アメリカン・スウィートハート
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アメリカン・スウィートハート (2001)
AMERICA'S SWEETHEARTS
 映画『 アメリカン・スウィートハート (2001) AMERICA'S SWEETHEARTS 』レヴュー紹介します。

 映画『 アメリカン・スウィートハート 』を以下に目次別に紹介する。
■映画『 アメリカン・スウィートハート 』の解説及びポスター、予告編
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 アメリカン・スウィートハート 』の映画データ
■映画『 アメリカン・スウィートハート 』の主なキャスト
■映画『 アメリカン・スウィートハート 』のスタッフとキャスト
■映画『 アメリカン・スウィートハート 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 アメリカン・スウィートハート 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 アメリカン・スウィートハート (2001) AMERICA'S SWEETHEARTS 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 アメリカン・スウィートハート 』の結末
■映画『 アメリカン・スウィートハート 』の更新記録

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幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 アメリカン・スウィートハート AMERICA'S SWEETHEARTS 』の解説及びポスター、予告編
アメリカン・スウィートハート
アメリカン・スウィートハート
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■映画『 アメリカン・スウィートハート 』の解説

  映画『 アメリカン・スウィートハート (2001) AMERICA'S SWEETHEARTS 』は、ビリー・クリスタルとピーター・トラン脚本の、ハリウッドの内幕を描いた風刺コメディ+ラブコメディ。『 アメリカン・スウィートハート 』は 20 世紀フォックスとウォルト・ディズニー・スタジオの責任者として数々のヒット作を手掛けてきたジョー・ロスが、久々に監督業を行った作品である。
 映画『 アメリカン・スウィートハート 』では、『 エリン・ブロコビッチ (2000) ERIN BROCKOVICH 』で 2000 年度アカデミー主演女優賞に輝き、名実共にハリウッドの大女優となったジュリア・ロバーツが、ジュリアのような(?)大女優である姉グウェンにこき使われている付き人の妹キキを演じる。その姉グウェンには、『 トラフィック(2000) TRAFFIC 』のキャサリン・ゼタ・ジョーンズ。ジュリア・ロバーツに劣らない美しさを披露し、傲慢な大女優ぶりがとてもチャーミングである。グウェンの夫で、キキが想いを寄せるスターのエディには、『 セレンディピティ (2001) SERENDIPITY 』のジョン・キューザック。そして三人をうまく操る伝説の映画宣伝マンを、多才なビリー・クリスタルが務める。
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 アメリカン・スウィートハート (2001) AMERICA'S SWEETHEARTS 』の映画データ
 上映時間:103分
 製作国:アメリカ
 公開情報:東宝東和
 アメリカ初公開年月:2001年7月20日
 日本初公開年月:2002年3月2日
 ジャンル:コメディ/ロマンス
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■映画『 アメリカン・スウィートハート (2001) AMERICA'S SWEETHEARTS 』の主なキャスト
●ジュリア・ロバーツ as キキ・ハリソン
プリティ・ブライド (1999) RUNAWAY BRIDE
ノッティングヒルの恋人 (1999) NOTTING HILL
エリン・ブロコビッチ (2000) ERIN BROCKOVICH 』< 2001 年アカデミー主演女優賞受賞>
アメリカン・スウィートハート (2001) AMERICA'S SWEETHEARTS
オーシャンズ11 (2001) OCEAN'S ELEVEN
フル・フロンタル (2002) FULL FRONTAL
コンフェッション (2002) CONFESSIONS OF A DANGEROUS MIND
モナリザ・スマイル (2003) MONA LISA SMILE
オーシャンズ12 (2004) OCEAN'S TWELVE
クローサー (2004) CLOSER

●キャサリン・ゼタ・ジョーンズ as グウェン・ハリソン
シカゴ (2002) CHICAGO
シンドバッド 7つの海の伝説 (2003) SINBAD: LEGEND OF THE SEVEN SEAS
ディボース・ショウ (2003) INTOLERABLE CRUELTY
ターミナル (2004) THE TERMINAL
オーシャンズ12 (2004) OCEAN'S TWELVE

