) / THE CYCLONE (英題) 』 『 理想の結婚 (1999) AN IDEAL HUSBAND 』 『 25年目のキス (1999) NEVER BEEN KISSED 』 『 ハイ・フィデリティ (2000) HIGH FIDELITY 』 『 キューティ・ブロンド (2001) LEGALLY BLONDE 』 『 Kissingジェシカ (2001) KISSING JESSICA STEIN 』 『 愛しのローズマリー (2001) SHALLOW HAL 』 『 ブリジット・ジョーンズの日記 (2001) BRIDGET JONES'S DIARY 』 『 トゥー・ウィークス・ノーティス (2002) TWO WEEKS NOTICE 』 『 メイド・イン・マンハッタン (2002) MAID IN MANHATTAN 』 『 フル・フロンタル (2002) FULL FRONTAL 』 『 ルールズ・オブ・アトラクション (2002) THE RULES OF ATTRACTION 』 『 ラブ・アクチュアリー (2003) LOVE ACTUALLY 』 『 ジャスト・マリッジ (2003) JUST MARRIED 』 『 ロイヤル・セブンティーン (2003) WHAT A GIRL WANTS 』 『 10日間で男を上手にフル方法 (2003) HOW TO LOSE A GUY IN 10 DAYS 』 『 恋は邪魔者 (2003) DOWN WITH LOVE 』 『 ハッピー・フライト (2003) VIEW FROM THE TOP 』 『 キューティ・ブロンド/ハッピーMAX (2003) LEGALLY BLONDE 2: RED, WHITE & BLONDE 』 |
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【『 ニューヨークの恋人 』のスタッフとキャスト】 | |||||
監督: ジェームズ・マンゴールド James Mangold
製作: キャシー・コンラッド Cathy Konrad 製作総指揮: ケリー・オレント Kerry Orent メリル・ポスター Meryl Poster ボブ・ウェインスタイン Bob Weinstein ハーヴェイ・ウェインスタイン Harvey Weinstein 原案: スティーヴン・ロジャース Steven Rogers 脚本: ジェームズ・マンゴールド James Mangold スティーヴン・ロジャース Steven Rogers 撮影: スチュアート・ドライバーグ Stuart Dryburgh 音楽: ロルフ・ケント Rolfe Kent 出演: メグ・ライアン Meg Ryan ケイト・マッケイ ヒュー・ジャックマン Hugh Jackman レオポルド リーヴ・シュレイバー Liev Schreiber スチュアート ブレッキン・メイヤー Breckin Meyer チャーリー ナターシャ・リオン Natasha Lyonne ダーシー ブラッドリー・ウィットフォード Bradley Whitford J.J. パクストン・ホワイトヘッド Paxton Whitehead ミラード叔父 フィリップ・ボスコ Philip Bosco オーティス ステファニー・サンディス Stephanie Sanditz グレッチェン シャーロット・アヤナ Charlotte Ayanna パトリス ▲TOPへ |
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<もっと詳しく> | |||||
ストーリー展開の前知識やネタばれがお好みでない方は、読まないで下さい。 |
