エニグマ
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エニグマ (2002)
ENIGMA
 映画『 エニグマ (2002) ENIGMA 』をレヴュー紹介します。

 映画『 エニグマ (2002) ENIGMA 』を以下に目次的に紹介する。
■映画『 エニグマ (2002) ENIGMA 』のポスター、予告編および映画データ
■映画『 エニグマ (2002) ENIGMA 』の解説
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 エニグマ (2002) ENIGMA 』の主なスタッフ
■映画『 エニグマ (2002) ENIGMA 』スタッフとキャスト
■映画『 エニグマ (2002) ENIGMA 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 エニグマ 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタばれ)です。※ご注意:映画『 エニグマ (2002) ENIGMA 』の内容やネタばれがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 エニグマ (2002) ENIGMA 』の結末
■映画『 エニグマ (2002) ENIGMA 』の更新記録

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幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 エニグマ (2002) ENIGMA 』のポスター、予告編および映画データ
エニグマ
エニグマ

Links:  Official Web Site
Trailers:  Quick Time14.5Mb
上映時間 Runtime: 1:57
製作国 Country: イギリス/アメリカ/ドイツ/オランダ
UK / USA / Germany / Netherlands
製作会社
Production Company:
Broadway Pictures
Broadway Video [us]
InterMedia Film Equities Ltd. [uk]
Jagged Films [uk]
Meespierson Film CV [nl]
Mulholland Pictures BV [nl]
Senator Film Produktion GmbH [de]
全米配給会社 Distributer: Miramax Films [us]
Columbia TriStar [us]
Manhattan Pictures International (2002, USA)
全米初公開
Release Date:
2002/04/19
日本初公開
R. D. in Japan:
2003/05/17 予定
日本公開情報 : 松竹
ジャンル Genre: ロマンス/サスペンス
Romance / Thriller
MPAA Rating 指定: Rated R for a sex scene and language.
日本語公式サイト
http://www.enigma-movie.com/
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 エニグマ (2002) ENIGMA 』の解説

 映画『 エニグマ (2002) ENIGMA 』のタイトルの「 ENIGMA 」とは、第二次世界大戦でナチスドイツが使用した機密コードマシン、エニグマのこと。
 映画『 エニグマ 』のストーリー...1943 年 3 月、英国はブレッチレー・パーク Bletchley Park にある連合軍の暗号解読拠点は、重大な危機に見舞われていた。ナチスドイツが、予期せぬ暗号の変更をしたのだ。暗号が解読されねば、4日後には、北大西洋を航海中の連合軍の船舶と、一万人の乗客、戦争備品は大攻撃を受けてしまう。そこで、解読に抜擢されたのが若き数学者トム・ジェリコ(ダグレー・スコット)。当局がブレッチレー・パーク内にスパイがいると懐疑した頃、ジェリコの恋人クレア(サフロン・バロウズ)が消息を絶つ…。
 エニグマ解読成功がなかったら、第二次世界大戦で連合国の勝利はなかったと言われるほど、この暗号システムは戦争の勝敗を左右するものだったのだ。ミック・ジャガーがこの映画『 エニグマ 』を製作しているのも話題。映画『 エニグマ 』には特に派手なシーンはない。しかし、映画『 エニグマ 』で映し出されるイギリスの田園と緑が綺麗だった。

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■映画『 エニグマ (2002) ENIGMA 』の主なスタッフ

○『 エニグマ 』の監督のマイケル・アプテッドは
007/ワールド・イズ・ノット・イナフ (1999) THE WORLD IS NOT ENOUGH
イナフ (2002) ENOUGH 』、

○『 エニグマ 』の脚本のトム・ストッパードは
恋におちたシェイクスピア (1998) SHAKESPEARE IN LOVE 』、

○『 エニグマ 』の撮影のシーマス・マッガーヴィは
ハイ・フィデリティ (2000) HIGH FIDELITY
めぐりあう時間たち (2002) THE HOURS 』に携わっている。