●ジョン・キューザック as エディ・トーマス
ハイ・フィデリティ (2000) HIGH FIDELITY
セレンディピティ (2001) SERENDIPITY
アダプテーション (2002) ADAPTATION
アドルフの画集 (2002) MAX
“アイデンティティー” (2003) IDENTITY 』
ニューオーリンズ・トライアル (2003) RUNAWAY JURY
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【『 アメリカン・スウィートハート 』のスタッフとキャスト】
監督: ジョー・ロス Joe Roth
製作: スーザン・アーノルド Susan Arnold
    ビリー・クリスタル Billy Crystal
    ドナ・ロス Donna Roth
製作総指揮: チャールズ・ニューワース Charles Newirth
    ピーター・トラン Peter Tolan
脚本: ビリー・クリスタル Billy Crystal
    ピーター・トラン Peter Tolan
撮影: フェドン・パパマイケル Phedon Papamichael
音楽: ジェームズ・ニュートン・ハワード James Newton Howard

出演: ジュリア・ロバーツ Julia Roberts キキ・ハリソン
    キャサリン・ゼタ・ジョーンズ Catherine Zeta Jones グウェン・ハリソン
    ジョン・キューザック John Cusack エディ・トーマス
    ビリー・クリスタル Billy Crystal リー・フィリップス
    ハンク・アザリア Hank Azaria ヘクター
    スタンリー・トゥッチ Stanley Tucci デイヴ・キングマン
    クリストファー・ウォーケン Christopher Walken ハル・ワイドマン
    セス・グリーン Seth Green ダニー・ワックス
    アラン・アーキン Alan Arkin 伝道師
    ラリー・キング Larry King 本人 (トーク・ショウのホスト)

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ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。
■映画『 アメリカン・スウィートハート 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー

【アメリカン・スウィートハート 第01段落】  グウェン・ハリソン(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)とエディ・トーマス(ジョン・キューザック)は、“ America’s Sweethearts ”(アメリカの理想のカップル=アメリカン・スウィートハート)と呼ばれる芸能人夫婦。二人が出演するメロドラマ風の映画はどれも大ヒット。スクリーンに映る彼らの演技は、まるで往年の映画スターを意識した、大袈裟な感じ。しかし、二人の仲は妻グウェンがスペイン男と不倫したおかげで、破局を迎えてしまった。

【アメリカン・スウィートハート 第02段落】  ハリウッド・スターの理想のカップルで思いつくのは誰だろう。デミ・ムーアとブルース・ウィリス、二コール・キッドマンとトム・クルーズ、メグ・ライアンとデニス・クエイドとかは既に離婚しているし…。「 LA Times 」のこの映画についてのレヴューには、ダグラス・フェアバンクス( 1883-1939 )とメアリー・ピックフォード( 1893-1979 )、エリザベス・テイラー( 1932- )とエディ・フィッシャー( 1928- )という、往年の元カップルの名が挙がっていた。「グウェンとエディに比べると、ダグラス・フェアバンクスとメアリー・ピックフォードの関係は気取っているし、エリザベス・テイラーとエディ・フィッシャーの関係は線香花火のようだった」と書かれていた。それってどういうことだろう。ちょっと調べてみた。

【アメリカン・スウィートハート 第03段落】  ダグラス・フェアバンクスは、 1910 年代までには豊かな演技力と肉体的な機敏さでブロードウェイのスターとなり、 1920 年代には、自身の映画のヒットで「キング・オブ・ハリウッド」と呼ばれた。ダグラス・フェアバンクスと同じように初期の映画スターの一人であるメアリー・ピックフォードは、無邪気さのシンボルとなり、“ America's sweetheart ”(アメリカの恋人)として知られたそうだ。彼らは 15 年間の結婚生活の末、 1935 年に離婚している。

