イン・ザ・ベッドルーム | |||||
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イン・ザ・ベッドルーム (2001) | |||||
IN THE BEDROOM | |||||
イン・ザ・ベッドルーム
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■『 イン・ザ・ベッドルーム 』のデータ 上映時間:130分 製作国:アメリカ 公開情報:UIP アメリカ初公開年月:2001 月1月19日 日本初公開年月:2002 月8月3日 ジャンル:ドラマ 【解説】 映画『 イン・ザ・ベッドルーム (2001) IN THE BEDROOM 』は、「イン・ザ・ベッドルーム」というタイトルから、男女の激しいロマンスかと思ったら大違い。『 イン・ザ・ベッドルーム 』は、ひとり息子を殺された両親の深い悲しみと怒りが、真綿で首を締めるように観る者に迫ってくる秀作だ。 『 イン・ザ・ベッドルーム 』の中年夫婦役には、「フル・モンティ」「パトリオット」「恋におちたシェイクスピア」のトム・ウィルキンソンと、「歌え!ロレッタ愛のために」「ロンリー・ハート」のシシー・スペイセクがやるせなく苦悩に満ちた両親を演じる。シシー・スペイセクは 2001 年ゴールデン・グローブ女優賞(ドラマ)を受賞。『 イン・ザ・ベッドルーム 』で子連れの女性と恋に落ちる大学生の息子役は「顔のない天使」子役で「ターミネーター3」にも出ているニック・スタール。息子の相手役は「いとこのビニー」「恋する遺伝子」のマリサ・トメイ。その夫役は「M:I-2」「マグノリア」のウィリアム・マポーザー。『 イン・ザ・ベッドルーム 』は配役が上手で、これが現実だったらどうしようと思うほどだが、最後が救いというか逆か…。 |
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●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。 | |||||
【スタッフとキャスト】 | |||||
監督: トッド・フィールド Todd Field 製作: グレアム・リーダー Graham Leader ロス・カッツ Ross Katz トッド・フィールド Todd Field 製作総指揮: テッド・ホープ Ted Hope ジョン・ペノッティ John Penotti 原作: アンドレ・デュバス Andre Dubus 脚本: ロバート・フェスティンガー Robert Festinger トッド・フィールド Todd Field 撮影: アントニオ・カルヴァッシュ Antonio Calvache 音楽: トーマス・ニューマン Thomas Newman 出演: トム・ウィルキンソン Tom Wilkinson マット・ファウラー シシー・スペイセク Sissy Spacek ルース・ファウラー ニック・スタール Nick Stahl フランク・ファウラー マリサ・トメイ Marisa Tomei ナタリー・ストラウト ウィリアム・メイポーザー William Mapother リチャード・ストラウト ウィリアム・ワイズ William Wise ウィリス・グリティ セリア・ウェストン Celia Weston ケイティ・グリティ テリー・A・バージェス Terry A. Burgess 法律代理人 |
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<もっと詳しく> | |||||
ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。 |
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■映画『 イン・ザ・ベッドルーム 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー 私は日本公開前に字幕スーパーなしの英語で観たので、わかる範囲でレヴューします。映画データについては調査した時点と公開される時点で異なる場合があります。本作の内容については、語学力と経験・常識不足のため、間違いや勘違いや適切でない表現があるかもしれません。どうかご理解賜りますようお願いいたします。また、リンクやメールをいただく場合はここを必ずお読みくださいますように。 ▲TOPへ 若い男と女性が潮風の吹き渡る草原で愛し合っている。ここはアメリカ東海岸ニューイングランド、メイン州のカムデンという漁業の町。ベビーフェイスがまだ残る男はフランク・ファウラー(ニック・スタール)。設計関係専攻の大学生で、夏休みに帰省している。女性の方は、既婚で小さな男の子が二人いるナタリー・ストラウト(マリサ・トメイ)。彼女には暴力夫リチャード(ウィリアム・メイポーザー)がいて、離婚したくてもさせてくれない。別居しているが、時々様子を見に来る。 フランクの父マット・ファウラー(トム・ウィルキンソン)は開業医をしている、皆から信頼され落ち着いて風格ある中年男。母ルース(シシー・スペイセク)は教会の少女合唱団の指導者をしている。細めで神経質そうな感じ。夫婦は仲がよく、いまだにベッドルームで抱き合う。ひとり息子フランクは目を細めて愛しく思う存在だ。二十歳そこそこの息子が、よりによって離婚待ちで子供のいる女と夢中だなんて、大丈夫かしら、という思いの母。父は、息子の思う通りにさせてやったら、という見守り派。 女性の前夫、というか、離婚してくれない夫リチャードは、ストラウト水産工場を営んでいて、この地で水揚げされる魚の加工業をしている。大学生フランクは、帰省中のアルバイトはやはり漁船関係だ。父の休日には、愛するナタリーの長男ジェーソンも連れて、海老(ロブスター)の捕獲を一緒にさせてみる。まるで、一家のようだ。父もおじいちゃんになったような、まんざらでもない様子。このロブスターのハサミをくくる作業のとき、海老にとっての罠"イン・ザ・ベッドルーム"が会話に出てくる。先ずタイトルの言葉が聞かれた! ファウラー家の庭で今日はガーデン・パーティ。夫妻の友達やその家族が思い思いに語り、食べて、楽しんでいる。息子の付き合い始めた女性ナタリーが子供達ジェーソンとダンカンを連れて来ているのを見て、父マットは若いのはいいことだなァと友人と口にしている。今日はナタリーの次男ダンカンの誕生日でもある。母ルースは台所で忙しくして、ナタリーが手伝うのをまぁ自然に受け入れている。でも、夫とは、子連れのあんな人でいいのかしらねぇ、まだ離婚もしていないのよ、と内心は穏やかでない。そこにナタリーの夫リチャードが現れ、子供をあやすが、ナタリーは気が気でない。彼は短気で暴力をふるうタチなのだ。若いフランクは、一応いっぱしの男ぶって、リチャードにパーティにいてくれていいですよ、なんて言ってはいるが、三十男のリチャードから見たら、ガキだ。 医師のマットが昼食時に自宅に寄ってみると、フランクは2階のベッドルームから出てきて、髪の毛と服をつくろいながらナタリーが出てきた。二人はお熱い仲のよう。父マットは若い二人の情熱に、しょうがないな、という感じ。そして、三人で昼食をとる。心配ながら、応援している感じの父だ。後で妻に、彼女は素晴らしい女性だよ、と語る。一方、別の日、ナタリーの子供達が出場している草野球?の練習試合を見ているフランクと両親。母ルースは、どう、うまくやれているの?とフランクに尋ねる。息子が心配でたまらない母親の顔だ。 ナタリーの家では、夫がたまに訪ねて来てはナタリーと口論になる。俺の家も、子供もお前はとった。それによその男とヤッテいるじゃないか。こう喧嘩ごしにどなるリチャードを、子供達が帰ってくる前に出ていって、と懇願するナタリー。時間が経って、ナタリーの家を訪れているフランクは、家の設計図をナタリーに見せて将来の夢を伝える。大学で設計を専攻しているから専門なのだ。僕達のベッドルームがここで、こっちが子供達のベッドルーム…。それを聞いてナタリーは感激するのだ。幸福感に包まれて笑い合う二人。そこに突然、リチャードがやって来る…。 教会の少女合唱団の指導をしている熱心な母ルース。休憩時間に自宅に戻ると、夫が息子の顔の負傷の手当てをしているではないか。フランクはリチャードに殴られ、顔を数針縫うほどのひどい彼我をさせられたのだ。心配して警察を呼ぼうとする母に、フランクは子供達が怖がるからやめてと言い、夫も警察沙汰になることに積極的でもなさそうなので、結局そのままになった。夜、息子が設計図を書いていると、母は、あの女性のことなんだけど…と話しかけようとするが、フランクは、今、その話はしたくないよ、と母を避ける。 ある日、ナタリーの家の中は夫に滅茶苦茶にされ、ナタリーからフランクに泣いて電話がかかってきた。警察を呼ぼうとするフランクに、彼女は呼ばなくていいと言って泣いている。そこに突然、「ダディが来た!」と、子供達の悲鳴。