○『 エニグマ 』の製作のミック・ジャガーはローリング・ストーンズ the Rolling Stones として、映画音楽の面でも
ザ・ロイヤル・テネンバウムズ (2001) THE ROYAL TENENBAUMS
ブロンド・ライフ (2002) LIFE OR SOMETHING LIKE IT
オースティン・パワーズ ゴールドメンバー (2002) AUSTIN POWERS IN GOLDMEMBER
アダプテーション (2002) ADAPTATION 』で活躍して依然現役、映画製作はこの作品が最初に当たる。
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【『 エニグマ 』のスタッフとキャスト】
監督: マイケル・アプテッド Michael Apted (Directed by)
製作: ミック・ジャガー Mick Jagger (producer)
    ローン・マイケルズ Lorne Michaels (producer)
    デヴィッド・ブラウン David Brown (co-producer)
    アト・ド・ジョン Ate de Jong (associate producer)
    ジーニー・キム Jeanney Kim (associate producer)
    ジュリアン・プランケット・ディロン Julian Plunkett Dillon (associate producer)
製作総指揮: ガイ・イースト Guy East (executive producer)
    ハンノ・フス Hanno Huth (executive producer)
    ヴィクトリア・ペアマン Victoria Pearman (executive producer)
    ナイジェル・シンクレア Nigel Sinclair (executive producer)
    マイケル・ホワイト Michael White (executive producer)
    ロバート・アーツ Robbert Aarts (co-executive producer)
    トーマス・ガーヴィン Thomas Garvin (co-executive producer)
原作: ロバート・ハリス Robert Harris (novel)
脚本: トム・ストッパード Tom Stoppard (screenplay)
撮影: シーマス・マッガーヴィ Seamus McGarvey (Cinematography by)
編集: リック・シェイン Rick Shaine (Film Editing by)
音楽: ジョン・バリー John Barry (Original Music by)

出演: ダグレー・スコット Dougray Scott トム・ジェリコ
    ケイト・ウィンスレット Kate Winslet ヘスター・ウォレス
    サフロン・バロウズ Saffron Burrows クレア・ロミリー
    ジェレミー・ノーサム Jeremy Northam ウィグラム
    ニコライ・コスター・ウォルドー Nikolaj Coster Waldau ジョゼフ・'パック'・パコウスキー
    トム・ホランダー Tom Hollander ロジー
    ドナルド・サンプター Donald Sumpter レヴェレット
    ポール・ラットレイ Paul Rattray キングカム
    リチャード・キャッツ Richard Katz ドゥブルック
    トム・フィッシャー Tom Fisher アップジョン
    ミック・ジャガー Mick Jagger バーの兵士 (uncredited)

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ストーリー展開の前知識やネタばれがお好みでない方は、読まないで下さい。
■映画『 エニグマ 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー
 私は日本公開前に字幕スーパーなしの英語で観たので、わかる範囲でレヴューします。映画データについては調査した時点と公開される時点で異なる場合があります。本作の内容については、語学力と経験・常識不足のため、間違いや勘違いや適切でない表現があるかもしれません。どうかご理解賜りますようお願いいたします。また、リンクやメールをいただく場合はここを必ずお読みくださいますように。
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【エニグマ 第01段落】 美しい英国の街並に、同様に美しいBGM。すると、一転してサスペンス風の音楽に変わり、文字と歯車のような暗号システムの機械、空爆、そしてXとかCとかをその機械で押すごとに爆撃の映像、それに、森の中で犬が人間が埋まっているのを見つける…。「 ENIGMA 」は第二次世界大戦でナチスドイツ軍 the Nazis が使用した機密コードマシンつまり暗号システムのこと。天文学的な数の組み合わせの暗号を作れるので、絶対に解読されないというドイツ軍の自信作だった。ドイツ軍はそれを無線通信に使えば、北大西洋 the North Atlantic を航海する連合国軍の船団をUボート(U-boat 第一次・二次大戦中のドイツの潜水艦のこと)が攻撃し、連合国側に大被害をもたらすことができる。因みに、その" enigma "という単語は、元来< n. なぞ; 不可解なもの[人, 人物].(EXCEED英和辞典より)>という言葉だ。