【アメリカン・スウィートハート 第04段落】  エリザベス・テイラーといえば、8回も失敗している結婚遍歴で有名だ。この映画でジョン・キューザック演じるエディ( Eddie )と同じ名前のエディ・フィッシャー( Eddie Fisher )は、彼女の4人目の夫。彼との結婚は当時タブロイド紙を大いに賑わせたそうだ。3人目の夫であったプロデューサーのマイク・トッドが結婚の翌年に飛行機事故で亡くなったとき、『 バタフィールド8 (1960) BUTTERFIELD 8 』の共演で知り合ったエディが彼女を慰め、二人は恋に落ちた。しかし、問題なのはエディには妻デビー・レイノルズがいたこと。世界で最もグラマラスな未亡人は、一気にエディとデビーを破局させた女性として認知されることになる。しかし、この一件は三人のキャリアを押し上げることになった。(なんかこの映画のストーリーの感じと似ていないこともない??)

【アメリカン・スウィートハート 第05段落】  こんなに話題になったにもかかわらず、エリザベスは『 クレオパトラ (1963) CLEOPATRA 』で共演したリチャード・バートン(妻子有)と結婚するため、エディのもとを去る。そして 2001 年、エリザベスが『 These Old Broads 』というABCのTV映画に出演したおかげで、この古いゴシップが新たな話題となった。共演者はシャーリー・マクレーン、ジョーン・コリンズそしてなんとデビー・レイノルズ!その上この企画はデビー・レイノルズとエディ・フィッシャーの娘であるキャリー・フィッシャーが共同脚本、息子のトッド・フィッシャーが脇役で出演するというもの。エリザベスとデビーは遠い昔に蟠りは置いてきたと素早く指摘したにもかかわらず、アメリカ中のゴシップ欄で話題となったそうだ。TV映画放送の一ヶ月前には、CNNの「ラリー・キング・ライブ」に出演(この映画でもこの番組にグウェンが出演している)、珍しくライブ・インタビューに応じた。その中で彼女は「名前さえ思い出したくない人物」とエディ・フィッシャーについて語り、デビー・レイノルズとはよく二人で仲良く共通の元夫についての愚痴話をしては楽しんでいるという。うーん、この映画を観た後では俄かに信じられない話だ。

【アメリカン・スウィートハート 第06段落】  Japan’s Sweethearts なら、高島忠夫さんと寿美花代さん、津川雅彦さんと朝丘雪路さんとか、三浦友和さんと山口百恵さん、若いところでは最近のTVCMで目に付く、保坂尚輝さんと高岡早紀さんなんかが頭に浮かぶ。因みにシチズン時計が行った 2002 年の調査では、木村拓哉さん(『 ハウルの動く城 (2004) HOWL'S MOVING CASTLE 』)と工藤静香さんのカップルが「あなたが選ぶ“理想の有名人カップル”」の第1位に輝いているみたい。

【アメリカン・スウィートハート 第07段落】  映画制作会社の伝説の宣伝マン、リー・フィリップス(ビリー・クリスタル:『 アナライズ・ユー (2002) ANALYZE THAT 』)は、会社のプロデューサー、デイヴ・キングマン(スタンリー・トゥッチ:『 真夏の夜の夢 (1999) WILLIAM SHAKESPEARE'S A MIDSUMMER NIGHT'S DREAM 』出演)から先週クビを言い渡されたばかり。しかし、そのキングマンがリーに泣きついてきた。なぜなら、グウェンとエディの新作SF映画『 時を越えて TIME OVER TIME 』のフィルムが、この映画の監督ハル・ワイドマン(クリストファー・ウォーケン:
スリーピー・ホロウ (1999) SLEEPY HOLLOW
ジョー・ダート (原題)(2001)JOE DIRT
マリー・アントワネットの首飾り (2001) THE AFFAIR OF THE NECKLACE
カントリー・ベアーズ (2002) THE COUNTRY BEARS
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン (2002) CATCH ME IF YOU CAN
カンガルー・ジャック (2003) KANGAROO JACK
ジーリ 2003) GIGLI
ランダウン ロッキング・ザ・アマゾン (2003) THE RUNDOWN 』
『 マイ・ボディガード (2004) MAN ON FIRE
隣のリッチマン (2003) ENVY
ステップフォード・ワイフ (2004) THE STEPFORD WIVES 』出演)から届けられないからだ。ワイドマンからキングマンに送られてきたのは、たった 20 秒のタイトルだけ。監督は映画を完成試写会(ジャンケット)で先にマスコミに見せるつもりだ。作品を事前に確認できない上に、作品がジャンケットまでに間に合わないかもしれないなんて、キングマンにとっては悪夢だ。この2年間ヒット作に恵まれなかった埋め合わせが、グウェンとエディのこの新作なのに。