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■映画『 ニューヨークの恋人 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー 私は日本公開前に字幕スーパーなしの英語で観たので、わかる範囲でレヴューします。映画データについては調査した時点と公開される時点で異なる場合があります。本作の内容については、語学力と経験・常識不足のため、間違いや勘違いや適切でない表現があるかもしれません。どうかご理解賜りますようお願いいたします。また、リンクやメールをいただく場合はここを必ずお読みくださいますように。 ▲TOPへ 【ニューヨークの恋人 第01段落】 1876 年、ニューヨーク。建設途中のマンハッタンと対岸のブルックリンに架けられるブルックリン・ブリッジを背景に、ドイツ語訛りの男が壇上でこの新しく築き上げられる建造物の意義を高らかに謳いあげている。その演説を多くの紳士淑女が聴いている。その中には、若い女性からの視線を集める、スラッとして威風堂々とした紳士レオポルド(ヒュー・ジャックマン: 『 X−メン (2000) X-MEN 』 『 X−MEN2 (2003) X-MEN 2 』 『 ヴァン・ヘルシング (2004) VAN HELSING 』)の姿もある。その時彼は、この時代の大きなカメラとは違う、とても小さな薄っぺらいカメラで写真を撮っている男(リーヴ・シュレイバー)を見つける。発明家でもあるレオナルドは好奇心でその男に近づこうとするが、男もレオポルドに気付き、どこかに去ってしまった。 【ニューヨークの恋人 第02段落】 11 年前に南北戦争を終え、1876年というと、アメリカが怒涛の勢いで経済力を伸ばしていた時代だと思う。アメリカン・ドリームを追って、多くの移民達が新大陸を目指した時代だ。イギリスの公爵であるが、レオポルドもアメリカにやって来た理由は彼らと変わらない。財政難に苦しむイギリス貴族のレオポルドは、家名を守るため、お金目当ての結婚をしなければならない状況にあるのだ。ミラード叔父(パクストン・ホワイトヘッド)の勧めで、今夜アメリカの名家出身のリッチな女性を結婚相手に選ばなければならない。ロマンチストで進歩的な思想を持つレオポルドには、そんな結婚は受け入れがたいが、彼には公爵としての義務がある。いやいやながらもパーティーに出席し、花嫁候補の娘の手をとり優雅にダンスを踊る。最初に手をとった娘は、緊張のあまりレオポルドを「 Your Highness (殿下)」と、王室貴族に対する尊称で呼んでしまうほど、洗練されていないアメリカ娘。レオポルドに心からの忠誠で尽くすオーティス(フィリップ・ボスコ)もつい顔をゆがめてしまう。いつも女性に対する礼を欠かさない紳士のレオポルドは、何事も無いようにダンスを踊り始める。レオポルドがダンスを踊っていると、昼間のあの男がいる。その男はレオポルドが考案中のエレベーターの設計図を調べている。レオポルドが声をかけると、逃げだした男は馬車に乗ってブルックリン・ブリッジへと向かった。レオポルドは馬にまたがり彼を追う。建設途中の橋に登っていく男を、レオポルドは必死で追う。なんとその男は橋から川へと跳び込もうとするではないか。レオポルドはその男を助けようとするが、一緒に川に落ちてしまう。 【ニューヨークの恋人 第03段落】 現在のニューヨーク。共感できないラブ・ストーリー映画のマーケティング・リサーチの仕事をし、夜遅くアパートに戻ってきたケイト(メグ・ライアン: 『 イン・ザ・カット (2003) IN THE CUT 』 『 ファイティング×ガール (2004) AGAINST THE ROPES 』等)。彼女は広告会社のマーケティング部で働くキャリア女性だ。映画監督に嫌味は言われるしで、かなり疲れている。それでなくても、4年間付き合っていた、アパートの自室の真上に住んでいるスチュアートと最近別れてからは滅入っているのに…。天井から犬の鳴き声と、大きなものを運んでいる音が聞こえてきた。気になったケイトは外の非常階段を上り、スチュアートの部屋を窓の外から覗いた。するとなんとスチュアートが部屋に気を失った女を連れ込んでいる!?窓が曇っていて、ケイトにはレオポルドが女性に見えたのだ。別れたといっても、こういうのは許せない。ケイトは部屋に戻ってスチュアートに電話をかけるが、すぐに切られる。何度か電話をかけて話をしようとするが、スチュアートは 1876 年のニューヨークに行き、エレベーターの発明家である自分の先祖を連れてきてしまったなどと訳の分からないことを言ったり、挙句の果てには、「人生の最高の4年間を捧げた」というケイトの言葉に「あれが最高?」と答える始末。ケイトはその言葉に傷つき、一人ベッドで涙を流す。 【ニューヨークの恋人 第04段落】 朝、目覚めたレオポルドは見慣れない不思議な光景に驚き、パニックに陥る。