【エニグマ 第02段落】 そこで召集されたのが、ケンブリッジ大学 Cambridge University で天才的な数学者でありかつ暗号解読者であるトム・ジェリコ(ダグレー・スコット)。彼はロンドン London から 60 マイル(1mile = 1.6km 換算で 100km 弱)北のブレッチレー・パーク Bletchley Park という所で列車を降りる。ここは表向きには、のどかな庭園のあるマナーハウス manor house (荘園領主の邸宅)なのだが、実は英国の最高機密の暗号解読拠点なのだ。極秘にナチスドイツの暗号を解読し、" Station X "と呼ばれている。主役ダグレー・スコットは
エバー・アフター (1998) EVER AFTER
M:I−2 (2000) MISSION: IMPOSSIBLE 2
リプリーズ・ゲーム (原題) (2002) RIPLEY'S GAME
ダーク・ウォーター (2004) DARK WATER 』等で観るが、この映画では暗く、やつれ、神経質そうな風貌に演じている。

【エニグマ 第03段落】 到着早々説明を受けるジェリコは、一切ここでの作業については口を封じるように命じられる。ドイツ軍は暗号システムを「エニグマ」という新しいシステムに変えてしまい、解読できなくなった。すると、Uボートが北大西洋のどこにいるかつかめないから、航海中の 41 隻もの連合国の商船がどれだけ撃沈されるか分からない。商船には、一万人が乗っているし、武器や弾薬、食糧等の必要物資がニューヨーク New York から積載されているのだ。だから、何としてでも暗号を解読して、敵の攻撃を避けねばならない。

【エニグマ 第04段落】 4日以内に解読せよということだが、ジェリコは以前の暗号解読には 10 ヶ月かかった旨を伝える。それよりずっと複雑で難解だから、4 thousand million billion ( 4,000,000,000,000,000,000 かな?)通りもの組み合わせがある。そう容易くできるものではない。そう話している時、英国諜報員のウィグラム(ジェレミー・ノーサム:
理想の結婚 (1999) AN IDEAL HUSBAND
抱擁 (2002) POSSESSION 』等に出演)が現れ、惨状を報告する。東地中海 East-Mediterranian Sea で、すでに2隻がドイツ軍に沈没されて死者が大勢出たことを。

【エニグマ 第05段落】 このブレッチレー・パークの暗号研究所では、ジェリコは数人の暗号解読者 code breakers と共同で取り掛かることになる。キングカム(ポール・ラットレイ)やドゥブルック(リチャード・キャッツ)やアップジョン(トム・フィッシャー:
ハムナプトラ2/黄金のピラミッド (2001) THE MUMMY RETURNS
シャンハイ・ナイト (2003) SHANGHAI KNIGHTS 』等に出演)やジョゼフ・'パック'・パコウスキー(ニコライ・コスター・ウォルドー)たちだ。それに、ロジー(トム・ホランダー)やレヴェレット(ドナルド・サンプター:
K−19 (2002) K-19: THE WIDOWMAKER 』等に出演)もいる。この中でもジェリコは、有名な数学者で暗号解読者だと一目置かれている。

【エニグマ 第06段落】 ジェリコはこの地が初めてではなかった。辛い思い出がある。このブレッチレー・パークの庭園でブラームス Brahms の弦楽四重奏の小規模なコンサートがあった。その観客席で知り合ったのがクレア・ロミリー(サフロン・バロウズ:
フリーダ (2002) FRIDA 』等に出演)という女性。背が高く、スリムで、ブロンドのカーリーな長髪に、色白で赤い口紅の美人。すぐに意気投合した二人はチャールストンを踊って戯れ、彼の下宿部屋でごく自然に結ばれた。(なお、初めて映画製作に乗り出したことで話題のミック・ジャガーが、バーにいる兵士の役で出演しているので、ご覧になる方はご注意!)