【アメリカン・スウィートハート 第08段落】  クリストファー・ウォーケン演じるハル・ワイドマンは、3度のオスカー受賞歴を持つ天才監督でもあり、ユナボマー(アメリカの有名な爆弾魔)が荒野に立てた小屋を買い取って瀟洒な自宅の庭に設置し、そこで映画編集をしているというヘンな監督でもある。その名前と風貌には『 夜の大捜査線 (1967) IN THE HEAT OF THE NIGHT 』でアカデミー脚本賞受賞、『 帰郷 (1978) COMING HOME 』でアカデミー監督賞にノミネートされたハル・アシュビーを思わせるそうだ。ハル・アシュビー監督は 1970 年代に最も多作で最も成功している映画製作者のうちの一人である。しかし、「 A Biographical Dictionary of Film 」という本の中では、“強力なコラボレーターに依存する、悲しい犠牲者”と呼ばれているようで、この映画のハル・ワイドマンは、そんなストレスにブチ切れちゃったアシュビー監督という設定なのかもしれないと思った。

【アメリカン・スウィートハート 第09段落】  マスコミの注意が映画の内容に行かないようにするには、世紀のカップルであるグウェンとエディがヨリを戻すという話題が必要だ。実際に二人がヨリを戻す必要はない。ただ映画の宣伝になるようにマスコミの目を引けばいいのだ。しかし、二人の仲は今や絶望的である。エディは、グウェンが中華料理店でスペイン人の恋人と食事をするのを目撃。愛する妻の不倫に怒り心頭の彼はバイクで中華料理店に突っ込んでいくという事件があったのだ。このシーンは、『 ハイ・フィデリティ (2000) HIGH FIDELITY 』のジョン・キューザックがキャサリン・ゼタ・ジョーンズに失恋するシーンを思い出させた。ジョン・キューザックが雨でびしょぬれというところが一緒だから。この事件で、グウェンにストーカー行為で訴えられたエディは、現在施設で精神療養中だ。リーはクビを撤回するのと引き換えに、二人の復縁を仕掛けるというキングマンの仕事を受けることにする。

【アメリカン・スウィートハート 第10段落】  再び映画宣伝の仕事に復帰できたリーは、張り切って部下に指示を出す。映画から記者たちの意識をそらすには、ジャンケットは隔絶された場所で行い、お土産は豪華なものにする。リーの後任を務めるはずだったダニー・ワックス(セス・グリーン)は、まだまだ経験の足りない若者で、折に触れてリーは彼に宣伝マンの鉄則を教える。鉄則その1「手柄は自分のもの」鉄則その2「相手の反応を見るまで返事はするな」鉄則その3「作品を売るためなら愛さえ捨てろ、宣伝が第一だ」オトボケ宣伝マン、ダニー・ワックス役のセス・グリーンは、
オースティン・パワーズ (1997) AUSTIN POWERS: INTERNATIONAL MAN OF MYSTERYシリーズ
オースティン・パワーズ ゴールドメンバー (2002) AUSTIN POWERS IN GOLDMEMBER 』の Dr. イーヴルの息子スコット役でも、面白さ満載のカワイイ俳優だ。この映画でもそのお茶目振りを発揮している。

