ドラキュラ | |
|表紙|目次|読む映画試写会|レヴュー|観たい度映画|予告編|エッセイ|日誌|試写会情報|リンク集| | 映画人 |解説・レヴュー一覧表 |映画ゲーム |思い出映画|ブロードバンド(B)版|旅行の森てんこ森| |
|
映画の森てんこ森■映画レヴュー | |
ドラキュラ (1992) | |
BRAM STOKER'S DRACULA | |
映画『 ドラキュラ (1992) BRAM STOKER'S
DRACULA 』をレヴュー紹介します。 映画『 ドラキュラ BRAM STOKER'S DRACULA 』を以下に目次別に紹介する。 ■映画『 ドラキュラ BRAM STOKER'S DRACULA 』の解説及びポスター、予告編 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。 ■映画『 ドラキュラ BRAM STOKER'S DRACULA 』の映画データ ■映画『 ドラキュラ BRAM STOKER'S DRACULA 』の主なキャスト ■映画『 ドラキュラ BRAM STOKER'S DRACULA 』のスタッフとキャスト ■映画『 ドラキュラ BRAM STOKER'S DRACULA 』の<もっと詳しく> <もっと詳しく>は映画『 ドラキュラ 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 ドラキュラ (1992) BRAM STOKER'S DRACULA 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。 ■映画『 ドラキュラ BRAM STOKER'S DRACULA 』の結末 ■映画『 ドラキュラ BRAM STOKER'S DRACULA 』の感想(ネタばれご注意) ■映画『 ドラキュラ BRAM STOKER'S DRACULA 』 ワラキア公ヴラド三世 ■映画『 ドラキュラ BRAM STOKER'S DRACULA 』 ブラム・ストーカー ■映画『 ドラキュラ BRAM STOKER'S DRACULA 』の更新記録 >>「映画解説・レヴュータイトル一覧表」へ(画面の切り替え) |
|
幸の鑑賞評価: 8つ星 | |
■映画『 ドラキュラ (1992) BRAM STOKER'S DRACULA 』の解説及びポスター、予告編 | |
ドラキュラ |
■映画『 ドラキュラ BRAM STOKER'S DRACULA
』の解説 映画『 ドラキュラ (1992) BRAM STOKER'S DRACULA 』は、 1992 年第 65 回アカデミー衣裳デザイン賞を日本人の石岡瑛子が受賞したフランシス・フォード・コッポラ監督作品。他メイクアップ賞、音響効果編集賞を受賞した。 この『 ドラキュラ 』は、怪奇小説の古典、ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」の原典を最新技術で忠実に現代によみがえらせた恐怖とエロスの大ロマン・ドラキュラ・ムービーだ。吸血鬼ドラキュラ伯爵は、 15 世紀、ワラキア[現ルーマニアの国家的構造の基礎となる三国のうちの一つ]に実在したドラキュラ・ヴラド・ツェペシュ公( 1431 − 1476 )がモデルだ。 映画『 ドラキュラ 』のストーリー。ドラクル伯爵(ゲイリー・オールドマン:『 ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 (2004) HARRY POTTER AND THE PRISONER OF AZKABAN 』等)は、最愛の妻を失って以来 400 年間、妻の面影を求めて時空を彷徨い続けている。その妻と生き写しの女性ミナ(ウィノナ・ライダー:『 17歳のカルテ (1999) GIRL, INTERRUPTED 』等)を見つけたドラキュラ伯爵は、辺境の東ヨーロッパからヴィクトリア朝のロンドンへ。しかし、彼女にはすでに婚約者(キアヌ・リーヴス:『 マトリックス (1999) THE MATRIX 』等)がおり、またヴァンパイア・ハンターのヘルシング教授(アンソニー・ホプキンス:『 レッド・ドラゴン (2002) RED DRAGON 』)が登場する。 |