そんなレオポルトにスチュアートは懸命に状況を説明しようとするが、スチュアートの飼い犬のバートが散歩したくてうずうずしているので、なかなか落ち着いて話をすることができない。しかし、何とかレオポルドは今自分が未来のニューヨークにいることを理解する。スチュアートはレオポルドに自分のタイムトラベルの理論の描いた紙を渡し、詳しいことは後でと、バートの散歩に出かけた。 【ニューヨークの恋人 第05段落】 エレベーターの発明家であるレオポルドが、発明する前の過去から未来にやってきてしまったためなのだろうか、ニューヨーク中のエレベーターが故障をする。スチュアートはその被害にあう。バートを散歩に連れて行こうとしたスチュアートはアパートのエレベーターの扉が開いた時、まだエレベーターが来ていないことに気付かず、足を踏み出してしまう。スチュアートは足を骨折し、入院する羽目に。 【ニューヨークの恋人 第06段落】 スチュアートの災難を知らないレオポルドは、廊下にいたバートの散歩に行くようにケイトに命令され、 21 世紀のニューヨークの街をビートルズのサージェント・ペッパーのような格好で歩く。でも、さすがニューヨーク、変わった服装のレオポルドを見ても、人々の反応は無関心。昔とは大違いの立ち並ぶ高層ビル、行き交う車や様々な人種、電気店のテレビ画面に映る自分の姿などに、レオポルドは目を見張る。ぶつかりそうになった人や車に、「 I beg your pardon. 」といちいち慇懃に答え、バートのした糞の始末をするように黒人の婦人警官に条例違反をとがめられた時も、紳士としてきっぱりと拒否。(このシーンで気になったのは、犬の尻尾が垂れ下がっていたこと。私の愛犬の経験では犬は糞をするときは、尻尾を上げるのでは?でも、バートくんの演技はとても立派でかわいかった。)そして自分の時代からずっと変わらずに聳え立っていた、ブルックリン・ブリッジを見て感激する。他にもトイレ、水道、髭剃り、冷蔵庫、電話などの、スチュアートの未来体験は観ていて面白かった。 【ニューヨークの恋人 第07段落】 ケイトの会社でもエレベーターの故障で、皆階段を上って行かなければならない。一人自室のベッドで涙を流すケイトとはうって変わり、颯爽とパンツスーツで会社に現れたケイトは、自分専用の秘書とオフィスルームを持っているバリバリの職業婦人だ。ケイトの秘書ダーシー(ナターシャ・リオン)は、ハーレクイン・ロマンスが大好きな女性で、現実主義のケイトと違ってまだロマンを追い求めたいタイプ。ケイトの魅力的な上司のJ.J.(ブラッドリー・ウィットフォード)は、ケイトにシニア・ヴァイス・プレジデントへの昇進をちらつかせながら、ケイトをモノにしようと企んでいる下心満載の男である。J.J.の言葉で、お得意先の会社の商品であるダイエット・マーガリンの「ファーマーズ・バウンティ」の仕事が上手くいけば、自分の昇進は間違いないと思ったケイトは喜ぶ。そんなケイトにスチュアートが入院したという知らせが入る。 【ニューヨークの恋人 第08段落】 もうカノジョではないとはいえ、ケイトはスチュアートの見舞いに行く。物々しい姿でベッドで横たわっているスチュワートは、ケイトに病院から出して欲しいと頼む。 1876 年からやって来たレオポルドを早く過去に戻さないと大変なことになる。彼の発明品のエレベーターがニューヨーク中で故障しているように、彼の子孫である自分も同じようになってしまうと興奮状態でスチュアートは捲し立てる。しかし、ケイトにはスチュアートが気が狂ったようにしか見えない。スチュアートは自分が 1876 年に行った証拠であるカメラフィルムを現像してくれるようにケイトに渡す。 【ニューヨークの恋人 第09段落】 役者志望のケイトの弟、チャーリー(ブレッキン・メイヤー)がケイトの部屋を訪れた時、上階から「ペンザンスの海賊」が良く通るいい声の王立英語で聞えてきた。チャーリーは役者志望と言っても、冴えない感じのお調子者といった雰囲気。チャーリーは興味本位でスチュアートの部屋へと非常階段から上がって行く。部屋の中では、いつもスチュアートに母親がいない間面倒を見てもらっている黒人の少年へクターの前で、見知らぬやけにカッコいい男が物語をドラマティックに語っている。レオポルドを役者だと勘違いしたチャーリーは、すっかり彼のことが気に入った様子だ。ケイトの部屋での夕食にレオポルドを誘う。 