ビューティフル・マインド | |||||||||||||||||||||||||||
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映画の森てんこ森■映画レヴュー | |||||||||||||||||||||||||||
ビューティフル・マインド (2001) | |||||||||||||||||||||||||||
A BEAUTIFUL MIND | |||||||||||||||||||||||||||
映画『 ビューティフル・マインド (2001)
A BEAUTIFUL MIND 』をレヴュー紹介します。 映画『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』を目次的に紹介する。 ■映画『 ビューティフル・マインド 』のポスター、予告編および映画データ ■映画『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』の解説 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。 ■映画『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』の主なスタッフ ■映画『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』の主なキャスト ■映画『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』のスタッフとキャスト ■映画『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』の<もっと詳しく> <もっと詳しく>は映画『 ビューティフル・マインド 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。 ■映画『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』 ジョン・F・ナッシュ( 1928- ) (注)数学者ジョン・ナッシュについて。映画の展開がより楽しめると思います。 ■映画『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』の感想 ■映画『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』の更新記録 >>「映画解説・レヴュータイトル一覧表」へ(画面の切り替え) |
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幸の鑑賞評価: 8つ星 | |||||||||||||||||||||||||||
■映画『 ビューティフル・マインド 』のポスター、予告編および映画データ | |||||||||||||||||||||||||||
ビューティフル・マインド
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●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。 Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com. Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc. |
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■映画『 ビューティフル・マインド (2001)
A BEAUTIFUL MIND 』の解説 映画『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』は、2002 年アカデミー賞で、作品賞・監督賞・助演女優賞・脚色賞の 4 部門に輝いた作品。マッチョなオスカー俳優ラッセル・クロウが、実在で健在のノーベル経済学賞を受賞した天才数学者ジョン・ナッシュを演じる。彼の妻アリシアを演じたジェニファー・コネリーは、助演女優賞に納得の素晴らしい演技を見せている。赤裸々にジョン・ナッシュを描いているらしい原作「ビューティフル・マインド 天才数学者の絶望と奇跡」(新潮社)とは違って、映画はかなり美化されているが(ので?)、鑑賞後は天才数学者の心の成長とその夫婦愛に感動する。途中のどんでん返しも映画ならではの展開で楽しめる。 ▲TOPへ ■映画『 ビューティフル・マインド 』の主なスタッフ ○『 ビューティフル・マインド 』の監督&製作: ロン・ハワード 『 スプラッシュ (1984) SPLASH 』 『 アポロ13 (1995) APOLLO 13 』 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』< 2002 年アカデミー作品賞&監督賞受賞> 『 ミッシング (2003) THE MISSING 』 『 アラモ (2003) THE ALAMO 』 (producer) 等 ○『 ビューティフル・マインド 』の製作: ブライアン・グレイザー 『 スプラッシュ (1984) SPLASH 』< 1985 年アカデミー脚本賞ノミネート> 『 アポロ13 (1995) APOLLO 13 』< 1996 年アカデミー作品賞ノミネート> 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』< 2002 年アカデミー作品賞受賞> 『 アンダーカバー・ブラザー (2002) UNDERCOVER BROTHER 』 『 ブルークラッシュ (2002) BLUE CRUSH 』 『 8 Mile (2002) 8 MILE 』 『 ディボース・ショウ (2003) INTOLERABLE CRUELTY 』 『 ハットしてキャット (2003) THE CAT IN THE HAT 』 『 ミッシング (2003) THE MISSING 』等 ○『 ビューティフル・マインド 』の製作総指揮: トッド・ハロウェル 『 アポロ13 (1995) APOLLO 13 』 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』 『 ミッシング (2003) THE MISSING 』 『 アラモ (2003) THE ALAMO 』等 ○『 ビューティフル・マインド 』の製作総指揮: カレン・ケーラ 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』 『 ブルークラッシュ (2002) BLUE CRUSH 』 『 ハットしてキャット (2003) THE CAT IN THE HAT 』等 ○『 ビューティフル・マインド 』の原作: シルヴィア・ネイサー 原作「 ビューティフル・マインド 天才数学者の絶望と奇跡 」(新潮社) ○『 ビューティフル・マインド 』の脚本: アキヴァ・ゴールズマン 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』< 2002 年アカデミー脚色賞受賞> 『 スタスキー&ハッチ (2004) STARSKY & HUTCH 』(producer) 『 マインドハンター (2004) MINDHUNTERS 』(producer) 『 アイ,ロボット (2004) I, ROBOT 』 『 SAYURI (2005) MEMOIRS OF A GEISHA 』 『 コンスタンティン (2005) CONSTANTINE 』等 ○『 ビューティフル・マインド 』の音楽: ジェームズ・ホーナー 『 エイリアン2 (1986) ALIENS 』<1987 年アカデミー作曲賞ノミネート> 『 アメリカ物語 (1986) AN AMERICAN TAIL 』<1987 年アカデミー主題歌賞ノミネート> 『 フィールド・オブ・ドリームス (1989) FIELD OF DREAMS 』<1990 年アカデミー作曲賞ノミネート> 『 ブレイブハート (1995) BRAVEHEART 』<1996 年アカデミー音楽賞(オリジナルドラマ)ノミネート> 『 アポロ13 (1995) APOLLO 13 』<1996 年アカデミー音楽賞(オリジナルドラマ)ノミネート> 『 タイタニック (1997) TITANIC 』<1998 年アカデミー音楽賞(オリジナルドラマ)&主題歌賞受賞> 『 スターリングラード (2000) ENEMY AT THE GATES 』 『 アイリス (2001) IRIS 』 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』<2002 年アカデミー作曲賞ノミネート> 『 ウインドトーカーズ (2002) WINDTALKERS 』 『 サハラに舞う羽根 (2002) THE FOUR FEATHERS 』 『 僕はラジオ (2003) RADIO 』 『 すべては愛のために (2003) BEYOND BORDERS 』 『 ミッシング (2003) THE MISSING 』 『 砂と霧の家 (2003) HOUSE OF SAND AND FOG 』<2004 年アカデミー作曲賞ノミネート> 『 トロイ (2004) TROY 』 『 フォーガットン (2004) THE FORGOTTEN 』等 ○『 ビューティフル・マインド 』の主題歌: シャルロット・チャーチ ♪オール・ラヴ・キャン・ビー〜奇跡の愛♪ ○『 ビューティフル・マインド 』の撮影: ロジャー・ディーキンス 『 ショーシャンクの空に (1994) THE SHAWSHANK REDEMPTION 』< 1995 年アカデミー撮影賞ノミネート> 『 ファーゴ (1996) FARGO 』< 1997 年アカデミー撮影賞ノミネート> 『 クンドゥン (1997) KUNDUN 』< 1998 年アカデミー撮影賞ノミネート> 『 13デイズ (2000) THIRTEEN DAYS 』 『 オー・ブラザー! (2000) O BROTHER, WHERE ART THOU? 