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。 Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com. Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc. |
|
▲TOPへ | |
■映画『 ドラキュラ (1992) BRAM STOKER'S DRACULA 』の映画データ | |
上映時間 127分 製作国 アメリカ 公開情報 Col=COLTRI 初公開年月 1992/12 ジャンル ホラー/ロマンス/ドラマ/スリラー 《公開時コピー》闇の中の愛を見たことがありますか。 《米国コピーTagline》Love Never Dies. |
|
▲TOPへ | |
■映画『 ドラキュラ (1992) BRAM STOKER'S DRACULA 』の主なキャスト | |
●ゲイリー・オールドマン as ドラキュラ 『 ドラキュラ (1992) BRAM STOKER'S DRACULA 』 『 不滅の恋/ベートーヴェン (1994) IMMORTAL BELOVED 』 『 エアフォース・ワン (1997) AIR FORCE ONE 』 『 フィフス・エレメント (1997) THE FIFTH ELEMENT 』 『 ハンニバル (2001) HANNIBAL 』 『 ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 (2004) HARRY POTTER AND THE PRISONER OF AZKABAN 』 ●ウィノナ・ライダー as エリザベータ/ミナ 『 ビートルジュース (1988) BEETLEJUICE 』 『 ヘザース/ベロニカの熱い日 (1989) HEATHERS 』 『 シザーハンズ (1990) EDWARD SCISSORHANDS 』 『 恋する人魚たち (1990) MERMAIDS 』 『 ドラキュラ (1992) BRAM STOKER'S DRACULA 』 『 若草物語 (1994) LITTLE WOMEN 』 『 17歳のカルテ (1999) GIRL, INTERRUPTED 』 『 Mr.ディーズ (2002) MR. DEEDS 』 『 シモーヌ (2002) SIMONE/S1M0NE 』 『 サラ いつわりの祈り (2004) THE HEART IS DECEITFUL ABOVE ALL THINGS 』 ●アンソニー・ホプキンス as ヴァン・ヘルシング教授 『 ハワーズ・エンド (1992) HOWARDS END 』 『 ドラキュラ (1992) BRAM STOKER'S DRACULA 』 『 羊たちの沈黙 (1991) THE SILENCE OF THE LAMBS 』 『 M:I−2 (2000) MISSION: IMPOSSIBLE 2 / M:I-2 』 『 ハンニバル (2001) HANNIBAL 』 『 9デイズ (2002) BAD COMPANY 』 『 レッド・ドラゴン (2002) RED DRAGON 』 『 白いカラス (2003) THE HUMAN STAIN 』 ●キアヌ・リーヴス as ジョナサン・ハーカー 『 旅立ちの季節/プリンス・オブ・ペンシルバニア (1987) THE PRINCE OF PENNSYLVANIA 』 『 ミッドナイトをぶっとばせ!<未> (1988) THE NIGHT BEFORE 』 『 ドラキュラ (1992) BRAM STOKER'S DRACULA 』 『 ディアボロス/悪魔の扉 (1997) THE DEVIL'S ADVOCATE 』 『 マトリックス (1999) THE MATRIX 』 『 ギフト (2000) THE GIFT 』 『 陽だまりのグラウンド (2001) HARDBALL 』 『 マトリックス リローデッド (2003) THE MATRIX RELOADED 』 『 マトリックス レボリューションズ (2003) THE MATRIX REVOLUTIONS 』 『 恋愛適齢期 (2003) SOMETHING'S GOTTA GIVE 』 『 コンスタンティン (2004) CONSTANTINE 』 |
|
▲TOPへ | |
【『 ドラキュラ 』のスタッフとキャスト】 | |
監督: フランシス・フォード・コッポラ Francis