【アメリカン・スウィートハート 第11段落】  そして一番大切なことは、別居中のグウェンとエディにジャンケットに出席してもらわなければならないということ。グウェンはエディのしたことを全然許していないし、エディも妻を奪われたショックから立ち直れず、療養施設で怪しげな伝道師(アラン・アーキン)から治療を受けているといった状態だ。エディの療養施設を訪ねたリーは、エディの心の治療に当たっているその伝道師にコンバーチブルの車を提供することで、エディを退院させることに成功。しかし、まだまだエディの神経衰弱っぽいところがちょっと心配。また、リーはグウェンを説得させるのに最適の人物を知っていた。それはグウェンの妹で付き人のキキ(ジュリア・ロバーツ)だ。久しぶりにキキと出会ったリーは彼女がとても美しくなったことに驚く。そんなリーを見て、グウェンは忌々しそうに「 30 キロ痩せたのよ」と教える。グウェンはとっても我侭で自己中心的、いつも身の回りの世話をしてくれている妹が痩せてキレイだと言われることも気に触るくらい自己顕示欲の強い女性である。しかし、そこが彼女の魅力だとも言える。エディとの別れで落ち目になってきていることを不安がるグウェンに、キキはエディに優しくしてファンの信頼を取り戻そうと提案。グウェンはエディに離婚届も渡せるしと、ジャンケットに出向くことを決める。そんなグウェンに「本当に(離婚して)いいの?」と尋ねるキキの心には、忘れられないエディとの思い出があった。

【アメリカン・スウィートハート 第12段落】  ジャンケットは、ネヴァダ州の砂漠の中にあるハイアット・リージェンシー・レイク・ラスベガス・リゾートで行われる。二台のリムジンが連なって砂漠の中のハイウェイを進む。一台にはエディが、もう一台にはグウェンとキキたち、そしてリーが乗っている。いくら精神的には最悪のコンディションでも、さすが二人はプロの俳優である。ホテルに到着すると、カメラや記者たちが群がる中を、スターの貫禄たっぷりで笑顔を振り撒きながら中へと入っていく。宣伝マンのリーにとっては、まずは大成功である。

【アメリカン・スウィートハート 第13段落】  傲慢女優のグウェン、彼女をまだ想っている神経衰弱のエディ、その彼を密かに想っているキキというフクザツな関係を利用し、宣伝第一主義のリーは次々と腕前を発揮していく。

【アメリカン・スウィートハート 第14段落】  まずは、グウェンの姿を一目でもいいから見たいという、情けないエディが、グウェンの滞在するホテル内のコテージまでやって来る。塀にぶら下がって、その隙間から中を覗いたエディは、プールサイドに立つ美しい女性の後姿を発見。それは痩せてキレイになったキキの姿だったのだが、エディはグウェンだと勘違いする。そして外のサボテンの上に落ちてしまう。ちょうど股のところにサボテンのトゲが刺さってしまい、エディは必死でトゲを抜くが、その様子を監視カメラに撮られてしまう。ホテルの警備員がその映像を見て、エディのことを自慰にふける変態だと思ってしまった!宣伝マンは大変である。エディを助けるため、その場に駆けつけたリーとダニーは、事件の揉み消しを図る。…ようにエディには見えた。実は、リーは映画の宣伝効果を狙ってその映像テープをTV局に渡し、その夜のうちにゴシップにしてしまったのだ。

【アメリカン・スウィートハート 第15段落】  お次は、エディのトンデモ映像をTVで観て、明日のインタヴューが心配になったグウェンが、彼を呼び出して打ち合わせの話をしたことを復縁の噂にする。グウェンがいつものようにキキに甘えて、嫌がる彼女をエディのもとへと使いに出した。キキはあの夜以来、久しぶりにエディと出会うのに緊張している。あの夜とはグウェンとの破局で落ち込んでいるエディをキキが慰めに行った夜だ。当時キキはまだデップリとしており、ジュリア・ロバーツが特殊メイクで巨漢女性になっている。『 愛しのローズマリー (2001) SHALLOW HAL 』のグウィネス・パルトロウの方が、別人度が高く、迫力があるかな。太ったジュリア・ロバーツは、年老いたジュリア・ロバーツって感じに見えた。あの夜、エディはキキにキスをして抱きしめた。キキにとっては、大好きな義兄さんが、大好きな男性になった瞬間だ。しかし、破局したとはいえ、エディはまだグウェンを愛している。それにエディを訴えたグウェンの手前、会いに行くことも出来ない。心の中では、もしかしたら…という期待が膨らんでいく。キキにとっては、二人が破局してから1年、そういう複雑な思いが続いていたのだ。