【エニグマ 第07段落】 ジェリコがベッドで目を覚ますと、クレアは彼の財布の中をいじったり、本の中の暗号の紙を抜き取っている。「あなたの物を持っていたいの」と言って、自分のバッグの中にしまい込む。ジェリコは裸体のまま必死に女性からその紙を取り返し、怒る。そして喧嘩別れ・・・。こういう背景があり、彼自身はたった一ヶ月間の付き合いだったとは言うものの、他者には恋人と勿論思われている。

【エニグマ 第08段落】 この日、彼の下宿にクレアから絵葉書が届いた。それは付き合っている当時、彼女の部屋の壁に貼ってあった絵と同じ風景。スコットランド Scotland の北部の海辺の家の絵で、年老いたらそこに行きたいと彼女が言っていた絵だ。ジェリコは何か閃いて、すぐクレアの家に飛んでいく。呼び鈴を叩くが留守なので、隠し場所を知っている(そういう親密な関係だったワケ)玄関の鍵で入ってみる。ベッドは毛布が乱れたまま、服などもそのままある。鏡台の引き出しも探したり、クロゼットを乱暴に探したり。そして、床のミシッという音を思い出して、床板を外すと、暗号を書いた数枚の紙切れが出てきた。

【エニグマ 第09段落】 その時、ブレッチレー・パークの暗号研究所で働いている女性ヘスター・ウォレス(ケイト・ウィンスレット)が入ってきて、勝手に部屋をめちゃめちゃにしている彼を責める。ヘスターはクレアとも知り合いなのだ。そして、クレアが行方不明なことを彼に教える。丁度、ブレッチレー・パーク内に裏切者がいるという事が問題になっていたので、ジェリコはクレアがその裏切者で、逃げてしまったのだと考える。ヘスターは映画では一貫してミス・ウォレスと呼んでいたのでここでもそうしよう。ミス・ウォレスは「クレアが裏切者・スパイだとでも思うの?」と言ってジェリコに考え直させようとする。

【エニグマ 第10段落】 ケイト・ウィンスレットは
いつか晴れた日に (1995) SENSE AND SENSIBILITY
タイタニック (1997) TITANIC
アイリス (2001) IRIS
ライフ・オブ・デビッド・ゲイル (2003) THE LIFE OF DAVID GALE
エターナル・サンシャイン (2004) ETERNAL SUNSHINE OF THE SPOTLESS MIND
ネバーランド (2004) FINDING NEVERLAND 』等で、どんどん上昇中の女優さん。奇麗にも汚くにも?見える不思議な容姿だ。この映画のポスターでは濃く撮れているが、劇中では、もっとさわやかで色白。この撮影時には妊娠中だったからかしら、大分太めで、田園地帯の逞しい女性といった感じ。でも、エニグマ解読に力を貸すし、そういう機関に勤めている理知的な役だけど。透き通るように色が白く、流石女優さんだなと思うしっとり感がある。

【エニグマ 第11段落】 ところで、ジェリコはクレアの部屋の床下から見つけた暗号の紙をコートのポケットに入れて自分の下宿に帰る。下宿の女主人は口やかましい人。お客が来ているが、夜十時以降は自室はダメと言う。客はジェレミー・ノーサム扮するウィグラムだった。重要な用件なので、自室で話を聞く。すると、クレア・ロミリーが行方不明だということ。それに、彼女は君の恋人だったね。今日、彼女の家に行っただろ。と言って、コートのポケットの中を探る。ドキドキ…。でも、見つけたのはブラームスのコンサートの紙だけ。その次は財布の中まで調べる。諜報機関のすることって、ひどい。ナチスドイツの暗号がエニグマに変わって、その次に君の恋人が消えた、と。諜報部では、明らかにクレアを反逆者と思っている。暗号の紙は、実は廊下にある共同トイレの手拭用の新聞紙の間に、ジェリコは直前にとっさに隠しておいたのだ。ウィグラムが帰ると、すぐに暖炉の火で燃やしてしまう。