【ニューヨークの恋人 第10段落】 食事に招待されたレオポルドは、金糸で飾られたサージェント・ペッパー風のコートをバシッと着こなして、非常階段と繋がっている窓から優雅に現れた。また、その食事の仕方もなんともやんごとない。冷凍食品のポテトを丁寧にナイフとフォークで切り分ける。その様子を唖然と見守るケイトとチャーリー。ハンバーグに取り掛かってみるが、電子レンジがあまかったのかまだカチカチみたい。レオポルドは「次のコースを」と頼むが、ケイトからないとキッパリ言われる。念入りに調理された料理を抜群のタイミングで食してきたレオポルドには、現代の料理に対する考え方にはついていけない。かたやケイトとチャーリーもレオポルドの料理に関する感覚は理解できない。ケイトはスチュアートの話を聞いて混乱していたが、目の前にいるレオポルドを見てもっと混乱してきた。服装、話し方、立ち振る舞い…ケイトが席を離れようとすると、婦人が席を立つ時は紳士も立つのが慣わしだと一緒に立ち上がる…など、彼はまさしく 1876 年から来た男のようだ。しかし、そんな発想は受け入れられない。レオポルドとチャーリーがスチュアートのタイムトラベルの話をし始めると、ケイトはレオポルドに早く上の部屋に戻るようにとキレる。チャーリーは相変わらずレオポルドが役になりきった役者だと思っている。 【ニューヨークの恋人 第11段落】 翌朝、ケイトがストレッチ体操をしていると、上階からけたたましい火災報知機の音が聞えてくる。ケイトが上の部屋に駆けつけると、トースターからの煙が部屋中に充満している。彼女は火災報知機の周りの煙を煽ぎ、報知機の音を止め、黒焦げのトーストをトースターから取り出した。嫌味を言ったケイトに、優雅な言葉で食へのこだわりを捲し立てるレオポルド。「もう一度言って」ケイトはピンときた。レオポルドは「ファーマーズ・バウンティ」のCMキャラクターにピッタリだ。 【ニューヨークの恋人 第12段落】 ケイトはCMの撮り直しのためのモニター室にレオポルドを連れてきた。レオポルドは期待通りだった。「ファーマーズ・バウンティ」を褒め称えるセリフを見事な風格と演技でカメラの前で言ってのける。モニターの女性たちや、ダーシーの反応も抜群だ。これで「ファーマーズ・バウンティ」は成功する。そうなればシニア・ヴァイス・プレジデントの地位が手に入る。J.J.はケイトを意味深にその夜のディナーに誘う。 【ニューヨークの恋人 第13段落】 ケイトは仕事の成功に声を上げて体全体で喜びを表現する。レオポルドは自分の時代の女性とは違って、自分を素直に表現するケイトに惹かれ始めていた。下心のあるJ.J.とディナーに行くのなら付き添いが必要なのではとケイトに進言するが、もちろん却下される。観光馬車に乗りたがっているレオポルドを無視して、ケイトがタクシーを捕まえようとしたその時、彼女のバッグがひったくりに奪われる。ケイトはひったくりを追ってセントラルパークの中へ。しかし、スポーツもしていない女の脚で、男のひったくりの脚に追いつくわけがない。もうダメかと諦めた瞬間、後ろから白馬にまたがって突進してくるレオポルドの姿が。彼は観光客用の馬車から馬を拝借してきたのだ。彼女を馬に乗せ、ひったくりを追い、追い詰め、バッグを見事に奪い返す。レオポルドと一緒に観光馬車に乗ったケイトは呆然と彼を見つめ、「あなた本物?公爵なの?」と尋ねる。「そうだが、公爵の気持ちではない」と答えるレオポルド。 【ニューヨークの恋人 第14段落】 ケイトはJ.J.との夕食に、レオポルドはチャーリーと一緒にクラブへと出かけた。自分の狙っているキレイな女の子パトリス(シャーロット・アヤナ)の気を引こうと、ベラベラとしゃべるチャーリーだが、はっきりと逆効果である。それに対して言葉を口にすると深い教養が現れてしまうレオポルドは、一気にその場にいたチャーリーの友人達の関心を引く。その帰り、チャーリーは自分よりパトリスに気に入られたレオポルドに当たるが、ここはさすがレオポルドである。彼は、チャーリーがパトリスのことが好きなんだけど言い出せずに困っているとパトリスに話し、彼女から電話番号をもらってくれていたのだ。さっそくパトリスに携帯から電話をしようとするチャーリーに、明日の方がいいと恋の手ほどきをするレオポルド。こんな真夜中なのにまだケイトが帰宅していないと知ったレオポルドの様子を見て、彼が自分の姉のケイトに恋しているとわかったチャーリーは、ケイト達がいる高級レストランに彼を連れて行く。 