【アメリカン・スウィートハート 第16段落】  キキが痩せていったのは、よく理解できる。色恋沙汰と無縁で生きてきたのに、突然そんなことが起こってしまうと、何となく食べたくないし、キレイになりたい(なれるかは別にして)願望が、普通のときより増してしまうっていうのが、女心だと思う。キキの場合は、元がジュリア・ロバーツだから、痩せて美しく変身することが出来た。羨ましい限りデス。しかし、そんな乙女心を踏みにじるエディの一言。「あの晩は最悪だった」お酒に酔っ払っていたエディは、キキにキスをしたこともはっきりとは覚えていない。ショックのキキ。

【アメリカン・スウィートハート 第17段落】  キキはエディをグウェンが待つところまで連れて行く。そんな二人の姿をリーとダニーは見逃してはいなかった。グウェンとエディが深夜に車内で密会しているのを、バッチリスクープ。実際の二人の会話は、明日のインタヴューのための口裏あわせ。険悪に別れた二人だったが、翌朝のTVで車内の二人のちょうどいいアングルの写真が放送され、復縁が話題となる。

【アメリカン・スウィートハート 第18段落】  ここまで来たらもう一押しである。グウェンとエディにホテルのレストランでディナーをさせることが出来れば、記者たちは映画を忘れる。リーはグウェンとエディが一緒に食事をするように仕掛ける。グウェンをエサにすればエディはやって来る。問題はグウェンである。その日、長時間エディと一緒にそれぞれの記者からインタヴューを受けたグウェンは、もうエディに会うのはウンザリだった。頭痛がするから食事には行かないと、キキに言わせようとする。キキは、高校時代からグウェンが言いたくない別れ話を自分が相手に伝えてきたと不満を語るが、さすが妹をこき使ってきた姉は心得ている。キキが行かなければ、エディは待ちぼうけだとグウェンは言ってのける。

【アメリカン・スウィートハート 第19段落】  テーブルで待つエディの元に、黒いドレスを着たキキがやって来る。その美しい姿に、エディはドキリ。彼女の胸に輝くネックレスは、以前自分がグウェンにあげたものだったが、別にそれほど傷つかない。楽しい会話を弾ませて、キキとエディはすっかりいい感じである。リーは代役のキキでは話題にならないと、すぐにグウェンに電話をかける。エディとキレイなキキが一緒にいると恋人同士に見えるから、噂をもみ消すのに大変だ、みたいなことをリーはグウェンに話す。さすがリーである。グウェンは真っ赤なドレスを着て、レストランに現れた。そしてエディがとめるのも聞かずに、キキを部屋へと返す。リーにとっては喜ばしいことに、そこへもっと宣伝効果の上がるモノがやってきた。リーはダニーにカメラマンを呼んでくるように指示。TVを観てグウェンとエディの復縁が心配になった、グウェンのスペイン男ヘクター(ハンク・アザリア)がやってきたのだ。ヘクターはエディにケンカを売るが、エディは誘いに乗ろうとはせずに帰ろうとする。リーも突然現れたキングマンも、エディが殴ってくれればと願う。そしてその願いどおりになる。ヘクターがエディにワインをブッ掛けたのだ。エディはテーブルに押さえつけたヘクターの口にパンを押し込むが、八ッと我に帰る。その隙にヘクターはトレーでエディをぶん殴り、あえなくエディはKOとなる。