』< 2001 年アカデミー撮影賞ノミネート> 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』 『 バーバー (2001) THE MAN WHO WASN'T THERE 』< 2002 年アカデミー撮影賞ノミネート> 『 ディボース・ショウ (2003) INTOLERABLE CRUELTY 』 『 砂と霧の家 (2003) HOUSE OF SAND AND FOG 』 『 レディ・キラーズ (2004) THE LADYKILLERS 』 『 ヴィレッジ (2004) THE VILLAGE 』等 ○『 ビューティフル・マインド 』の編集: ダニエル・P・ハンレイ 『 スプラッシュ (1984) SPLASH 』 『 アポロ13 (1995) APOLLO 13 』< 1996 年アカデミー編集賞受賞> 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』< 2002 年アカデミー編集賞ノミネート> 『 ミッシング (2003) THE MISSING 』等 ○『 ビューティフル・マインド 』の編集: マイク・ヒル 『 スプラッシュ (1984) SPLASH 』 『 アポロ13 (1995) APOLLO 13 』< 1996 年アカデミー編集賞受賞> 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』< 2002 年アカデミー編集賞ノミネート> 『 ミッシング (2003) THE MISSING 』等 ○『 ビューティフル・マインド 』の美術: ウィン・トーマス 『 マーズ・アタック! (1996) MARS ATTACKS! 』 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』 『 アナライズ・ユー (2002) ANALYZE THAT 』等 ○『 ビューティフル・マインド 』の衣装: リタ・ライアック 『 アポロ13 (1995) APOLLO 13 』 『』< 2001 年アカデミー衣装デザイン賞ノミネート> 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』 『 白いカラス (2003) THE HUMAN STAIN 』 『 ハットしてキャット (2003) THE CAT IN THE HAT 』等 『 ダイヤモンド・イン・パラダイス (2004) AFTER THE SUNSET 』 ▲TOPへ ■映画『 ビューティフル・マインド 』の主なキャスト ●ラッセル・クロウ as ジョン・ナッシュ 『 インサイダー (1999) THE INSIDER 』< 2000 年アカデミー主演男優賞ノミネート> 『 グラディエーター (2000) GLADIATOR 』< 2001 年アカデミー主演男優賞受賞> 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』< 2002 年アカデミー主演男優賞ノミネート> 『 マスター・アンド・コマンダー (2003) MASTER AND COMMANDER: THE FAR SIDE OF THE WORLD 』 『 シンデレラマン (2005) CINDERELLA MAN 』等 ●エド・ハリス as ウィリアム・パーチャー 『 アポロ13 (1995) APOLLO 13 』< 1996 年アカデミー助演男優賞ノミネート> 『 トゥルーマン・ショー (1998) THE TRUMAN SHOW 』< 1999 年アカデミー助演男優賞ノミネート> 『 奇蹟の詩 サード・ミラクル (1999) THE THIRD MIRACLE 』 『 ポロック・2人だけのアトリエ (2000) POLLOCK 』(兼監督・製作)< 2001 年アカデミー主演男優賞ノミネート> 『 スターリングラード (2000) ENEMY AT THE GATES 』 『 戦争のはじめかた (2001) BUFFALO SOLDIERS 』 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』 『 めぐりあう時間たち (2002) THE HOURS 』< 2003 年アカデミー助演男優賞ノミネート> 『 白いカラス (2003) THE HUMAN STAIN 』 『 僕はラジオ (2003) RADIO 』等 ●ジェニファー・コネリー as アリシア・ラルデ・ナッシュ 『 ポロック・2人だけのアトリエ (2000) POLLOCK 』 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』< 2002 年アカデミー助演女優賞受賞> 『 ハルク (2003) THE HULK 』 『 砂と霧の家 (2003) HOUSE OF SAND AND FOG 』 『 ダーク・ウォーター (2004) DARK WATER 』等 ●クリストファー・プラマー as ローゼン医師 『 サウンド・オブ・ミュージック (1964) THE SOUND OF MUSIC 』 『 インサイダー (1999) THE INSIDER 』 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』 『 アララトの聖母 (2002) ARARAT 』 『 コールド・クリーク 過去を持つ家 (2003) COLD CREEK MANOR 』 『 ナショナル・トレジャー (2004) NATIONAL TREASURE 』 『 アレキサンダー (2004) ALEXANDER 』等 ●ポール・ベタニー as チャールズ・ハーマン 2003 年 1 月 1 日に共演のジェニファー・コネリーと結婚。同年、一児の父となった。 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』 『 ドッグヴィル (2003) DOGVILLE 』 『 マスター・アンド・コマンダー (2003) MASTER AND COMMANDER: THE FAR SIDE OF THE WORLD 』 『 ウィンブルドン (2004) WIMBLEDON 』等 ●アダム・ゴールドバーグ as ソル 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』 『 10日間で男を上手にフル方法 (2003) HOW TO LOSE A GUY IN 10 DAYS 』等 ●ジョシュ・ルーカス as マーティン・ハンセン 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』 『 メラニーは行く! (2002) SWEET HOME ALABAMA 』 『 ハルク (2003) THE HULK 』 『 ウォルター少年と、夏の休日 (2003) SECONDHAND LIONS 』等 ●アンソニー・ラップ as ベンダー 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』等 ●ジェイソン・グレイ=スタンフォード as Ainsley 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』等 ●ジャド・ハーシュ as へリンジャー教授 『 普通の人々 (1980) ORDINARY PEOPLE 』<1981 年アカデミー助演男優賞ノミネート> 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』等 ●オースティン・ペンドルトン as トーマス・キング 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』 『 ファインディング・ニモ (2003) FINDING NEMO 』 『 アップタウン・ガールズ (2003) UPTOWN GIRLS 』等 ●ヴィヴィエン・カーダン as マーシー・ハーマン 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』等 ●ジル・M・サイモン as Bar Co-Ed 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』等 ●ヴィクター・スタインバッハ as ホーナー教授 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』等 ●ターニャ・クラーク as ベッキー 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』等 |
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【『 ビューティフル・マインド 』のスタッフとキャスト】 | |||||||||||||||||||||||||||
監督: ロン・ハワード Ron Howard (Directed