フランクはナタリーと子供達を安全のためにニ階の部屋に行かせ、一人応対する。ドアを激しく叩く音。帰ってくださいと言っても、勝手口からどしどし入って来られてしまった。そこからはリチャードのペース。勢いに押されるフランク。口論の後、ピストルの音。降りてくるナタリー。右目を撃ちぬかれて無残に横たわるフランク。そばには勝ち誇った顔のリチャード。 葬式が行なわれる。埋葬のとき、親族の陰で後ろめたそうに小さくなっているナタリーが見える。打ち沈む両親マックとルース。父は葬式の後、息子のベッドルームに入って、枕や愛用品を手にして、初めて泣き崩れる。母はそれ以来、放心状態。TVを無意味にかけ続け、あんなに熱心だった合唱団の仕事も休み、無口で暗い生ける屍となっている。タバコまでプカプカ吹かして人が変わったようだ。夫婦の会話はなくなり、笑顔は完全に消えうせた。何か話してもお互いを傷つけ合うだけだった。 被告リチャード・ストラウトの裁判が行なわれている。証人に立ったナタリーに弁護士の容赦ない尋問が突きつけられる。ナタリーは、あの射殺のとき、ピストルの音が聞こえて階段を降りてきたのだ。だから、射殺現場を「目撃」したわけではない。そこを突っ込まれてしまった。どうなんですか、と強く尋問されて、ピストルの音が聞こえたあと階段を降りてきた事を認めざるをえなかった。失望の表情の亡きフランクの両親。このため、被告リチャードは格闘して暴発したという事で軽い刑になる。事故扱いで刑の軽いのが我慢できない父は、法律代理人(テリー・A・バージェス)に掛け合うが、そんなもんですよ、どうしようもないですよ、という答えに、法律の厚い壁と冷酷さを感じ、怒りを胸にためこむ。 心の空洞を感じている父マットは、店員として働いているナタリーの顔を見に行く。ナタリーは裁判での自分の証言を気にしているようで、ウソはつかなかったんです、と苦しげに話す。マットは、わかっているよ、子供達は元気かね、と言ってナタリーを責めることはしない。でも二人は後味悪そうに短い会話を終える。 家にはいられない。憂鬱と底無しの苦悶が立ちこめるだけだ。そんな時、週末に友人のウィリスとケイティのグリティ夫妻(ウィリアム・ワイズとセリア・ウェストン)に彼らの山荘にキャンプに誘われる。 350 エーカーあり、湖に面したいい場所だ。ルースはケイティの孫の人数が話題に乗ってから余計に感傷的になって、かえってケイティの方が泣いてしまう。とにかく周囲の方も相当に気を遣ってあげている。 夫は夫で、ロブスターをとりながら、息子達と一緒に楽しくやっていたことを思い出して感傷に浸っている。ナタリーの長男ジェーソンが通りかかるが、ジェーソンも子供ながら気まずそうに去っていく。あぁ、何もかも前と違う。息子はもういないのだ。なのに犯人は野放しだ。マットはまた法律代理人に会いに行って、何とかならないものか必死に頼み込むが、格闘になった結果だから、どうしようもない、じっとしておくしかないですね、と言われる。ズボンのポケットの小銭を触る相手の音がヤケに大きく耳障りに聞こえ、マットは怒りが頂点に達する。それからは、ストラウス水産工場の外で見張っては、リチャードの兄弟の様子を覗ったり、従業員に会って、事件について口走るのを聞いたことはないか等調べ始める。 墓地に一人で参っている母ルース。また、街で買い物中に、リチャードらしき男が女連れで歩いているのを見かける。気のせいかしら。でも、のほほんと野放しに生きているあの男…。教会の合唱団のデスクワークをしている時に、ナタリーがルースに会いに来た。お会いしたかった、非常に申し訳なく思っていますという旨を、小さくなってルースに伝える。この返事はルースの強烈な平手打ちだった。父と母の悲しみの表現はこうも違うのだなと胸に訴えてくる。また買い物中にルースはリチャードを目撃して、イライラは募るばかりだ。不機嫌きわまりない妻に、夫マットは同じく不機嫌に声を荒くして、家では二人の葛藤の溝は深まるばかり。妻は夫に「あなたがいけないのよ。フランクに勇気付けたりするから。」夫は妻に「お前が干渉しすぎるからフランクはお前から遠ざかりたかったんだ。お前のやったことは全部間違っていたんだ。」と言い合って、責任をお互いに擦り付け合う。 とにかく、この映画はタイトルの通りに、ベッドルームのシーンが多いのだ。二人は口論のあと、仲直りをして固く抱き合って慰め合う。妻が最近こんなにも挑戦的で機嫌が悪い理由がわかったからだ。リチャードを町で見かけたから腹立たしさでまいっているのだと。この日から、二人は俄然、前向きになる。ヨットハーバーに臨む公園で、妻は生き生きと女子合唱団の指揮をしている。