【ニューヨークの恋人 第15段落】 その時ケイトはちょうどピンチだった。J.J.が下心を露わにしてきたのだ。もうはぐらかしは効かないし、昇進の事もある。あぁー、なんて答えよう。しかし、そこにチャーリーとレオポルドが現れてくれた。J.J.は仕方なく彼らの同席も許す。現代の紳士と過去の紳士の教養対決が始まる。このときレオポルドとJ.J.はプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」の話をするのだが、 1876 年からやって来たレオポルドがどうして 1896 年に初演されたこのオペラのことを知っているのかなと、だいぶ疑問に思った。しかし、ロマ・コメ・ファンタジーの映画だからまぁいいか。もちろん対決の軍配はレオポルドに上がるが、ケイトにとっては自分の上司の面目を潰されたことになる。もうシニア・ヴァイス・プレジデントは無理かも。帰宅したケイトは落ち込む。そんな彼女を見てその夜レオポルドは心のこもった謝罪の手紙を手製の羽ペンで書き上げる。 【ニューヨークの恋人 第16段落】 会議の時にレオポルドからの手紙に気付いたケイトは、その美しい文字の手紙に心打たれる。 Dearest Catherine I behaved as imbecile last night animated in part by drink, in part by your beauty and ,in part by my own foolish pride. For that I am profoundly sorry. Please accept as a gesture of apology, private dinner on the roof top tonight at eight o'clock. Leopold 最愛なるケイトへ 昨晩は愚かな振る舞いをした。それは酒のせいであり、あなたの美しさのせいでもあり、また、 私の馬鹿げたプライドのせいでもある。ここに心からお詫びする。 ついては、お詫びの印として、今宵8時、屋上で二人だけのささやかなディナーを開き、ご招待を申し上げる。どうかお受けください。 レオポルド 【ニューヨークの恋人 第17段落】 これ系の話が大好きな秘書ダーシーによって早速書かれた返事を見たケイトは、まだ行くかどうか決めていないと言うが、そんな彼女にダーシーは怒る。ケイトの署名の入った返事がファックスでレオポルドに送信された。 【ニューヨークの恋人 第18段落】 ケイトはクローゼットの奥からまだ値札のはずされていない、大きく胸元をカットした黒いワンピースを取り出した。レースがロマンチックなそのドレスを着てケイトが屋上に上がると、そこはいつもとは別世界だった。ろうそくの火が灯された幻想的な空間に、ヴァイオリン弾きが奏でる美しい音楽。こんなことされたら誰だってまいってしまうにちがいない。もちろんケイトも例外ではない。彼は自分が 1876 年から来たイギリス公爵だと思い込んでいる男だとしても、彼の誠実な心は変わらないはず。ケイトは恋愛に不器用な自分の内面を語る。そしてレオポルドのリードでダンスをし、二人はキスをする。 【ニューヨークの恋人 第19段落】 そしてまたその翌朝が女性にとったらたまらない。ケイトより早く起きたレオポルドは、朝食の用意をしている。そんなところに昨日の夜レオポルドからのアドヴァイスのお陰でパトリスとデートをしたチャーリーが現れる。彼もステキな夜を過ごしたようだ。今まで男運が悪かった姉を心配する弟のチャーリーは、レオポルドに本当は誰なのかを尋ねる。「君のお姉さんを愛している男さ」と答えるレオポルド。 【ニューヨークの恋人 第20段落】 目覚めてきたケイトはレオポルドの優しい心遣いに当然のことながら感激。昨日のディナーの食器類を食洗機にかけ(女性の前で食洗機のスイッチを入れるのがコツ。そうじゃないと感謝されない、というのがチャーリーからレオポルドへのアドヴァイス)、座るのにわざわざイスを引いてくれ、やさしく頬にキスしてくれる。そして朝食とコーヒーをサーヴ。ケイトは思わず目を潤ませる。今日は土曜日。二人でニューヨークの街をデートに出かけよう。 【ニューヨークの恋人 第21段落】 何かに気付いたレオポルドは急に走り出す。彼は自分が暮らしていたミラード叔父の屋敷が現存しているのを見つけたのだ。自分のだった部屋に入り、一応見渡した後、レオポルドは壁の腰板の上の出っ張った部分を引っぱる。