Ford Coppola 製作: フランシス・フォード・コッポラ Francis Ford Coppola フレッド・フックス Fred Fuchs チャールズ・ムルヴヒル 製作総指揮: マイケル・アプテッド Michael Apted ロバート・オコナー Robert O'Connor 原作: ブラム・ストーカー Bram Stoker 脚本: ジェームズ・V・ハート James V. Hart 撮影: ミヒャエル・バルハウス Michael Ballhaus 音楽: ヴォイチェフ・キラール Wojciech Kilar 出演: ゲイリー・オールドマン Gary Oldman ドラキュラ ウィノナ・ライダー Winona Ryder エリザベータ/ミナ アンソニー・ホプキンス Anthony Hopkins ヴァン・ヘルシング教授 キアヌ・リーヴス Keanu Reeves ジョナサン・ハーカー サディ・フロスト Sadie Frost ルーシー リチャード・E・グラント Richard E. Grant セワード医師 ケイリー・エルウィズ Cary Elwes ホルムウッド卿 ビル・キャンベル Bill Campbell クインシー トム・ウェイツ Tom Waits レンフィールド モニカ・ベルッチ Monica Bellucci 女ドラキュラ ▲TOPへ |
|
<もっと詳しく> | |
ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。 |
|
■映画『 ドラキュラ 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー 【ドラキュラ 第01段落】 1462 年、コンスタンチノープル陥落。ワラキア公国の王ヴラド・ドラクル伯爵(ゲイリー・オールドマン)は、キリスト教世界に攻め込んでくるトルコ軍をせき止めるため、勇猛果敢に戦う。勝利を収めるが、逃げ去る敵兵が城に「ヴラド戦死」の偽の手紙を放ったために、夫の死を悲しんだ妻エリザベータ(ウィノナ・ライダー)は川に身を投げて死ぬ。キリスト教では自殺者の埋葬は許されず、その魂も天国へ行くことが出来ない。キリスト教を守るために命を賭けて戦ったヴラドは、神の無情を怒り、神への永遠の復讐を誓う。ヴラドが剣で突き刺した十字架からは血が流れ、ヴラドはその血を飲み干すのだった。 【ドラキュラ 第02段落】 1897 年、若いイギリス人の弁理士であるジョナサン・ハーカー(キアヌ・リーヴス)は、東ヨーロッパのトランシルヴァニアにあるドラキュラ城に向けて旅立っていた。ドラキュラ伯爵(ゲイリー・オールドマン)という高貴な男がロンドンの不動産を購入する手続きを行うためだ。この仕事の前任者であるレンフィールド(トム・ウェイツ)が精神病院に収容されていることが気にかかったが、成功すれば昇進を約束するという上司の言葉に、ミナ・マーレイ(ウィノナ・ライダー2役)との結婚を控えて野心に燃えるジョナサンは快諾する。 【ドラキュラ 第03段落】 ジョナサンをボルゴ峠まで馬車で送った土地の人々は、邪悪から身を守るための十字架を彼に渡すのだった。ジョナサンは伯爵が寄越した不気味な迎えの馬車に乗って、絶壁に聳え立つ、今にも崩れ落ちそうな古い城に到着した。そこで教養のある人物に見える、年老いたドラキュラ伯爵に、彼はもてなしを受ける。しかし、狼の遠吠え、城の入り口にある地獄の青い炎、実際の動きとは無関係な伯爵の影など、全てが奇妙で恐ろしい。 【ドラキュラ 第04段落】 ジョナサンはすぐに自分が捕われの身となったことに気付く。伯爵は何か超自然的な生き物で、自分の命を狙っているのではないか。そしてミナの写真を見て涙を流す伯爵がロンドンに移り住む理由は、もしかしてミナを襲うためではないか。三人の妖艶な女吸血鬼たちに誘惑され血をすすられながら、ジョナサンは徐々に生気を失っていくのだった。そしてドラキュラ伯爵はイギリスへと旅立つ。 【ドラキュラ 第05段落】 イギリスでは、ジョナサンの婚約者のミナは、彼女の友人である美しい貴族の娘ルーシー・ウェステンラ(サディ・フロスト)の屋敷に滞在していた。ルーシーはジョン・セワード医師(リチャード・E・グラント)、アーサー・ホルムウッド卿(ケアリー・エルウェス)、テキサス男のクインシー・モリス(ビル・キャンベル)の三人の男たちから求婚されていたが、ホルムウッド卿と婚約することになった。