by) 製作: ブライアン・グレイザー Brian Grazer (producer) ロン・ハワード Ron Howard (producer) 製作総指揮: トッド・ハロウェル Todd Hallowell (executive producer) カレン・ケーラ Karen Kehela (executive producer) 原作: シルヴィア・ネイサー Sylvia Nasar (book) 脚本: アキヴァ・ゴールズマン Akiva Goldsman (written by) 音楽: ジェームズ・ホーナー James Horner (Original Music by) 主題歌: シャルロット・チャーチ Charlotte Church ♪オール・ラヴ・キャン・ビー〜奇跡の愛♪ 撮影: ロジャー・ディーキンス Roger Deakins (Cinematography by) 編集: ダニエル・P・ハンレイ Daniel P. Hanley (Film Editing by) マイク・ヒル Mike Hill (Film Editing by) 美術: ウィン・トーマス Wynn Thomas (Production Design by) 衣装: リタ・ライアック Rita Ryack (Costume Design by) 出演: ラッセル・クロウ Russell Crowe as John Nash エド・ハリス Ed Harris as William Parcher ジェニファー・コネリー Jennifer Connelly as Alicia Larde Nash クリストファー・プラマー Christopher Plummer as Dr. Rosen ポール・ベタニー Paul Bettany as Charles Herman アダム・ゴールドバーグ Adam Goldberg as Sol ジョシュ・ルーカス Josh Lucas as Martin Hansen アンソニー・ラップ Anthony Rapp as Bender ジェイソン・グレイ=スタンフォード Jason Gray-Stanford as Ainsley ジャド・ハーシュ Judd Hirsch as Prof. Helinger オースティン・ペンドルトン Austin Pendleton as Thomas King ヴィヴィエン・カーダン Vivien Cardone as Marcee Herman ジル・M・サイモン Jill M. Simon as Bar Co-Ed ヴィクター・スタインバッハ Victor Steinbach as Prof. Horner ターニャ・クラーク Tanya Clarke as Becky ▲TOPへ |
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<もっと詳しく> | |||||||||||||||||||||||||||
ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。 |
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■映画『 ビューティフル・マインド 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー 【ビューティフル・マインド 第01段落】 1947 年 9 月プリンストン大学 Princeton University 。 1945 年に日本との戦争が終わったが、今はソ連の脅威に脅かされているアメリカ。アメリカの優秀な数学者達が日本の暗号を解読し、太平洋戦争を勝利に導いた。冷戦でも同じように勝たなければならない。プリンストンの数学科に新たに在籍する優秀な学生達は、そのアメリカの未来を担う知性だ。その優秀な学生達の中に、不安げな顔のジョン・ナッシュ(ラッセル・クロウ)がいた。 【ビューティフル・マインド 第02段落】 その年のカーネギー奨学生は二人だけ。その一人がウェスト・ヴァージニア West Virginia の謎の天才、ジョン・ナッシュだ。もう一人の奨学生であるマーティン・ハンセン(ジョシュ・ルーカス)とは、初っ端からお互いに激しくライバル心を燃やす。大学の中庭で催されたカクテル・パーティで、わざとナッシュをウェイターと間違えたハンセンに対し、ナッシュは君の論文に斬新な発想は一かけらもないと酷評。そして、人付き合いの苦手なナッシュは、一人だけテーブルから離れていく。 【ビューティフル・マインド 第03段落】 クラシックのレコードをかけながら、ナッシュは寮の部屋を片付けている。“ The prodigal roommate arrives. (放蕩ルームメイト到着。)と酔っ払いの若い男が入ってきた。本人曰く、ルームメイトのチャールズ・ハーマン(ポール・ベタニー)だ。レコードの音を勝手に切ったチャールズは、破天荒なタイプの学生みたい。ルームメイトなんていたっけ?と少し疑問に思ったナッシュだが、人のことなどどうでもいいので、窓際に置き変えた机に向かって勉強に没頭する。シャワーから出てきたチャールズはナッシュに話しかけるが、勉強中のナッシュはほぼ無視。するとチャールズはいきなりナッシュの机の上に乗った。“ If we can't break the ice, how 'bout we drown it? (互いにかみ合わない時にはこれに溺れないか?)”と言って、チャールズはナッシュにお酒の小さなボトルを差し出した。ナッシュはチャールズのことが気に入ったようだ。 【ビューティフル・マインド 第04段落】 屋上でお酒を飲むナッシュとチャールズ。ナッシュは焦燥感に取り付かれていた。人付き合いが苦手で、同級生の輪の中に入っていけない自分。又、真に独創的なアイデアを考え出すには、授業に出たり本を読んだりするのは無駄だと思っているが、そうやって論文を書いている同級生達の方が独創的でないにせよ先に結果を出していること。チャールズが自分の話に耳を傾けてくれ、ナッシュは何だか元気が出てくるような気がした。 【ビューティフル・マインド 第05段落】 ハンセン、ベンダー(アンソニー・ラップ)、ソル(アダム・ゴールドバーグ)達が庭で碁のゲームをしている時、ナッシュは鳩を追いかけてその動きをアルゴリズムで解こうとしていた。ヘンな級友をハンセンがゲームに誘う。 ハンセン: So how about it, Nash? You scared? (それでこれはどう、ナッシュ?怖いか?) ナッシュ: Terrified... mortified... petrified... stupefied... by you.(お前のせいで、恐れて、腐って、すくんで、麻痺しているよ。) ナッシュはおどけて見せながらも、うけてたつ。ゲーム中、ハンセンは、ナッシュの神経を逆なでるようなことを言った。ナッシュが何も成果をあげていない間に、ベンダーとソルがアレンの証明を解き、ハンセンは国防総省保安法に準じた武器に関する論文を書いた。もしナッシュに独創的なアイデアが生まれなかったら?もしウィーラー研究所にナッシュでなくハンセンが選ばれたら?このゲームにナッシュが負けたら?ナッシュは負けた。ナッシュは欠陥ゲームだと負け惜しみを言って、その場を去った。ナッシュが立ち上がったはずみで、碁盤が落ちて碁石が芝生に散らばった。 【ビューティフル・マインド 第06段落】 ハンセンに負けたことが悔しくてたまらないナッシュは、二日間も図書館にこもり、独創的なアイデアを生み出そうと頭を働かせていた。大きな窓ガラス一面にナッシュのアイデアが描き込まれている。何も食べず一睡もしていないナッシュのところにチャールズがやって来た。ナッシュはチャールズに「複数が勝ちを分かち合えば、敗者はいない。」と新しい自分のアイデアについて話し始めるが、チャールズに遮られる。「いつ食事を?」 チャールズの後ろを歩きながら、“ I have respect for beer. ”とナッシュは図書館で大声を上げた。 【ビューティフル・マインド 第07段落】 学生達が集うバーで、ビリヤードをするナッシュ。一緒に来たチャールズはジュークボックスのところに居る。そこへやって来たハンセン達が「一人で勝ち続けか?」とナッシュに声を掛けた。同級生の一人であるニールセンがカウンターで二人の女の子と話をしていて、しきりにハンセン達に合図を送っている。二人の女の子の内、一人をモノにできそうなので、もう一人を誰かに回してくれるということらしい。“ Gentlemen, might I remind you that my odds of success dramatically improve with each attempt. (試みを繰り返すたびに、成功の確率は劇的に上昇する。)”とナッシュがその女の子の元へ向かう。ところが、人間とのコミュニケーションに長けていないナッシュは、椅子に座ったまま何も言わずに彼女を見つめるだけ。業を煮やした女の子から「お酒でも勧めたら?」と言われたナッシュの返しが面白い。 “ I don't exactly know what I am required to say in order for you to have intercourse with me. But could we assume that I said all that. I mean essentially we are talking about fluid exchange right? So could we go just straight to the sex. (君が僕との性交渉を持つために僕が何と言えばいいのか正確に分からない。しかし、僕がそれを全部言ったと仮定しよう。本質的には体液の交換について話すわけだろう?だから面倒は省いてセックスしよう。)” もちろんナッシュは女の子にひっぱたかれた。 【ビューティフル・マインド 第08段落】 へリンジャー教授(ジャド・ハーシュ)が、授業にも出ず、論文も書かないナッシュに、独創的アイデアを考えているだけではダメだと注意を促した。弁明したいナッシュは、へリンジャー教授を追って教授たち専用の食堂に入った。多様体埋め込み理論を考えているので、アインシュタイン博士 Albert Einstein に紹介して欲しいと言い出すナッシュに、へリンジャー教授はテーブルにつく一人の老教授を見るように言った。周りに居る他の教授たちがその老教授のテーブルに万年筆を置いていく。これは輝ける功績を修めた学者を称える行為だ。へリンジャー教授はナッシュに目標は何かと尋ねた。「人の評価。」と答えたナッシュに、まずは何かをやり遂げろとへリンジャー教授は諭す。