なんとそれは隠し引き出しになっていた。その引き出しの中には古い箱が入ってあり、その中には美しい指輪が入っていた。彼の母親のものだそうだ。レオポルドはそれを持ち去る。一部始終を見ていたケイトは驚く。どうしてこんなこと知っているのだろう?彼は本当に…? 【ニューヨークの恋人 第22段落】 日曜日は「ファーマーズ・バウンティ」のCM撮りだった。高貴なイギリス貴族のもとに、パンと「ファーマーズ・バウンティ」を執事が運んでくる。そこでそのイギリス貴族は運ばれてきたマーガリンの素晴らしさを一般大衆に向かって語りかける。セリフを言い終わった後、そのマーガリンを塗ったパンを一かじりして微笑むように言われたレオポルドは、初めて「ファーマーズ・バウンティ」を口にする。そのマズさにレオポルドは怒って出て行ってしまった。彼の後を追うケイト。自分の納得のいかないことでもやり通さなければならないと、仕事の意味を説明しようとするが、大衆を騙すのが仕事かと、働いたことのない理想主義の貴族にはケイトの言葉の意味が理解できない。しかし、学生の頃から今の会社で働き、両親が亡くなってから、弟を学校に行かせるためにずっと働きどおしで、レオナルドの言う嘘だらけで誠意のかけらもない世界で生活のために働き続けてきたケイトの悲しみをレオポルドは理解できた。撮影に戻る。しかし、二人の仲は昨日までとすっかり変わってしまった。帰りのタクシーの中でケイトは「…明日は月曜日、すべては終わったのよ」とレオポルドに告げる。 【ニューヨークの恋人 第23段落】 スチュアートは精神状態を疑われ、精神病棟にいた。レオポルドを早く過去に戻さなければならないタイムリミットは近づいていた。焦るが監禁されていてはどうしようもない。スチュアートは看護婦のグレッチェン(ステファニー・サンディス)に語り始める。人間にとって時間は犬にとっての色と同じで目に見ることはできない。ただ時が過ぎ去るのを感じるだけだ。自分はその時間を見る方法を見つけたが、他の犬が信じてくれないと真剣に話すスチュアートを見て、グレッチェンは「あなたを信じるわ」と感激して目を潤ませる。こうしてスチュアートは病院を抜け出すことができた。 【ニューヨークの恋人 第24段落】 月曜日の朝、ソファで寝ていたレオポルドが目覚めるとスチュアートが帰ってきていた。スチュアートはレオポルドとケイトのことを気付いていたが、レオポルドに冷静になって過去に帰るべきだと言う。レオポルドはスチュアートと一緒にブルックリン・ブリッジへと向かう。・・・ ▲TOPへ ◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say ! 【ニューヨークの恋人 第25段落】 彼を過去に帰した後、悲しい気持ちでピアノを鳴らすスチュアート。そんな時、ケイトからレオポルドに留守番電話が入る。彼女の声は最初シニア・ヴァイス・プレジデントのイスを手に入れたと喜んでいたが、昨日はごめんなさいと急にしおらしくなり、今夜のパーティーの後、会って欲しいと切ない女心を伝えた。しかし、もうレオポルドはここにはいなかった。スチュアートは居たたまれない気持ちになる。そこへチャーリーがやってくる。彼はピアノの上にあるスチュアートが撮影した 1876 年のレオポルドの写真を見て驚く。「彼は本物だったんだ。」そして数枚見ているうちにもっと驚くべき事実を発見する。なんと 1876 年のダンス・パーティーの写真にケイトが写っているのだ。それを見たスチュアートはケイトが過去に行ってレオポルドと結ばれる運命にあることに気付く。レオポルドがパーティーで花嫁を選ぶ前にケイトを過去に送り込まなければならない。スチュアートとチャーリーは今夜のケイトのパーティー会場へと向かう。 【ニューヨークの恋人 第26段落】 偶然にもそこは、嘗てのミラード邸だった。「ファーマーズ・バウンティ」の会社とケイトの会社の合併を祝うパーティーで、この場所でケイトの昇進が公式に発表されることになっている。J.J.のスピーチが終われば、ケイトが壇上に立ってスピーチだ。ケイトはもとレオポルドの部屋で鏡を見つめていた。もうすぐ自分の出番かと階下へ行こうとする彼女の前に、スチュアートとチャーリーが現われ、レオポルドが過去に戻ったことを教える。スチュアートはもっと肝心なことを彼女に伝えようとするが、下で壇上のJ.J.