ルーシーの屋敷があるイングランド北東部にある港町ウィットビーに、ドラキュラ伯爵と城から運んだ土を積んだ船が到着する。船からは乗組員が全員消え、死んだ船長が見つかった。 【ドラキュラ 第06段落】 ある夜、夢遊病のルーシーが庭へと彷徨って行くのを見たミナは彼女の後を追いかけると、怪しく乱れるルーシーの上に赤い目をした獣が覆い被さっているのを目撃する。ミナに気付いたその獣は悲しそうに「見るな。」と言って姿を消す。ミナは正気を取り戻したルーシーを屋敷へと連れて行く。青ざめて病気になってしまったルーシーの首筋には、二つの小さくて赤い印がある。ルーシーを診断したセワード医師は、自分の手におえないことを知り、原因不明の病気の世界的権威であるヴァン・ヘルシング教授(アンソニー・ホプキンス)をオランダから呼び寄せる。ヘルシング教授はルーシーの病気がノスフェラトゥによるものだとすぐに気付く。ヴァン・ヘルシングは『 ヴァン・ヘルシング (2004) VAN HELSING 』参照どうぞ。 【ドラキュラ 第07段落】 そんなころ、ミナはロンドンの町の中で、ヴラド伯爵と名乗る不思議な魅力のある外国人男性に出会う。時を越えてエリザベータの生まれ変わりであるミナに出会うために、ドラキュラ伯爵は遥々ワラキアの山の中からやって来たのだ。伯爵と会う内にエリザベータの気持ちが甦ってくるミナは、激しい情熱を伯爵に対して感じるのだったが、ドラキュラ城から決死の脱出を行ったジョナサンから結婚式を挙げるためにブタペストに来るようにと手紙を受ける。貞淑な女であらねばと、ミナは伯爵との約束を反故にして、ジョナサンの許へと向かう。 【ドラキュラ 第08段落】 ミナの結婚を知ったドラキュラ伯爵は、狼の姿に変身し、怒りと悲しみでルーシーにとどめを刺す。ヘルシング教授は吸血鬼となったルーシーに死の安らぎを与えるため、彼女を愛した三人の男と共に彼女の墓を訪れる。棺を開けると中は空っぽ。すると幼女をさらってきたルーシーがやってくる。ヘルシング教授に血を吐きかける悪魔となったルーシーを見て、彼女の婚約者であったホルムウッド卿は意を決してルーシーの心臓に杭を打ち込む。そして教授が首を切り落とす。 【ドラキュラ 第09段落】 結婚をしてロンドンに戻ったミナとジョナサンは、ヘルシング教授達の仲間に加わる。ドラキュラ城で血を吸い取られたためか、ジョナサンの髪には白髪が多く混じっている。ジョナサンからロンドンでのドラキュラ伯爵の住処を聞いたヘルシング教授は、一行と共に伯爵が戻って来られないようにその住処を清めに行く。その時、安全のためにセワード医師の勤める精神病院に匿われたミナは、ドラキュラ伯爵に忠誠を誓っているレンフィールドに出会い、彼から早くここから逃げるようにと忠告を受ける。 【ドラキュラ 第10段落】 緑色の煙となって精神病院に現れたドラキュラ伯爵は、自分を裏切ってミナに忠告を与えたレンフィールドを殺す。そして、ベッドで眠るミナのもとに忍び込んでくる。ドラキュラ伯爵の正体を知ったミナは、ルーシーを殺したと彼を打つが、それでも愛していると抱きしめる。そんなミナに自分と同じ永遠の命を与えようとする伯爵だったが、愛する人を呪われたものには出来ないと思いとどまろうとする。しかし、ミナの思いは止められず、伯爵の胸から血を飲むのだった。ちょうどそこへヘルシング教授達が戻ってくる。ドラキュラ伯爵は、沢山の鼠となって姿を消す。 【ドラキュラ 第11段落】 ヘルシング教授はドラキュラ伯爵の花嫁となったミナに催眠術をかけ、伯爵が海路で故郷に戻っているのを知る。海は伯爵が嵐をおこしているため、ヘルシング教授一行は陸路でトランシルヴァニアへと向かう。・・・ ▲TOPへ ◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say ! 【ドラキュラ 第12段落】 先回りをしてドラキュラ城で過ごすミナとヘルシング教授のところに、三人の女吸血鬼が現れ、ミナがヘルシング教授を誘惑するように惑わせる。しかし、意志の強いヘルシング教授は誘惑を振り切り、朝になると城の中で眠っている女吸血鬼たちの首をはねる。夕日が沈む頃、ジプシー達が馬車で運ぶ、箱に入ったドラキュラ伯爵を、ジョナサン、セワード医師、ホルムウッド卿、クインシーが猛スピードで馬に乗って追いかけ、銃で撃つ。ドラキュラ伯爵の危機を知ったミナは、吹雪を起こしてジョナサンたちの邪魔をしようとする。