今のままでは、ナッシュの希望する就職先であるウィーラー研究所はもちろん、どの就職先にもナッシュを推薦することなどできない。ナッシュは愕然とした。 【ビューティフル・マインド 第09段落】 独創的アイデアを考え出そうと焦るナッシュは、部屋の窓ガラスに頭を打ち付ける。自暴自棄に陥って無茶しようとするナッシュをチャールズが必死に抑えようとする。君は必ず答えを見つけ出すと言ったチャールズは、部屋の窓から大きなナッシュの机を投げ捨てた。落下した机は地面の上でバラバラになった。 チャールズ: That Isaac Newton fellow was right. (アイザック・ニュートン先生は正しかった。) ナッシュ: He was on to something.(彼は見抜いてたんだ。) チャールズ: Clever boy.(エライね。) 窓から壊れた机を見て、笑う二人。 【ビューティフル・マインド 第10段落】 学生達が集うバーに、ブロンド美人の女学生が女の子友達と一緒にやって来た。紙を広げながら独創的アイデアを考えているナッシュも目を奪われる美人だ。“ In competition, individual ambition serves the common good. (競合社会では、個の野心が公の利益になる。)”という 18 世紀の経済学者アダム・スミス Adam Smith の論に従って、ブロンド美人をゲットしに行くように言うハンセン達。ところが、天才ナッシュはここで独創的アイデア−非協力ゲーム理論−を思い付く。 ナッシュ: If we all go for the blond... we block each other... and not a single one of us is gonna get her. (皆がブロンドを?競合し合うだけで誰も彼女をモノにできない。) ナッシュ: So then we go for her friends. But they will all give us the cold shoulder because no one likes to be second choice.(じゃ女友達を? “ 本命じゃないのね” とムクれてフラれる。) ナッシュ: But what if no one goes for the blond? We don't get in each other's way, and we don't insult the other girls. (だからブロンドを無視。利益は衝突せず女たちも気を悪くしない 。) ナッシュ: That's the only way we win. That's the only way we all get laid. (それが僕らが利益を得る唯一の方法だ。皆、女を抱ける。) ナッシュ: Adam Smith said the best result comes from everyone in the group doing what's best for himself, right?(アダム・スミスは言った、“最良の結果はグループ全員が自分の利益を追求すると得られる。”) ナッシュ: Incomplete. Incomplete,okay?(間違いだ。) ナッシュ: Because the best result will come from everyone in the group doing what's best for himself and the group.(なぜなら最良の結果は全員が自分とグループ全体の利益を求めると得られるからだ。) 完璧に閃いたナッシュは、ブロンド美人に「ありがとう。」と言って、自室へGO!雪の降り積もる季節から木に葉の生い茂る季節まで、机に向かって黙々と理論を構築していく。 【ビューティフル・マインド 第11段落】 ナッシュの論文に目を通したへリンジャー教授は、 150 年前の経済理論を覆す飛躍的な理論を組み立てたと賛辞を述べ、ナッシュの望む就職先に推薦することを約束した。ウィーラー研究所には、チームとして二人連れて行くことができる。ナッシュはソルとベンダーを選んだ。 【ビューティフル・マインド 第12段落】 バーでウィーラー行きを喜ぶナッシュ達。そこにハンセンが現れ、一瞬場が静まる。ハンセンはナッシュからグラスを受け取った。ハンセンって、負けを潔く認めるイイ奴だったのね。 【ビューティフル・マインド 第13段落】 5 年後の 1953 年。国防総省。ウィーラー研究所のチーム主任となっているナッシュにペンタゴン Pentagon からお呼びがかかった。暗号だと思われるモスクワ Moscow から傍受した無線を解読するのだ。大きなボードにその暗号の数字が映し出される。ナッシュはそれを見るやいなや、すぐに解読に没頭。しかも、ずっと立ち続けたままである。ナッシュの脳細胞がまるでコンピュータのように目の前の数字を分析していく。ナッシュは地図を持ってくるように言った。ナッシュによると、数字が現しているのは緯度と経度で、アメリカへの潜入ルートを示している。将軍はナッシュの見事な解析に賛辞を述べた。ナッシュがふと上を見ると、部屋の外から黒衣の男(エド・ハリス)が自分を見ていた。ナッシュは将軍にソ連の動きについて訊こうとしたが、将軍は何も答えず、立ち入り禁止区域の外に出るように促した。 【ビューティフル・マインド 第14段落】 マサチューセッツ工科大学構内にあるウィーラー研究所 Wheeler Defense Labs M.I.T. Campus 。ペンタゴンから戻ってきたナッシュは、車に乗ったまま、警備兵の前を通って研究所へ。研究所に来てからの 4 年の間に 2 度もペンタゴンから呼び出されたナッシュ(因みにベンダーとソルは一度もない)は、フォーチュン誌の表紙を飾るなどの成功を得ていた。自らの研究に没頭したいところだが、ナッシュは教授であった。今日の天才は明日の天才達を教えなければならない。気が進まないながらも、ナッシュは上半身アンダーシャツのまま授業へ向かう。 【ビューティフル・マインド 第15段落】 夏の教室は暑い。しかし、外の工事の音がうるさいので、ナッシュ教授は教室の窓を閉めさせた。 MITの学生: Can we open up the window, Professor? It's hot in here.(窓を開けてもいいですか、教授?ここは暑いんです。) ナッシュ: Your comfort comes second to my ability to hear my own voice.(君の快適さは私自身の声を聞く能力の二の次だ。) こんな授業は自分にとっては時間の無駄だと言いながら、ナッシュが黒板に難問を書いていると、美しい女生徒(ジェニファー・コネリー)が立ち上がって窓を開けた。その女生徒は外の工事人達に声をかけ、諸事情を説明して 45 分ほど他で仕事をしてもらえないかと頼んだ。職人のおじさんはすぐにカワイイ子の願いを聞き入れた。 【ビューティフル・マインド 第16段落】 大学の校舎を出たところで、ナッシュは以前見た黒衣の男に呼び止められた。男はウィリアム・パーチャーという、以前はオッペンハイマー John Robert Oppenheimer の原爆プロジェクトを担当していた政府の役人だ。係累や友人の少ないことが有利に働く仕事があると、パーチャーはナッシュを廃屋になっている倉庫へ連れて行った。しかし、中へ入るとそこは近代的な設備の整った情報施設で、白衣を着た人たちが忙(せわ)しなく働いていた。他言すれば懲役となる国家の最高機密をパーチャーはナッシュに話した。ナチスが開発研究を行っていた携帯原子爆弾がアメリカより先にソ連の手に渡ってしまった。ソ連に居る異端分子“新自由軍”がその原爆でアメリカ市民の大量殺戮を計画している。先日、ナッシュがペンタゴンで解読した暗号はそのためのものだったようだ。“新自由軍”の諜報員が連絡を取り合うために、新聞・雑誌に暗号記事を載せている。パーチャーは暗号解読にかけては君以上の者を見たことがないとナッシュを褒め、ナッシュに暗号記事の解読を依頼した。スパイとなったナッシュは情報伝達のアクセスコードとして、左腕にラジウム・ダイオードのチップを埋め込まれた。特殊な光を当てると、左腕に数字が浮かび上がる。 【ビューティフル・マインド 第17段落】 大学の自分の部屋でナッシュが雑誌の暗号解読に没頭していた時、先日の授業で窓を開けた女生徒が目の覚めるような赤いワンピース姿で現れた。ナッシュは授業を忘れ、生徒達に 30 分待ちぼうけを食らわせているのだ。女生徒はナッシュが黒板に書いた難問を解いたので見てくださいと、レポート用紙を提出した。ナッシュはパッとその紙に目と通すと、発想は悪くないがこの問題に関しては正しくないとコメントした。ラッセル・クロウ演じるジョン・ナッシュはマッチョな体型。筋トレしている数学の先生って感じ。女生徒はその太い腕に憧れたんじゃないと思うけど、ナッシュ教授を食事に誘った。ナッシュは女生徒の名前も知らないのに先に住所を尋ね、金曜日の夜 8 時に迎えに行くと言った。女の子に対しては、天才の頭脳も形無しである。 【ビューティフル・マインド 第18段落】 金曜日の夜、ナッシュと一緒に知事主催のパーティに現れた女の子の名前はアリシア・ラルデ。黒いドレスが白い肌にウットリするほどよく似合っている。アリシアは、知事と一緒に写真を撮るナッシュの胸にハンカチを入れ、知事に写真の焼き増しを頼むほどしっかりしたお嬢さんだ。アリシアがシャガール Marc Chagall の絵画‘7本指の自画像 Self-Portrait with Seven Fingers ’に感嘆し、「神は画家ね。」と話しているのを、ナッシュは心ここにあらずで聞いていた。パーティに不審な二人の人物が居たのだ。もしかしたらソ連のスパイかもしれない。 【ビューティフル・マインド 第19段落】 ナッシュは外に出たアリシアにシャンパンを持って行った。さっき胸に入れてもらったハンカチを返そうとすると、アリシアは幸運のお守りにしてとそのままナッシュにハンカチを持たせた。頭上の満天の星を見上げ、昔アリシアは星を 4348 まで数えたと話した。