【アメリカン・スウィートハート 第20段落】  キングマンはリーの活躍に大満足だった。そんなキングマンにリーは、エディの自殺未遂という話題の提供をほのめかす。映画がジャンケットに間に合うかどうかはまだ分からず、追い詰められているキングマンは、初日にエディが自殺したらどうなると思うと、真顔でリーに話す。リーはキングマンに「お休み」とだけ答える。しぇー、すごいショービジネスの世界。

【アメリカン・スウィートハート 第21段落】  足元のおぼつかないエディを介抱して部屋までつれてきたのは、キキだった。そして二人はそのまま一夜を過ごす。翌朝、キキにとってはもう夢のよう。思い続けていたエディがルームサービスのトーストを優しく自分に手渡してくれる。しかし、そんな幸せな時間もほんの束の間、グウェンから電話がかかってくると、エディは急いでグウェンの許に飛んで行こうと服を着替える。そんなエディを置いてキキは悲しい気持ちで部屋を出た。

【アメリカン・スウィートハート 第22段落】  コテージに戻ったキキは、グウェンの希望で、彼女とエディにスクランブルエッグを作らされる。キキが台所で料理をしている間、グウェンとエディは楽しく台詞を言い合ったりしている。そして、極めつけは、「新しい恋人は?」というグウェンの質問に、エディが「特にいない」と答えたこと。頭にきたキキは、エディにスクランブルエッグをブッ掛け、グウェンがネヴァダに来たのは、エディに離婚届を渡すためだと言って、コテージを出て行った。そんなキキを見てグウェンがエディに一言。「デブの頃は素直だったのに。」エディはキキの後を追う。怒っているキキは、エディがグウェンだと思ったプールサイドの女性は自分だと打ち明けてエディの許を去る。

【アメリカン・スウィートハート 第23段落】  怒りと悲しさと 33 年間の人生の空しさで胸が一杯のキキは、ビュッフェで思いっきり食べていた。そこへリーが現れ、キキの話を聞く。キキは姉のことは大好きだと言いながらも、グウェンの愚痴を言う。自分に似合わないグリーンのドレスがキキに似合ったら、グウェンはキキにそのドレスを返すように言ったとか等など。そう言えば、その朝のキキのセーターはグリーン。自分に似合うグリーンで、姉グウェンに対抗してたんだね。切ないなぁ。しかし、その切なさがあまり伝わらないのは、本物の超美しいハリウッド大女優ジュリア・ロバーツが演じているからだろう。初めジュリア・ロバーツには、グウェンの役がオファーされていたらしいが、脚本を読んでキキが気に入った彼女は、自分からキキ役を申し出たのだそうだ。彼女には『 プリティ・ブライド (1999) RUNAWAY BRIDE 』や『 ノッティングヒルの恋人 (1999) NOTTING HILL 』のような華やかな役のほうが似合うんじゃないかなぁと思うので、ちょっとジュリア・ロバーツのグウェンも観てみたい気がする。そんな自暴自棄のキキに、リーはエディがキキを見るような目でグウェンを見たことがない、エディに恋をしているなら突き進めと励ます。

【アメリカン・スウィートハート 第24段落】  ジャンケットが始まる前の、立食パーティーがホテルの屋外で行われていた。まだハル・ワイドマンからフィルムが届かないので、キングマンとリーは不安で一杯だ。そこにホテルの屋根の上にエディの姿!グウェンが離婚の話をしたからだわと呟くと、リーは本物の自殺だと思い、急いでエディを助けに行く。そんな中、エディが落ちることを願うキングマンとヘクター。願いが少し届いたのか、リーが開けた屋上のドアがエディに当たってしまう。エディは屋根を滑り落ち、危機一髪のところで止まる。リーは消防用のホースをエディに投げ、彼を引っ張り上げることに成功!今の事件がエンターテインメントであると記者たちに思わせるために、下の人々に手を上げて見せるリーとエディ。すると下からは拍手が上がる。エディが屋根の上に上がったのは、自殺をするためではなく、高い所で瞑想するためだったらしい。下の人たちから見えないところに引き下がると、エディは「おしまいだ。彼女を失った」と座り込んでしまう。“彼女”が指すのはグウェンだと思ったリーは、彼を慰めようとするが、それはキキのことだった。今朝のキキを知っているリーは、まだ間に合うとエディを励ます。すると、空からヘリコプターが!ハルがフィルムを持って現れたのだ。・・・