【エニグマ 第12段落】 次の日、ミス・ウォレスから、教会で落ち合おうと手紙が届く。ミス・ウォレスはクレアのことを心配しているし、エニグマ解読に関して、やはり必死になっている。それで、エニグマのシステムの事をジェリコとひそひそ協議し合う。資料室のファイルから必要な書類を探す役も、自分から進んで引き受ける。ここでは、ちょっと彼女に気のある中年の上司が役に立った。ミス・ウォレスはメガネをかけているのだが(それも、当時のロイド眼鏡というのか、円形太縁の眼鏡!)、以前、眼鏡を外していると、眼鏡がないと奇麗だね、なんてその上司は言っていた。それで、資料室で探しているミス・ウォレスは上司に見つかってしまうが、うその言い訳をして騙せてしまうのだ。セクハラっぽいオヤジなので、利用だけして逃れるちゃっかりミス・ウォレス。この頃から、親身にエニグマ解読に力を貸してくれるミス・ウォレスにジェリコは好意を抱く。

【エニグマ 第13段落】 またブレッチレー・パークの暗号研究所。ジェリコを筆頭に、暗号解読にみんな頭をひねって策を考える。なにしろドイツ軍は、この解読には 1000 年かかるだろうと思っているほど、難解な代物(しろもの)なのだ。暫くして、Uボート軍団のコース・位置・速度・連絡信号を、二時間おきに入手して分析、更に、その間の短波信号も解析してやっていけばできる、とジェリコは叫ぶ。短波信号は無線傍受センターの女子職員たちがヘッドフォンをつけて一部始終聞き取っている。毎日毎日この短調な作業をしている女子職員は、これが一体役に立っているのかとジェリコに訊くが、これは重要だと彼は言って励ます。

【エニグマ 第14段落】 ジェリコとミス・ウォレスが資料室で不審な行動をするので、当局は二人の乗った白いロードスター roadster (座席が前席だけの無蓋 [むがい] 自動車)を追いかける。しかし、運転技術も優れたジェリコは、うまく巻いて逃げる。そして一面黄色の菜の花畑のいかにも英国の田園地帯を進んで、ある農家の納屋に車ごと進入して、扉を閉めて隠れる。ここで、開発したエニグマ暗号解読器" The Bombe "を二人で操作して、暗号のアルファベットを一つずつ打ち込んでは、解読されたアルファベットをノートに写す作業をする。" The Bombe "は木箱の中に、歯車状の物でできている機械だ。暫く文字を写し取っても、なかなか意味をなさない。

【エニグマ 第15段落】 そうしていると、諜報員ウィグラムが部下を連れて車で追ってきた。二人は暗号解読器を隠し、ラブシーンの振りをして騙そうとする。芝居であれ、この時が、ジェリコとミス・ウォレスが抱き合った最初の時だ。ミス・ウォレスは紅潮しているから、内心嬉しかったみたいだ。ウィグラムと部下は、車のトランクや彼女のバッグの中まで開けて暗号解読器を探す。でも見つからない。二人は拘束されて、クレアが死んだと思われる所に連れて行かれた。ジェリコは内心、穏やかでない。そこは、彼女と喧嘩別れした所だから。そこにはクレアのコートとハイヒールが脱ぎ捨てられている。捜索隊は池の中の死体を捜している。ミス・ウォレスはそれを見て、目を真っ赤にして泣く。・・・