(流石当時 MIT まで行く女学生は違うなぁ。) ナッシュは変わり者同士だとアリシアに寄り添い、好きな形を言うように言った。アリシアが「傘」というと、ナッシュは彼女の手を取って傘の形に空の星をなぞった。ロマンティックから程遠い教授からのロマンティックな演出にアリシアは感激し、また別の形をねだった。 【ビューティフル・マインド 第20段落】 ナッシュはもう一つの仕事にのめり込んでいた。部屋中に散乱した雑誌をじっと眺め、暗号が浮かび上がって見えたページを切り抜いて封筒に入れ、‘極秘 CLASSIFIED ’の判を押す。夜。周りには何にも使われていないと思われている建物の前、ナッシュが腕のアクセスコードを門の外の機械にかざすと、門が自動的に開く。ナッシュは中に入り、庭にあるポストに封筒を押し込んだ。すると不審な車が通りを走った。ソ連のスパイに目を付けられているかもとナッシュは思った。 【ビューティフル・マインド 第21段落】 池のほとりでアリシアと二人で座っている時、ナッシュは何もしゃべらない。仕事の話はできないし、いつも相手を怒らせてしまう単刀直入な話もできないから。しかし、アリシアはナッシュにその単刀直入な話をするように促した。試みるナッシュ。 ナッシュ: I find you attractive.Your aggressive moves towards me indicate that you feel the same way.But still, ritual requires we continue with a number of platonic activities before we have sex. I am proceeding with whose activities. But in point of actual fact... all I really want to do is have intercourse with you as soon as possible. Are you gonna slap me now?(君は魅力的だ。君も僕を意識しているから積極的。しかし、社会のルールはプラトニックな関係を続けて、その後やっとセックス。そのルールは守るけど、本当のところは早く君とセックスしたい。ひっぱたく?) アリシアはナッシュをひっぱたく代わりにキスをした。 【ビューティフル・マインド 第22段落】 ナッシュはアリシアとの結婚を考えた。しかし、まだ自信が持てない。そんな時、チャールズが姪っ子の少女マーシー(ヴィヴィエン・カーダン)を連れてナッシュに会いにやって来た。今ハーバード大学 Harvard University の文学部でD・H・ロレンス David Herbert Lawrence を研究しているチャールズは、交通事故で亡くなった妹夫婦の遺児であるマーシーを引き取っている。ナッシュは早速チャールズに恋人ができたことを話した。いい仕事に出会い、貯金もでき、全てが順調なのだが、結婚となると自信がないと話すナッシュにチャールズが言う。“ There's no such thing as "for sure". That's the only sure thing I do know. (この世に確かなものなどない。それだけは確かだ。)” 【ビューティフル・マインド 第23段落】 アリシアの誕生日。なのにナッシュは仕事に熱中していてデートを約束しているレストランに大遅刻で現れた。いくら変わり者の女の子でも、この遅刻にはムクレ顔だ。ナッシュは包む時間が無かったからと、プレゼントを素のままでアリシアに渡す。それは、光を受けると美しい光の反射が見える水晶のような玉。初デートのパーティでアリシアが、色を創造した神は画家だと話していたことにちなんだプレゼントだ。そのことを知り、アリシアの機嫌は直る。そこでナッシュはネクタイを正す仕草をして、プロポーズに挑む。 ナッシュ: Alicia, does our relationship warrant long-term commitment? I need some kind of proof, some kind of verifiable, empirical data. (アリシア、僕らの関係は一生続くと?証拠が欲しい。信頼できる経験的データを。) アリシア: I'm sorry, just give me a moment to redefine my girlish notions of romance. (ごめんなさい。ちょっと待って。私の頭の中には少女っぽいロマンスへの憧れしか。) ・・・・ アリシア: How big is the universe? (宇宙の大きさは?) ナッシュ: Infinite.(無限だ。) アリシア: How do you know? (なぜ分かるの?) ナッシュ: I know because all the data indicates it's infinite.(全データがそう示しているから。) アリシア: But it hasn't been proven yet. (でもまだ証明されていない。) ナッシュ: No.(ない。) アリシア: You haven't seen it. (目でも確かめてない。) ナッシュ: No.(ない。) アリシア: How do you know for sure? (確かだとどうやって知るの?) ナッシュ: I don't, I just believe it. (分からない、そうただ信じているんだ。) アリシア: It's the same with love I guess. (愛もそれと同じよ。) 【ビューティフル・マインド 第24段落】 アリシアとナッシュは結婚した。教会の前で皆に祝福される二人を、通りの向こうの車の中からウィリアム・パーチャーが見ていた。 【ビューティフル・マインド 第25段落】 1954 年 10 月ケンブリッジ、マサチューセッツ州 Cambridge, Massachusetts 。夜、ナッシュが極秘事項の封筒を例のポストに入れる。門から出てきたナッシュを、パーチャーの車が拾う。パーチャーは尾行され、危険な状態だ。後ろから追って来る車からパーチャーの車に銃弾が撃ち込まれてくる。車を運転しているパーチャーは、ナッシュに撃ち返すようにと銃を渡そうとするが、ナッシュは銃を受け取らない。仕方なくパーチャーは運転しながら応戦し、見事な腕前で敵を撃退する。 【ビューティフル・マインド 第26段落】 ナッシュは呆然と自宅に戻るが、アリシアに危険な目に遭ったことを言うことはできない。帰りが遅いのを心配しているアリシアをよそに、ナッシュは部屋に鍵をかけて閉じこもった。 【ビューティフル・マインド 第27段落】 事件があってから、ナッシュはかなり神経質になる。教室の窓から駐車場に停まった車からパーチャーらしき人物が出てくるのを見たナッシュは、生徒達に何も言わずに教室を出て行く。ナッシュがウィーラー研究所の自分の部屋に戻ってきた時、パーチャーが現れた。ナッシュの部屋に入ってきたパーチャーは、敏感になりすぎているナッシュに、落ち着くように言った。ナッシュはアリシアが妊娠したので、仕事を止めたいとパーチャーに伝えた。パーチャーは、ソ連側にナッシュの名前をバラすと、弱気になっているナッシュを脅し、もうナッシュの面倒は見ないと言って部屋の外に出た。不安になったナッシュはパーチャーを追い、廊下で彼の名前を叫んだ。ちょうどパーチャーが非常口から出て行ったとき、「大丈夫か?」とナッシュの声に驚いたソルが彼の部屋から出てきた。 【ビューティフル・マインド 第28段落】 ナッシュは家でも異常に神経質になり、暗い自分の部屋から外を窺っている。アリシアが部屋のドアを開けると、ナッシュは明かりを消すようにと必死に言って、彼女に妹の家に行くように命じた。説明もなく、異常に何かに怯えている夫の姿に不自然さを感じたアリシアは、電話に向かった。 【ビューティフル・マインド 第29段落】 ハーバード大学で行われる全米数学者会議に出席するナッシュ。ビクビクとカバンを抱えてハーバード構内に入ってきたナッシュに、マーシーが飛びついた。チャールズとマーシーはナッシュの講義を聞きに来たのだ。精神的に追い詰められているナッシュは、チャールズに助けてもらいたいと頼む。しかし、他の教授から声が掛かり、ナッシュはチャールズの元を離れた。 【ビューティフル・マインド 第30段落】 壇上で数学の講義を行うナッシュは、講義内容に集中できていない感じで、落ち着かない。講義を行いながら、ホールに不審な男達が入ってくるのを見たナッシュは、身の危険を感じ、舞台袖のドアから外へ逃げた。男達はナッシュを追いかけた。ナッシュは逃げたが、追い詰められてしまう。ナッシュを捕まえようとしているのは、 3 人の黒衣の男達と、 1 人の初老の男だ。初老の男が精神科のローゼン博士(クリストファー・プラマー)だと名乗り、ナッシュに話をしようとゆっくり近づいてきた。ナッシュはローゼン博士にパンチをお見舞いしたが、 3 人の黒衣の男達に取り押さえられた。その騒動に人々が集まってきた。マーシーを連れたチャールズも居て、悲しそうにナッシュを見ている。ナッシュはチャールズにこの男達がロシア人だと訴えるが、成す術もない。暴れるナッシュにローゼン博士が注射を打った。ナッシュは車の中に入れられた。朦朧とする意識の中、ナッシュは人ごみの中のチャールズとマーシーを見ていた。 【ビューティフル・マインド 第31段落】 ナッシュが気がつくと、手足を拘束されて車椅子に座らされた。ナッシュがいる部屋は、マッカーサー病院のローゼン博士の部屋だ。ナッシュは逃げようと車椅子から飛び降りるが、手足を縛られているので、床に転がってしまう。ナッシュは部屋の隅にある椅子にチャールズが座っているのを見た。ナッシュは自分のせいで親友まで巻き添えにしてしまったと謝ったが、チャールズの様子がおかしい。チャールズはナッシュを見つめられず、下を向いた。チャールズに裏切られたと思ったナッシュは、彼を罵倒した。そんなナッシュにローゼン博士が話しかける。「誰と話を?そこには誰もいないんだよ。」 