がケイトを呼んでいる。時間がない。ケイトにすべてを信じさせるため、例の写真を渡す。ケイトはそれを持って自分の人生の最高の晴れ舞台になる筈の場所へと上がった。順調にスピーチを始めるケイトだったが、写真を見て驚く。今と同じイヴニング・ドレスを着た自分が 1876 年の写真に写っているではないか。これはもう運命にちがいない。「…私、行かなくちゃ」と彼女は壇上から降りて、スチュアートたちと一緒にブルックリン・ブリッジへと向かった。 【ニューヨークの恋人 第27段落】 恋は跳び降りるもの。ケイトはブルックリン・ブリッジから跳び降りた。彼女が降り立った先は川の中ではない。 1876 年のニューヨークだ。ミラード邸に走りついたケイトだが、招待状がないので中に入れない。そこにレオポルドの愛する召使、オーティスが現われる。「あなたオーティスね」オーティスのことをレオポルドから聞いていたケイトは優しそうな老紳士に話し掛ける。 【ニューヨークの恋人 第28段落】 ケイトが中に入ると、ちょうどレオポルドが花嫁を多くの女性の中から選ぶところだった。レオポルドはわが目を疑った。ケイト・マッケイが立っているではないか。彼は迷うことなく「ケイト・マッケイ」と叫んだ。しかし、どこのケイト・マッケイかを言わなければならない。口ごもるレオポルドの変わりに、ケイトは「マサピクワ」とニューヨーク州ロングアイランドにある地名を言う。二人は抱き合い、キスを交わし、ダンスを踊る。 ▲TOPへ 【映画『 ニューヨークの恋人 』の感想】 【映画『 ニューヨークの恋人 』の感想 第01段落】 とてもロマンチックなストーリーは最高に楽しかった。スチュアートってケイトの子孫ということにもなるんだと考えると、ちょっと以前の二人の関係に違和感を覚えるが、まぁロマ・コメ・ファンタジーの映画だからいいか。現代女性の求める誠意あるステキな男性というのは、過去の遺物でもう存在しない絶滅種なのかも。 【映画『 ニューヨークの恋人 』の感想 第02段落】 字幕なしでこの映画を観て、メグ・ライアンの魅力は声にもあると思った。普通にしゃべっている時はごく普通なのだが、気分が高まったり、大声を上げたりする時の声が、なんとも可愛い。彼女の声のモノまねをして、一人喜んでいる今日この頃である。 ▲TOPへ 【映画『 ニューヨークの恋人 』 エレベーターの総合メーカー、オーティス】 レオポルドの召使の名前と同じ名前である実在する企業オーティスは、世界最大のエレベーター・エスカレーター・動く歩道の総合メーカー。この映画では、エレベーターの発明者であるレオポルドが愛する召使オーティスに会社の経営を任せる等したのかなぁと思わせるが、実際のオーティスとはエリシャ・グレーブス・オーチスのことで、彼がオーティスという会社の創始者だ。彼は 1852 年ニューヨークで行われた万国博覧会で世界初の安全装置付のエレベーターを公開実験した。その時彼は自らがその装置に乗り込むことによって安全性を人々に示したのだそう。 以上。 <もっと詳しく>からスペースを含まず10418文字/文責:幸田幸 参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集 http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm IMDb allcinema ONLINE Nostalgia.com CinemaClock.com Theater @ nifty Otis Elevator Company 公式サイト(英語版) http://www.kateandleopold-themovie.com/ |
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■映画『 ニューヨークの恋人 (2001) KATE &
LEOPOLD 』の更新記録 2002/11/01新規: ファイル作成 2005/03/15更新: ◆一部テキスト追記と書式変更 2005/10/07更新: ◆一部テキスト追記 |
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幸田 幸 coda_sati@hotmail.com |
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