日没ぎりぎりに城に到着し、伯爵を運んできたジプシー達とジョナサンたちは戦う。ジョナサンは伯爵の入った箱を開け、伯爵の首を傷つけ、瀕死の傷を負ったクインシーが伯爵の胸を銀の剣で刺す。そこへ銃を持ったミナが伯爵の前に立ちはだかる。私の胸を刺すことができるのかと言うミナに、ジョナサンはミナに任せると言う。ミナは城の教会の中へ伯爵と一緒に入っていく。 【ドラキュラ 第13段落】 ミナのおかげで心に愛を取り戻すことができた伯爵の顔に、十字架からの光があたり、獣の顔から若返った顔に戻る。そして伯爵は自分に安らぎを与えるようにミナに告げる。ミナは愛するドラキュラ伯爵の求めに応じ、胸に刺さった剣をより深く突き刺す。天井を見ながら永遠の眠りにつこうとする伯爵の顔は至福の喜びに満ちている。ミナは伯爵に最後のキスをしてから、覚悟を決め、彼の首を切り落とすのだった。ミナがふと見上げた教会の天井には、ヴラドとエリザベータの睦まじい姿が描かれている。 ▲TOPへ 【映画『 ドラキュラ 』の感想】 【映画『 ドラキュラ 』の感想 第01段落】 私はこの映画を劇場で観ていたが、この文章を書くにあたり、もう一度ビデオで見直した。劇場で観たラストシーンがビデオでは無いような気がするのだが、気のせいだろうか。たまに夢と現実の区別がつかなくなることがあるので、気のせいである確率が高い。私の気のせいのラストシーンとは、教会から出てきたミナがジョナサンのもとに戻って行くというものだった。当時この映画を見た私は、エリザベータの生まれ変わりであるミナと出会うために、時を越えて苦労をしてきたドラキュラ伯爵と一緒に死なないミナに怒っていたので、そんな幻想を抱いているのだと思う。 【映画『 ドラキュラ 』の感想 第02段落】 キリスト教に詳しくないのでよく分からないけれども、キリスト教の死生観からすれば、輪廻転生はないはずなので、ミナがエリザベータの生まれ変わりとして生を受けているのは、エリザベータの魂が自殺によって彷徨っているからなのだろうか。そうなのだとすれば、またドラキュラ伯爵を追ってミナが自殺すればまた魂が彷徨う事となり、二人の魂が一緒になることがなくなってしまう。でも、ラストでミナが死なないと、私の幻想のようにミナはジョナサンと再び一緒になるだろう。そうなるとミナ=エリザベータの魂の最愛の人はジョナサンになってしまう。それじゃあ、ドラキュラ伯爵はどうなるの?その辺りが不満だが、アガペー[キリスト教における愛]はエロス[@自分に欠けたものを求める衝動としての愛 A性愛]を超越しているということか。 ▲TOPへ 【映画『 ドラキュラ 』の感想 第03段落 ワラキア公ヴラド三世】 ドラキュラ伯爵のモデルは、ワラキア公ヴラド三世である。彼は「ヴラド串刺し公」の名でも有名で、トルコで罰を与えるときに使われた「パラ[尖った杭]」という道具を、断末魔の苦しみが続くように進歩させ、直腸から口まで押し込んだ。この方法で、一度の遠征で、 2万 3883 人の囚人を串刺しにしたと伝えられている。国内では、ワラキア貴族を大量虐殺し、城の窓の下に立つ杭に串刺しにした。少年の頃、彼は十字軍派兵のさなかに人質としてオスマン・トルコのスルタンの宮廷に送り込まれた。このときに受けた性的虐待が、彼が妄想に取り付かれるようになった原因ではないかと言われている。後にハンガリー王に捕らえられ、幽閉されたことをきっかけに、彼の悪行をドイツ語で記した「ドラキュラ物語[Geschichte Dracole Wayade]」と題した本が出版される。この本がドラキュラ文学のもとである。残虐な面ばかり強調されているヴラド三世であるが、シギショアラの生地やブラン城などはルーマニアの観光地となっており、在日ルーマニア大使のホームページでは、偉大な支配者として名前が挙げられている。 ▲TOPへ 【映画『 ドラキュラ 』の感想 第04段落 ブラム・ストーカー】 この映画『 ドラキュラ 』の原作者であるブラム・ストーカーは 1847 年、アイルランドのダブリンで生まれた。彼はオスカー・ワイルド、アーサー・コナン・ドイル、アルフレッド・ロード・テニソンのような人物が加わるロンドンの文学サークルの一員であった。 1897 年に彼が完成させ出版した「ドラキュラ」は、すぐに大人気となり、彼の代表作となる。現在にいたるまで数え切れない映画や文学に刺激を与え続けている。 