【ビューティフル・マインド 第32段落】 病院に呼ばれたアリシアはローゼン博士からナッシュの病気について説明を受けた。ローゼン博士によると、ナッシュは“総合失調症”という精神病で、幻覚症状があるらしい。診断を受け入れられないアリシアは、ローゼン博士にナッシュが諜報関係の仕事をしていることを話した。ローゼン博士はアリシアを傷つけないようにその事を認めながら、そういう世界では彼の行動は当然と見なされ、それで治療もされず、病気が放置されていたと語った。ナッシュが発病したのは大学時代で、ナッシュはチャールズという幻覚のルームメイトを作り上げていた。アリシアはチャールズは夫の親友だと主張するが、ローゼン博士が調べたところでは、大学の寄宿舎ではナッシュは一人だった。アリシアはチャールズに会ったことも、写真で見たことも、電話で話をしたことさえもなかった。ローゼン博士はナッシュの諜報の仕事も彼の幻覚だと考えているようだ。しかし、ナッシュが話す彼の監督官ウィリアム・パーチャーの存在は確かめようがない。ローゼン博士はアリシアにナッシュの仕事について調べて欲しいと頼んだ。 【ビューティフル・マインド 第33段落】 アリシアは早速ウィーラー研究所へ行った。ソルとベンダーはナッシュの部屋は立ち入り禁止だとアリシアを止めようとするが、ベンダーを平手打ちした彼女の気迫に押されてしまう。アリシアが見たナッシュの部屋は異様だった。壁一面に雑誌の切り抜き記事が貼られ、その上にクモの巣のように糸が張り巡らされているところもある。当初から少し変わっていたというナッシュの性格と、暗号解読の仕事に携わっていたのはナッシュだけだったということで、ナッシュの奇行は見逃されていた。今から考えると、軍の機密というのも本当かどうか疑わしい。アリシアはソルから聞いたナッシュがよく出かけていたところにも足を運んだ。例のポストがある廃屋だ。ナッシュの目を通した映像では、そこは小ぎれいな感じだったが、アリシアが訪ねた所は明らかにボロっとしていた。アリシアは傾いた門の中へ入り、ポストをこじ開けた。 【ビューティフル・マインド 第34段落】 アリシアは病院でナッシュと面会した。久しぶりに抱擁を交わす二人。ナッシュは何の説明もしなかったことをアリシアに詫びると、隠しマイクで盗聴されているかもと小声で話し始めた。政府の諜報活動に協力して大惨事に繋がる脅威を阻止しなければならないので、ここから出して欲しいとアリシアに頼むナッシュ。ナッシュによると、自分は大物なので、殺されることなくここに閉じ込められているそうだ。話がパーチャーに及んだ時、アリシアはナッシュの言葉を止めさせ、ウィーラー研究所にはパーチャーという人物はいないという事実、そして秘密の郵便受けにあった大量の未開封の封筒を突きつけた。諜報の仕事は幻覚で、パーチャーも想像の人物だという話を信じられないナッシュは、無言のまま席を立ち、面会室を出て行った。 【ビューティフル・マインド 第35段落】 ナッシュが真っ白い彼の病室で問題行動を起こした。ローゼン博士が駆けつけると、ナッシュは右手で左腕のチップを埋め込まれた辺りを穿(ほじく)り返していて血だらけだった。チップがないと言って、不安げにローゼン博士を見上げるナッシュ。 【ビューティフル・マインド 第36段落】 ナッシュはショック療法を受けることにした。治療室でベッドに縛りつけられるナッシュを、アリシアとローゼン博士がガラス越しに見下ろしている。病気のナッシュには何が現実か分からない。自分にとって大切な人や場所や思い出が消えたり、死んだりしたのではなく、実は存在しなかったという地獄のような恐怖をナッシュは味わっている。その恐怖から解放してあげるには、この方法しかないのだろうか? アリシアは注射を打たれたナッシュがベッドの上で激しくガタガタと震えているのを見て、思わず目をそらした。ナッシュは週に 5 回、 10 週間もこの療法を受けなければならない。 【ビューティフル・マインド 第37段落】 一年後、プリンストン大学。乳母車を押したアリシアは、ソルと一緒に大学構内を歩いている。ソルによると、ハンセンが学部長になり、鼻高々だそうだ。ナッシュはよく大学の話をしたが、今は近寄りもしない。きっと病気で挫折した自分が恥ずかしいのだろう。ソルはアリシアに大丈夫かと気遣った。アリシアが今感じているのは、ナッシュへの義務感と逃げ出したいと思う罪悪感。しかし、結婚した頃のナッシュを思い起こし、毎回できるわけではないが、勇気を出すのだそうだ。そう聞いて、ナッシュはラッキーだと話すソルに、アリシアは夫は不運な人だと無表情に呟いた。 【ビューティフル・マインド 第38段落】 ソルは自宅にいるナッシュを訪ねた。ナッシュとアリシアの家は、アメリカでは決して豊かそうには見えないものだ。ナッシュはポーチでリーマンの仮説を解こうと考えているところだった。向かいの椅子に腰掛けようとしたソルに、“ハーヴェイ”という空想の人物がいると冗談を言うナッシュ。この“ハーヴェイ”とは、映画『 ハーヴェイ (1950) HARVEY 』のことらしい。アリシアは帰宅早々ナッシュにピンクの薬を渡して今すぐに飲むように言った。しぶしぶ薬を飲むナッシュ。ナッシュは大学に復帰するために、リーマンの仮説を解こうとしているが、薬のせいで思うように頭が働かなくて解けないとソルに話す。焦ることはない、数学以外の事だってあるだろうと慰めようとするソル。しかし、数学の天才であるナッシュから数学を取ったら何がある? ソルの言葉は慰めにはならなかった。 【ビューティフル・マインド 第39段落】 自信喪失で病気のナッシュは、赤ちゃんの世話もろくに見られないようだ。おしゃぶりを落として泣き続ける赤ちゃんを抱き続けたままただ呆然としている。アリシアは腹立たしげにそんなナッシュから赤ん坊を取ってあやす。献身的にナッシュを支えているアリシアだが、精神的には彼女も限界状態だ。働けない夫の代わりに経済的に一家を支えながら、子供の世話、夫の世話、家事に追われる毎日。夜、アリシアが夫を求めても、薬のせいでナッシュはそんな気持ちになれない。拒まれたアリシアはバスルームへ行き、水を飲んだ。コップを鏡に投げつけ、叫び声をあげて泣くアリシア。ベッドのナッシュは居たたまれない気持ちになる。翌朝、割れた鏡を片づけてゴミ箱に捨てるナッシュに、仕事に出かけるアリシアが声をかける。赤ちゃんを母親に預けて、アリシアは残業をすることにした。 【ビューティフル・マインド 第40段落】 夜、アリシアは、机に向かっているナッシュにピンクの薬を渡して寝に行く。アリシアがすっかり二階へ上がってしまうと、ナッシュはその薬を机の引き出しにある缶の中へ入れた。もう数日間ナッシュは薬を飲んでいないようだ。ナッシュが机の上にある雑誌の記事に暗号の一定パターンを見いだすと、窓ガラスに何か物があたった。外に人気を感じたナッシュは、家を出た。家の裏の林を走るナッシュに、懐中電灯の明かりが幾つも当てられる。ナッシュが懐中電灯に取り囲まれると、パーチャーが現れた。幻覚か現実か、ナッシュは混乱する。 【ビューティフル・マインド 第41段落】 パーチャーはナッシュに話しかけながら、裏林の小屋まで彼を連れてきた。ナッシュに仕事に戻ってもらいたいパーチャーは、その小屋に情報施設を移転させたのだ。ナッシュが家で仕事をして目立つのはマズいから、パーチャーたちがここへやって来たというのだが、現実問題としてそんなことはおかしい。しかし、ナッシュの眼前には、機器が持ち込まれた小屋の中で数人の男達が情報処理の仕事を行っているのがハッキリと見える。ナッシュがローゼン博士の話を持ち出すと、パーチャーは彼を藪医者だと罵り、総合失調症などデタラメだと言った。博士やアリシアの調べで、パーチャーは存在しない人物と分かっている。でも、スパイの名前が名簿に載るだろうか? やり甲斐のある仕事への復帰を呼びかけるパーチャーの言葉に、ナッシュは現実だと認めてしまった。 【ビューティフル・マインド 第42段落】 もうすぐ嵐になる。急いで洗濯物を取りに行こうとするアリシアに、ナッシュが自分で赤ちゃんをお風呂に入れると言った。赤ん坊をナッシュに任せ、ひどい風の中、庭で洗濯物を取るアリシア。彼女の耳に裏林の方からヘンな音が聞こえてくる。不審に思ったアリシアは、庭の裏戸を出て、音のする方向へ走った。ラジオのチューナーが狂ったような音は、小屋の中から聞こえていた。おそるおそるアリシアが小屋の扉を開けると、以前ウィーラー研究所のナッシュの部屋で見たのと同じ光景がそこにあった。壁一面の雑誌の切り抜き!小屋の中の一台のラジオが、嵐のせいでチューナーが狂い、へンな音を出している。アリシアは家にナッシュと赤ん坊を置いてきたことを思い出し、雨の中、全速力で帰った。 【ビューティフル・マインド 第43段落】 びしょぬれのアリシアが二階へ上がると、ナッシュが部屋の窓を閉めながらチャールズに子守を頼んでいる。驚いたアリシアがバスルームにはいると、蛇口からお湯を注ぎ続けたままの浴槽に赤ん坊が寝かされていて、まさに溺れる寸前。アリシアは急いで子供を掬い上げた。アリシアが誰もいないとナッシュに訴えると、ナッシュは奇妙な話をし出す。チャールズは特殊な注射で誰にも見えず、チップが溶けた自分にだけ彼が見えるというのだ。アリシアは一階にある電話に直行した。ローゼン博士に助けを求めなくては! ・・・ ▲TOPへ ◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say ! 【ビューティフル・マインド 第44段落】 電話をかけさせまいとアリシアを追って一階に下りたナッシュは、赤ん坊を抱きながら受話器を持った妻と、彼女に銃を向けるパーチャーを見た。ナッシュはパーチャーの手から銃を外させようと向かっていくが、実際には誰もいないので、アリシアがナッシュに突き飛ばされる。ナッシュを恐れたアリシアは、玄関から外に出た。パーチャーはナッシュに命令する。アリシアは知りすぎているから殺せ!手を握られた感触がしたので、下を見るとマーシーがナッシュを見つめている。二階から降りてきたチャールズがパーチャーの言う通りにするように叫ぶ。頭の中に色んな映像が飛び交い、混乱するナッシュ。幼い少女マーシーの映像。…おかしい。 