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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【エニグマ 第16段落】 ミス・ウォレスは翌朝、明るい朝の日差しの中で暗号解読器を取り出す。実は、ロードスターの幌(ほろ)の収納部に隠していたのだ。彼女は一人自宅で、ジェリコとの昨日の暗号解読の続きをこつこつと続ける。ANOKH XORIN という言葉をドイツ語の辞書で調べるミス・ウォレス。夕陽が落ちてきても、ひたすら一人で考え続けている。・・・同じ時刻、ブレッチレー・パークの暗号研究所ではジェリコたちが次から次へもたらされる情報の文字解読に懸命だ。大西洋時間はそこよりも2時間遅いから、海はまだ暗い。そうしている間に、一隻目の船が爆撃され、とうとうUボートの攻撃は始まってしまった。なお、当時は夜間の作業の間は、窓という窓は外から板を打ち付けて覆っていた。見られないようにする為と、ガラスが割れても大丈夫のようにだろう。

【エニグマ 第17段落】 ジェリコがやっと下宿の自室に帰ると、ミス・ウォレスが待っていた。そして、彼女が頑張って解き明かした事実を教える。解読して写し取った文字群は、ポーランド人の名前だと判明したのだ。 4000 ものポーランド人の名前が列挙されており。その中で ADAM だけが苗字がない。それは、 Adam Pukowski つまり、ブレッチレー・パークの暗号研究所で一緒に仕事をしているジョゼフ・'パック'・パコウスキー Jozef 'Puck' Pukowski の兄(弟?)なのだと分かる。ということは、反逆者は、パックだったのだ!お手柄のミス・ウォレス!

【エニグマ 第18段落】 ジェリコはパックを捕らえにブレッチレー・パークに飛んでいく。パックは丁度勤務を終えて帰途についているところ。雑踏に紛れて駅に、そして、間一髪の差で列車に乗ってしまった。ジェリコは動き出した列車に飛び乗ると、そこには諜報員ウィグラムが乗っているではないか。諜報部はやはり何でも情報が速い。ジェリコはウィグラムと口論し、争っていると、マンチェスター Manchester 駅を通り過ぎた。パックは他のコンパートメント compartment で着席している筈だ。諜報部の見張りも大勢いる。しかし、気付いたパックは、走行中の列車から飛び降りて逃走してしまった。

【エニグマ 第19段落】 ジェリコは色々な手がかりから ADELPHI というホテルへ探しにいくが、パックは見つからない。そんな時、ブレッチレー・パークの暗号研究所で地図に情報のマークをしていると、スコットランドの北部が目に付いた。その地名は、クレアが年をとったら行ってみたいと言っていた、あの絵葉書の家の場所だとピンと来る。そして、もう恋人同士になっているらしいミス・ウォレスと固く抱き合って、ロードスターで独り、旅立つ。

【エニグマ 第20段落】 寒そうな海辺の丘に佇むジェリコが眼下に見えるのは、絵葉書とそっくりな光景。すると、パックが桟橋から小船に乗り込むところだ。エンジンがかかりにくい間にジェリコは疾走して下りて行き、これまた出航したばかりの小船に飛び乗る。そしてパックに殴りかかり、狭い船の中で二人は格闘を始めた。クレアを殺したろう、と怒るジェリコに、パックは、殺していないと答える。ピストルも撃つし、挙句の果てにはジェリコを海中に突き落とす。・・・そんな二人の争いを、丘の陰では諜報員ウィグラムと部下達が眺めていた。彼らには情報はやはり速い。・・・沖にはドイツ軍のUボートが海中から姿を現し、ジェリコを迎え入れようとしている。すると、ウィグラムが指示し合図した戦闘機が上空に飛来し、Uボートに爆弾を落とす。Uボートに辿り着いたところのパックは潜水艦もろとも撃沈された。