【映画『 ドラキュラ 』の感想 第05段落】 ヘルシング教授が大学で「文明[シビライゼーション]と梅毒[シフィライゼーション]は手を取り合って進歩したのだ」と講義しているように、性の魅惑が底流として流れていた西ヨーロッパ。大英帝国の繁栄に沸くヴィクトリア朝ロンドンでは、この傾向はより強かっただろう。「ドラキュラ」出版の約 10 年前には、切り裂きジャックの猟奇殺人が起こっている。ブラム・ストーカーは芽生えてきた退廃的な社会風潮に警鐘を鳴らすためにこの作品を書いたのではなかろうか。ミナとルーシーの対照的な二人の女性の行く末がそれを暗示していると思う。良識のある女教師であるミナは、この作品のヒロインであり、純粋無垢、キリスト教信仰を体現する人物として原作では描かれているらしい。映画でも、性の欲望に打ち克ってジョナサンとの結婚を選んだミナは、最後まで生き残る。それに対して貴族の娘ルーシーは、純真ではあるが、三人の男たちを手玉に取ろうとするような奔放な性質も持ち合わせている。映画の中で、ヘルシング教授が言っていたように、彼女は望んでドラキュラ伯爵を受け入れたのだ。そして身を滅ぼしてしまう。多くの童話がそうであるように、この「ドラキュラ」も女性は身を清くしておかねばならないと言う教訓話ではないだろうかと思うのだ。 【映画『 ドラキュラ 』の感想 第06段落】 しかし、映画『 ドラキュラ 』は原作よりももっとエロスに重きを置いた作品だと思う。実際、原作では出番の少ないドラキュラ伯爵らしいが、映画では露出が多く、ゲイリー・オールドマンが愛する人と再び出会うために神に背いてまでも 400 年もの間時を彷徨ってきたドラキュラ伯爵を切々と演じるおかげで、悪の化身でもありエロスの化身でもあるのだが、すっかり伯爵の味方となってしまうのだ。 【映画『 ドラキュラ 』の感想 第07段落】 ラストのドラキュラ伯爵の衣裳がウィーンの画家グスタフ・クリムト( 1862 − 1918 )の「接吻」に描かれているものに似ている。フランシス・フォード・コッポラ監督が「様式美を熟知したアーティスト」と絶賛する石岡瑛子が、華麗な装飾に執着を見せたクリムトからインスピレーションを受けるのは、自然なことだと思う。また、ビザンティンのモザイクや日本の版画や陶磁器などに影響を受けたというクリムト的な衣裳は、当時西洋と東洋の狭間にあったキリスト教国であるワラキアの王にぴったりで、エロティシズム・生命の輪廻・誕生と死・女性の力と性的魅力といったクリムトの芸術のテーマは、妻への愛のために時空を彷徨うことになった伯爵の最期にもぴったりである。クリムトの「接吻」では、女性の衣裳に見られる渦巻きは女性器を暗示していて、男性の衣裳の垂直の文様は、二人の性的結合の象徴であるらしい。ドラキュラ伯爵の衣裳に見られる渦巻きと垂直の文様は、伯爵とエリザベータの魂の結合を意味しているのだろうか。 以上。 <もっと詳しく>からスペースを含まず6110文字/文責:幸田幸 参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集 http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm IMDb allcinema ONLINE Nostalgia.com CinemaClock.com Spark Notes Doracula ノーマン・デイヴィス(著)「ヨーロッパ・中世」 The Great Artist 20 クリムト |
|
■映画『 ドラキュラ (1992) BRAM STOKER'S DRACULA
』の更新記録 2002/08/23新規: ファイル作成 2004/07/14更新: ◆テキスト一部とリンクおよびファイル書式 2005/03/18更新: ◆一部テキスト追記と書式変更 2005/04/30更新: ◆データ追加 |
|
▲TOPへ | |
幸田 幸 coda_sati@hotmail.com |
「映画の森てんこ森」へ | 「旅行の森てんこ森」へ | |||||||
映画解説・レヴュータイトル一覧表
|
幸のイタリア各都市情報へ 136x70 |
|||||||
本サイトの作文、データ及び画像などのコンテンツの無断転用はお控え下さい。 貴サイトへの御掲載についてはメールにてお知らせ頂ければ幸いです。 |
||||||||
© 2002-2005 Sachi CODA at Eigano-Mori Tenko-Mori, CODA21. All Rights Reserved. |