【ビューティフル・マインド 第45段落】 ナッシュは外に出て、発車しようとしていたアリシアの車を止めた。雨の中、フロントガラスの向こうにいるびしょぬれの夫を脅威の目で見るアリシア。ナッシュはアリシアに言った。マーシーはヘンだ。あの子は大きくならない。ナッシュが幻覚を認めたので、アリシアはアクセルを踏むことはなかった。 【ビューティフル・マインド 第46段落】 自宅でローゼン博士を交えて話し合いがもたれた。その間もナッシュの目には部屋の中にマーシーもチャールズもパーチャーもいるのが見える。薬をやめたのは、勉強が進まず、赤ん坊の世話にも支障が出、それに妻を拒んだからだとナッシュは話した。ローゼン博士はショック療法を増やして、投薬を変えようと提案したが、ナッシュは嫌がった。治療を続けないと、症状が進んで全てが幻覚になってしまう。ローゼン博士はナッシュ夫妻にそう話した。 【ビューティフル・マインド 第47段落】 再び入院するために、ナッシュは部屋で荷物をまとめなければならないが、一向に進まない。初デートの時にアリシアから貰ったハンカチを持って部屋でじっとしている。ナッシュの様子を見に二階に来たアリシアが、ローゼン博士が家の裏で待っていると伝えた。入院したらもう二度と戻れないと話すナッシュに、そう言われたら強制収容の申請をするようにとローゼン博士から説明を受けたとアリシアは答えた。ナッシュは必ず病気を治す答えを見つけるから自分に時間をくれるようにアリシアに懇願した。でも、アリシアに危害を加えるかもしれないという危険性は自分にある。ナッシュはアリシアに母親の家に戻るように言った。アリシアは階段を下りた。 【ビューティフル・マインド 第48段落】 ナッシュの部屋に戻ってきたアリシアは、このままの状態を続けることを暗に示した。自分が身の危険を感じるようなことがあれば、ローゼン博士にすぐに連絡をする。“ You want to know what's real? (何が本当か知りたいの?)” アリシアは自分の手をナッシュの頬に、ナッシュの手を自分の頬、それから胸に当て、これは本物だと話した。夢と現実を区別するのは頭ではなく、心なのかもしれない。アリシアはナッシュを見つめて言った。“ I need to believe, that something extraordinary is possible. (私は信じたいの。人間の力を超えたことだって可能だと。)”夫婦はしっかりと抱き合った。 【ビューティフル・マインド 第49段落】 2 ヵ月後、プリンストン大学。ナッシュは学部長となったハンセンに会うため、嘗てのヘリンジャー教授の部屋に入った。 ナッシュ: Hello, Martin.(やぁ、マーティン。) ハンセン: Jesus Christ.(驚いた。<ジーザス・クライスト>) ナッシュ: No. I don't have that one. My savior complex takes a different form. (僕の救い主はキリストじゃない。) …と、皮肉っぽいのは変わらないナッシュだが、やはり君が勝ったとハンセンに甲を脱いだ。ハンセンは勝ち負けなど関係ないと言って、ナッシュに椅子を勧めた。ナッシュがここに来た訳を話そうとすると、部屋の中にチャールズが物凄い剣幕で入って来た。チャールズはナッシュが嘗てのライバルであるハンセンに頼みごとをするつもりなのがかなり気に入らない様子。ナッシュは幻覚を消そうと、持っていた新聞紙を振り上げる。何も見えないハンセンからすると異様な光景だ。ナッシュが今見たことを忘れて欲しいと言うと、ハンセンは友達だからと快諾してくれた。ハンセンの友達という言葉に安心したナッシュは、大学に戻りたい旨を話した。元の環境に戻れば、その内自分から幻覚が去るかもしれない。オフィスが必要かと尋ねるハンセンに、ナッシュは図書館で十分だと言った。 【ビューティフル・マインド 第50段落】 ナッシュに大学を開放するため、ハンセンが事務長らしき人を説得していると、外でナッシュが騒いでいるのが見えた。ナッシュが誰もいない空間に向かって口論している。その不思議な光景に学生が集まっている。ナッシュにはパーチャーが見えていた。病気だからと言ってお情けを受け入れる気かと責め立てるパーチャーに、“ You are not real. (お前は幻覚だ。)”と対抗するナッシュ。パニック状態のナッシュにハンセンが駆け寄り、落ち着かせる。我に返ったナッシュは、人々が奇異の目で見つめる中、大学を後にした。 【ビューティフル・マインド 第51段落】 自宅で今日大学であったことをナッシュはアリシアに報告する。大学からの帰り道にはチャールズが居たそうだ。ナッシュは時々チャールズと話したいとアリシアに呟いた。そんな自分に自信をなくし、やっぱり病院に戻るべきかなと弱気になるナッシュ。アリシアはそんな夫の手を取り、“ Maybe try again tomorrow. (明日もまた大学へ。)”と言った。 【ビューティフル・マインド 第52段落】 ナッシュは幻覚三人組を引き連れて大学へ行った。授業が始まる前、ずっと自分を無視し続けるのかと言うチャールズに、ナッシュは君は親友だけど、もうこれきりだと言った。そして横に居るマーシーにもお別れをした。廊下の端からパーチャーがナッシュを見ていた。授業を行う教授に断ってから入室しようとした時、ナッシュは自分が初めて大学で授業を受けることに気付いた。 【ビューティフル・マインド 第53段落】 幻覚のチャールズや現実の学生達にバカにされながらも、ナッシュは大学に通い続けた。ナッシュの息子も随分と大きくなり、朝、息子が学校に出かけるのと同じにナッシュも家を出る。 1978 年 10 月。プリンストン大学の図書室で昔のように窓ガラスに解法を書いているナッシュに、一人の男子学生が近づいてきた。トビー・ケリーと名乗ったその学生は、毛糸の帽子を被った老人がジョン・ナッシュであると知ると、尊敬の意を表した。ナッシュの均衡理論のような革命的な学説を打ち立てたいというトビーは、今自分が考えているアイデアをナッシュに見せた。ナッシュは明日の天才かもしれない青年に妻の手作りサンドイッチをあげた。 【ビューティフル・マインド 第53段落】 ハンセンに導かれ大学の図書館にやって来たアリシアは、学生達に囲まれ、彼らに話をしているナッシュを見た。嬉しさがこみ上げるアリシア。 【ビューティフル・マインド 第54段落】 木々の紅葉が美しい大学構内をハンセンと一緒に歩くナッシュ。自信がついてきたナッシュは自分を役立てたいと思うようになり、ハンセンに教鞭を取る意志を伝えた。まだ幻覚を見るナッシュだが、ハンセンは彼を信頼することにしたようだ。上司と相談した上で、春からナッシュに教鞭を取ってもらうと言った。ハンセンは学生時代と同じ言葉で、ナッシュを碁のボードゲームに誘った。ナッシュも昔と同じにそれに応じた。帰りが遅くなるのでアリシアへの電話を気にかけながらも、二人はそそくさとゲームボードのあるベンチに座った。 【ビューティフル・マインド 第55段落】 1994 年 3 月、プリンストン大学。授業を終えたナッシュに男が声をかけた。ナッシュは受講していた女学生にその男が見えるかどうか尋ね、自分の幻覚かどうか確かめた。男は現実だった。トマス・キングというその男は、ナッシュの非協力ゲーム理論とその均衡理論が近代経済学の基礎を築いたという理由で、ノーベル経済学賞の候補になっていることを話した。ナッシュは驚きで一瞬声が出なかった。キングはナッシュを教授専用の構内レストランに連れて行った。そのレストランは嘗てナッシュがへリンジャー教授からこのままでは就職先を推薦できないと話をされたところだ。学生達には溶け込めるようになっていたナッシュだが、教授たちにはまだ馴染めていない様で、レストランに入るのを躊躇った。しかし、キングに勧められ、中に入る。 【ビューティフル・マインド 第56段落】 普通ノーベル賞の選考は秘密裏に行われるそうだ。通例に反してキングがナッシュに会いに来たのは、心の病を患っているナッシュがノーベル賞を受けるに足る人物かどうか調査するためだ。今もないものが見えることをナッシュはキングに包み隠さず話した。“ I still see things that are not here. I just choose not to acknowledge them. Like a diet of the mind, I just choose not to indulge certain appetites; like my appetite for patterns; perhaps my appetite to imagine and to dream. (まだここにないものが見える。無視しているがね。だからダイエットのように欲求を抑えているんだ。一定形式を探す欲求や、想像と夢への欲求をね。)” 突然、一人の教授がナッシュのテーブルに万年筆を置くと、他の教授たちも次々とそれに倣った。ナッシュはいつか見た老教授のような輝ける功績を修めた学者となり、若い頃に望んだ人の評価を得た。 【ビューティフル・マインド 第57段落】 1994 年 12 月ストックホルム Stockholm でのノーベル賞授賞式。壇上に立つナッシュが客席のアリシアに話すようにスピーチをする。アリシアは若い頃の黒髪がウソのように真っ白(ブロンド?)になっている。 …Perhaps it is good to have a beautiful mind, but an even greater gift is to discover a beautiful heart. I've made the most important discovery of my life. It's only in the mysterious equation of love that any logical reasons can be found. I'm only here tonight because of you. You're the only reason I am... you're all the reasons I am.(…たぶん美しい心を持つことは良い事です。