【エニグマ 第21段落】 クレアはスパイではなかった。どこかで生きているに違いない。コートや靴を脱ぎ捨てておくのは、自殺にも見えるが、逆に、そう思わせるためのテクニックでもある。それに、ジェリコにあの絵葉書を送ってきたことこそ、彼に大きなヒントをくれたと解釈できるではないか。こうして見事エニグマ解読に成功して、ナチスドイツの動きを察知できて、連合軍は勝利に導かれた。第二次世界大戦が終結し、 1946 年の春、ジェリコとミス・ウォレスは結婚して幸せな生活を送っている。彼女のお腹は大きいから、もしかしたらケイト・ウィンスレットの本当の姿かもしれないナ。街でジェリコはクレアを見かけたように思うが、もういい、新妻を大切に平和に暮らそう。こんなシーンで終わる。BGMがまた美しく流れ、サスペンスを観ていた観衆の緊張はここで和むのだ。

【エニグマ 第22段落】 <北大西洋で繰り広げられたこの軍団の戦闘は、第二次世界大戦の転換期であった。連合軍は 1945 年にドイツが降服するまでエニグマの解読を続けた。ブレッチレー・パークは公式には認められず、 30 年間極秘とされた。> こんな後書きが最後に流れる。

【エニグマ 第23段落】 この映画ではエニグマ暗号解読器" The Bombe "を発明したのはトム・ジェリコということになっているが、歴史上の真実では、アラン・チューリング Alan Mathison Turing (1912 - 1954) が発明者だ。チューリングはケンブリッジ大学キングズカレッジ King's College, Cambridge で数学を研究し、抽象上の計算機「チューリング・マシーン Turing machines 」を発明した。その頭脳が買われて、バッキンガムシャー Buckinghamshire のブレッチレー・パークの暗号解読拠点 headquarters of the Government Code and Cypher School (GC&CS) でドイツのエニグマコードの解読を担当する。彼は暗号解読器" The Bombe "を発明してドイツ潜水艦の猛進撃をくじき、このお蔭で連合軍は勝利を得たのだ。戦後 1945 年、彼はロンドンに戻って更に研究を進め、チューリング・マシーンを具体化した、現在のコンピュータの元となる世界初の電子計算機 Automatic Computing Engine (ACE) を発明した。

【エニグマ 第24段落】 彼は当時は御法度だった同性愛を告白し、ホルモン療法という非人道的処罰を受けた末に 41 歳で自殺している。たぐいまれな頭脳の持ち主は、短命を選んだのだ。けれどもチューリングが残した学問上の功績は計りきれない。数学 mathematics ・暗号解読 cryptanalysis ・論理学 logic ・哲学 philosophy ・生物学 biology ・コンピュータ科学 computer science ・認知科学 cognitive science ・人工知能 Artificial Intelligence ・人工生命 Artificial Life という分野で、アラン・チューリングの名声は永遠に残る。この映画を観て、こういう知的な事実も勉強になった!

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず7872文字/文責:幸田幸

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      ENIGMA 公式サイト(英語版)
      http://www.enigmathefilm.com
      History エニグマ (Enigma)
      http://www.infonet.co.jp/ueyama/ip/history/enigma.html
      ステーションX, 2000-04-02
      http://homepage2.nifty.com/tkeizo/book1209152-j.html
      Station X the official Bletchley Park website
      http://www.bletchleypark.org.uk/
      AlanTuring.net
      http://www.alanturing.net/turing_archive/pages/Reference%20Articles/
Bio%20of%20Alan%20Turing.html

いつも参考にしておりますallcinema ONLINE さんには、2003年03月25日の時点で[ データ ]及び [ 解説 ]は出ていませんので、これをアップしました。Thanks to allcinema ONLINE.
■映画『 エニグマ 』の更新記録
2003/03/27新規: ファイル作成
2004/12/27更新: ◆一部テキスト追記と書式変更
2005/10/06更新: ◆追記
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幸田 幸
coda_sati@hotmail.com
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