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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【アメリカン・スウィートハート 第25段落】  披露試写が始まる。プロデューサーのキングマンが人々に挨拶をしようとマイクを持って少し話そうとするが、映画の主権は監督にあると言わんばかりにハルがマイクを奪い語り始める。この映画は彼が作り上げた最も誠実な、そして涙なしには語れない映画だそうだ。あれっ?そんな脚本だったっけ?関係者たちが不思議に思う中、映画は始まる。すると、突然ユナボマーの小屋の中にいるハル・ワイドマン監督のアップ。スクリーンの中の監督は言う。脚本はひどいから捨てたと。監督は真実を語る映画を撮影するため、出演者には黙って、映画の撮影後もカメラを回し続けたのだそうだ。監督の実験的な映画の中に、キングマンやその秘書、グウェンとエディの口論がドキュメンタリーとなって映し出されていく。そしてグウェンの真実が暴露される。ヘクターとの関係を当時まだ太かったキキに話すグウェン。ヘクターと関係を持ったのは、愛があるからではなく、ただやりたかったからと話している自分を見て、グウェンは青ざめる。彼女はすぐさま映画の上映を止めるように言い、イメージを傷つけられため、訴えると立ち上がる。

【アメリカン・スウィートハート 第26段落】  上映は中止された。イメージの回復をするには、エディとヨリを戻すしかないと考えたグウェンは、マイクを取ってエディとの復縁を宣言し、エディを呼ぶ。観に来ていたキキにはショックな光景だ。しかし、エディはグウェンにはっきりと言う。自分はスクリーンの美女を愛したが、目の前にいるグウェンとは一緒にいたくない。なぜならグウェンの妹に恋をしたから。公衆の面前でプライドをズタズタにされたグウェンは、事の次第を確かめるため、客席にいるキキも前に呼ぶ。キキも自分の気持ちをはっきりとグウェンに伝える。まずグウェンのことが大好きなこと。昨夜まではエディとは何もなかったこと。もうグウェンに合わせた人生は送りたくないこと。それらを聞いたグウェンは、演技か本心かはわからないが、「私が何より願っているのは、あなたの幸せよ」とキキを抱きしめ、その場を去る。

【アメリカン・スウィートハート 第27段落】  そして今度は「君と一緒にいたい」と言うエディにキキは尋ねる。「いつ決めたの?」「君を失いかけたとき」というエディの返事は、キキを満足させたが、まだ不安だ。だが自分に感謝の気持ちを言葉で表してくれるエディに、いつまでも躊躇はしていられない。キキがまるで映画のヒロインのようにエディとキスをすると、拍手が沸き起こる。

【アメリカン・スウィートハート 第28段落】  ジャンケットは見事成功!グウェンはこの一件で見事カムバックすることができ、キキとエディは二人でどこかに…。ハッピー・エンド!なんだけど、ハリウッドの風刺映画だから、エディとキキもいつか別れてしまうのかなぁと心配してみたりする。キキは女優じゃないから大丈夫だと思いたい。

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず10574文字/文責:幸田幸

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      http://www.imagesjournal.com/index.html
      公式サイト(英語版)
       http://www.mediatrip.com/americassweethearts/
■映画『 アメリカン・スウィートハート 』の更新記録
2002/12/10新規: ファイル作成
2004/07/08更新: ◆テキスト一部とリンクおよびファイル書式
2005/03/14更新: ◆一部テキスト追記と書式変更
2005/06/17更新: ◆データ追加
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幸田 幸
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