しかし、もっと素晴らしい才能は美しい心を見つけることです。私はついに学んだのです。人生で一番大事なことを。謎に満ちた愛の方程式の中に理はあるのです。今夜の私があるのは君のお蔭だ。君がいて私がいる。) 燕尾服を着たナッシュの胸にはアリシアから貰ったハンカチがあった。授賞式が終わり、玄関ホールに出てきたナッシュに、立派に成長したハーバード大生の息子が車を呼んでいることを告げる。アリシアはナッシュに有難うと言った。ナッシュはホールの奥にチャールズとマーシーとパーチャーを見たが、無視してアリシアと一緒に外に出た。 【ビューティフル・マインド 第58段落】 ジョン・ナッシュ教授は今もプリンストン大学の教壇に立ってらして、徒歩で通学なさっているらしい。 ▲TOPへ ■映画『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』 ジョン・F・ナッシュ( 1928- ) 【ジョン・F・ナッシュ 第01段落】 プリンストン大学の学生と教授たちは、紫色のスニーカーを履いて数学科と物理学科のあるファイン・ホールの廊下を足を引きずって歩き回り、時折黒板に数霊術の論文を書いている幽霊のように静かな人物を何年も見続けている。人は彼を“ファントム・オブ・ファイン・ホール Phantom of Fine Hall (ファイン・ホールの怪人)”と呼ぶ。その怪人の名はジョン・フォーブス・ナッシュ John Forbes Nash 。彼の世代における優秀な数学者の一人であり、 1950 年代に総合失調症(schizophrenia)の闇に取り憑かれた人物だ。 【ジョン・F・ナッシュ 第02段落】 電気技師の父ジョン・ナッシュと結婚前まで国語と古典(ラテン語)の学校教師をしていた母ヴァージニアの息子、ジョン・F・ナッシュ,Jr.は 1928 年 6 月 13 日にウエスト・ヴァージニア州ブルーフィールド Bluefield, West Virginia で生まれた。青年となったナッシュが 1948 年にプリンストンの大学院に出願したとき、カーネギー工科大学の老教授、R・J・デュファン Carnegie Tech professor, R.J. Duffin は推薦状に 1 行だけ書いた。「この男は天才だ。」 まさにその 2 年後、 21 歳の時にナッシュは非協力ゲーム理論 Non-Cooperative Games に関する 27 ページの論文で、その天才振りを世に知らしめる。 【ジョン・F・ナッシュ 第03段落】 21 歳のジョン・ナッシュが戦略上の非協力ゲーム理論として“ナッシュ均衡 Nash Equilibrium ”を概説する 27 ページの論文を書いたとき、その衝撃は甚大だった。形式的な側から言えば、彼の存在証明は、後にネオ・ワルラシアン Neo-Walrasians 達によって好まれどこでも用いられた角谷の不動点定理 Kakutani's fixed-point theorem (角谷とは、エール大学の名誉教授であった日本人数学者、角谷静夫氏[ 1911-2004 ]のこと。不動点定理は 1941 年に発表された理論。)を初めて応用したものの一つであった。概念的な側から言えば、非協力ゲーム理論についての多くの文学を引き起こし、経済学それ自体を殆ど圧倒した。 【ジョン・F・ナッシュ 第04段落】 当時ジョン・フォン=ノイマン John von Neumann ( 1903-1957 )とオスカール・モルゲンシュテルン Oskar Morgenstern ( 1902-1976 )が起こしたばかりのゲーム理論とナッシュが出会ったのはプリンストンでだった。フォン=ノイマンとモルゲンシュテルンは“純粋な競争”における場合の非協力ゲーム理論を何とかうまく解決しただけだったが、若きナッシュは相互利益を伴う競争に着目した。ナッシュのトリックは、角谷の不動点定理の使用だった。主な成果である“ナッシュ均衡”は、米国学術誌「 the Proceedings of the National Academy of Sciences 」で 1950 年に出版された。これに続き、 1951 年にナッシュは別の解法概念を導入した論文を発表する。二人の協力ゲームについての“ナッシュ交渉解 Nash Bargaining Solution (NBS) ”だ。 【ジョン・F・ナッシュ 第05段落】 ナッシュの数学への貢献も素晴らしい。大学生の時、ナッシュはオランダの数学者ブラウワー( 1881-1966 ) の不動点定理 Brouwer's fixed point theorem を証明。その後、彼はドイツの数学者リーマン Riemann ( 1826-1866 )の最も面倒な数学の難問を解いた。その時から、ナッシュは数学における大発見を次々と行う。 【ジョン・F・ナッシュ 第06段落】 1958 年、ナッシュはまだこれからという時に偏執症の総合失調症になってしまう。その年、 29 歳にしてナッシュはマサチューセッツ工科大学で終身在職権を持つ教授であったが、 1959 年に彼は職を失った。およそ 20 年間病気に取り憑かれたナッシュは、ヨーロッパやアメリカを放浪した後、ついにプリンストンへと戻り、“ファイン・ホールの怪人”と呼ばれる悲しい幽霊のような人物となる。 【ジョン・F・ナッシュ 第07段落】 1970 年代初頭にナッシュの病気は治まり始め、ナッシュは徐々に数学の仕事に戻っていく。ノーベル賞委員会がゲーム理論への受賞を議論し始めた時、ナッシュの名前は必ず上がるが結局却下されていた。なぜならノーベル賞を狂人に授与するわけにはいかないからだ。しかし、 1994 年、ナッシュ自身が「最もつまらない研究」と言い張っているおよそ 45 年前の功績により、 ジョン・ナッシュはジョン・C・ハーサニー John C. Harsanyi 、ラインハルト・ゼルテン Reinhard Selten と共にノーベル経済学賞を受賞した。 ▲TOPへ ■映画『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』の感想 人は一人では生きていけないんだなぁとつくづく思った。いくら天才的な才能に恵まれていても、それを支えてくれる人がいなければ、ダメになってしまう。天才であるがゆえに自己顕示欲とプライドの塊で、人とうまくコミュニケーションできない自分勝手な男が、病気で自信喪失を経験し、妻に支えられながら、徐々に自分の殻を打ち破っていく。自分は人に嫌われると卑屈になっていた人間が、大学時代のライバルの友情に助けられ、ついには若い学生たちに慕われる老教授となって社会に自分の能力を還元し、人々の尊敬を得る人間にまで成長する。ラストのノーベル賞授賞式でのスピーチでは、そこまでに至った自らの哲学的思想を語る。それは自己の存在理由をアリシアという他者に重ね合わせること。ビューティフル・マインドとは人を愛する心。人を愛そうとする心、そして自分を愛してくれる人の心を見つけ出せることが偉大な才能だ。当たり前のことのようだけど、人付き合いが苦手で、自分のことばかり考えてしまう私にとっては、キュンというかシュンとなってしまう教訓のようデス。 人間はいつか必ず病むのだから、病気といかにうまくやっていくのかが、人生を健やかに生きるコツだと聞いたことがある。幻覚が永遠に消えそうもないナッシュの場合もそうだ。台詞にもあったように、自分の欲求を抑えながら、心のバランスを図って病気の進行を抑える。心の病気って特別な感じがするけど、その癒し方は体の病気と何ら変わることがない。高血圧の人が本当は食べたい塩辛いものを控えるように、ナッシュの場合は本当は考えたい一定形式や空想について考えるのを控えるのだ。ビューティフル・マインドは誰の心にもあるもの。総合失調症だからって、それが損なわれるわけじゃない。ビューティフル・マインドを持ち、又見つけることができたジョン・ナッシュの成功は、同じような病気で苦しんでいる方に勇気を与えるものに違いない。そして昔は精神分裂症という、病気に対する誤解を生むような名称で呼ばれていた総合失調症について、映画『 ビューティフル・マインド 』は社会に啓蒙的な働きができていると思う。 非協力ゲーム理論ってチンプンカンプンだけど、スゴイ理論という雰囲気は感じることができた。世の中ってジョン・ナッシュのような天才の閃きと努力のお蔭で発展していってるんだなぁと改めて思い知った。天才って案外順風満帆な人生を送っていないと思う。世の中の事象を感知する能力が優れているだけに、その人生も波乱万丈になるのだろう。そんな彼らの苦悩も知らず、のほほんと生きられる庶民で良かったぁ。でも、もっと科学が発達するようになり、もしかして遊園地のアトラクションとかで天才の頭脳体験コーナーとかがあるようになったら、ちょっとやってみたい気がする。 以上。 <もっと詳しく>からスペースを含まず23156文字/文責:幸田幸 参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集 http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm IMDb allcinema ONLINE Nostalgia.com CinemaClock.com http://www.popular-science.net/nobel/nash.html |
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■映画『 ビューティフル・マインド (2001)
A BEAUTIFUL MIND 』の更新記録 2004/11/27新規: ファイル作成 2004/11/28更新:◆解説とネタバレおよび俳優についてリンク 2005/09/30更新: ◆データ追加 2006/01/09更新: ◆データ追加 |
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幸田 幸 coda_sati@hotmail.com |
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