夫は、友人ウィリスのガレージに行って、ウィリスと何か打ち合わせしている。そして、夜更け、リチャードが仕事を終えて出て来るのを待ち伏せする。 マットは拳銃をリチャードに突き付けて脅し、彼の車のリアシートに乗って、リチャードの家に向かうように指図する。ここで殺すのかな、と思ったら違う。家に着くと、スーツケースに身の回りの物を詰めさせる。妻がお前の姿を見かけて怒っているから、何をしでかすかわからん、ここから出ていった方がよい。と説明されて、リチャードは、ご心配してくれてすいません、とまで言って、二人は慌しく家を発つ。この時、マットは< ALL ABOUT AMTRAK > という全米鉄道旅客公社のパンフレットをわざと落としていく。長距離列車で夜逃げしたように見せかけるんだな。 飛行場に行って飛び発つと想像していたリチャードはだんだん不安になってきた。真っ暗な夜道を違う方向に走っているからだ。ここはルート北 73 号線、ウィリスの山荘のある広大なキャンプ場に向かっているようだ。ここで降りた二人は、ウィリスに迎えられる。と、突然、マットはリチャードを撃った。それも3発も。話と違うじゃないか、とびっくりするウィリスだが、マットは、あいつが逃げようとしたからだと言って、死体の処理を手伝わせる。 完全犯罪を成し遂げて、マットは疲れ果てて帰宅する。ベッドルームで待ちうけていた妻は、済んだの?とひとこと言って、タバコを吹かし、案外以前より強く逞しく余裕たっぷり。夫は一言も発せず、ベッドに顔を隠して横たわる。恐らく眉間にしわを寄せて、疲労と緊張の糸が切れた感触と殺人の悪夢にどうしようもない苦悩を抱え込んでいるのだろう。これからマットは一生、殺人の荷を負っていかねばならない。息子を殺された悲しみと引き換えの一生の重荷。 こうしてストーリーをおさらいしていって、タイトルの「イン・ザ・ベッドルーム」が象徴するものが見えてきた。若い恋人達の甘い巣のベッドルーム、主をなくしたベッドルーム、将来の設計図のベッドルーム、中年夫婦の温室のようなベッドルーム、悲しみが形を変えて口論の場となるベッドルーム、そして、一生逃れられない罪の思いを噛み締めるベッドルーム。 なお、いくら登録制とはいっても拳銃の所持が認められているアメリカならでの出来事とも言えるだろう。リチャードが拳銃を持っていたからフランクは殺された。そしてマットが拳銃を持っていたからリチャードが殺される。堂堂巡りだ。この映画の<目には目を>の精神がアメリカで喝采を浴びたら、それは危険。未開文明のリンチと同じになってしまう。最後のベッドルームでトム・ウィルキンソンが頭を抱え込んでベッドに沈む姿を真に受けとめなければならない。また、ナタリーはまだ離婚をしていない身なのだから、彼女も、またフランクも、深い関係になることは間違いだったと思うけど…。どうしようもない純愛を伝えたかったのかもしれないが、これはもっと非難されてもいいことでは?ともかく、事件にしろ事故にしろ、子供に死なれた親の悲しみと夫婦間の葛藤がよくわかる作品だ。 アンドレ・デュバスの原作のタイトルは< KILLINGS >というそうだ。だから、この映画はドラマでありながら、サスペンスのムードが漂っている。音楽は「エリン・ブロコビッチ」「アメリカン・ビューティー」「グリーンマイル」「ショーシャンクの空に」「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」のトーマス・ニューマン。トム・ウィルキンソンが主演男優、シシー・スペイセクが主演女優、マリサ・トメイが助演女優、及び作品、脚色の5部門のアカデミー賞をノミネートされた。 以上。 <もっと詳しく>からスペースを含まず5406文字/文責:幸田幸 参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集 http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm IMDb allcinema ONLINE Nostalgia.com CinemaClock.com イン・ザ・ベッドルーム公式サイト |
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2002/07/22新規: ファイル作成 2005/10/06更新: ◆追記 |
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