MON−ZEN [もんぜん] | |||||||||||||||||||||||||||
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映画の森てんこ森■映画レヴュー | |||||||||||||||||||||||||||
MON−ZEN [もんぜん] (1999) | |||||||||||||||||||||||||||
ENLIGHTENMENT GUARANTEED | |||||||||||||||||||||||||||
映画『 MON−ZEN [もんぜん] (1999)
ERLEUCHTUNG GARANTIERT (原題) / ENLIGHTENMENT
GUARANTEED (英題) 』をレヴュー紹介します。 映画『 MON−ZEN [もんぜん] 』を以下に目次的に紹介する。 ■映画『 MON−ZEN [もんぜん] 』のポスター、予告編および映画データ ■映画『 MON−ZEN [もんぜん] 』の解説 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。 ■映画『 MON−ZEN [もんぜん] 』のあらすじ ■映画『 MON−ZEN [もんぜん] 』のトリビア ■映画『 MON−ZEN [もんぜん] 』のスタッフとキャスト ■映画『 MON−ZEN [もんぜん] 』の<もっと詳しく> <もっと詳しく>は映画『 MON−ZEN [もんぜん] 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 MON−ZEN [もんぜん] (1999) ERLEUCHTUNG GARANTIERT (原題) / ENLIGHTENMENT GUARANTEED (英題) 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。 ■映画『 MON−ZEN [もんぜん] 』の結末 ■映画『 MON−ZEN [もんぜん] 』関連エッセイ「異文化コミュニケーション」 ■映画『 MON−ZEN [もんぜん] 』の更新記録 >>「映画解説・レヴュータイトル一覧表」へ(画面の切り替え) |
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幸の鑑賞評価: 8つ星 | |||||||||||||||||||||||||||
■映画『 MON−ZEN [もんぜん] 』のポスター、予告編および映画データ | |||||||||||||||||||||||||||
MON−ZEN [もんぜん] ポスターはKINOPOLIS より使わせて頂いてます。
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●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。 Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com. Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc. |
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■映画『 MON−ZEN [もんぜん] 』の解説 映画『 MON−ZEN [もんぜん] (1999) ERLEUCHTUNG GARANTIERT (原題) / ENLIGHTENMENT GUARANTEED (英題) 』は、日本を舞台に描かれるドイツ映画。日本がロケーションの映画『 ロスト・イン・トランスレーション (2003) LOST IN TRANSLATION 』が話題になっているので、何だか興味が沸いて、 TSUTAYA レンタルしてみた。監督は、『 メン (1985) MANNER (原題) / MEN (英題) 』『 愛され作戦 (1994) KEINER LIEBT MICH (原題) / NOBODY LOVES ME (米題) 』『 アム・アイ・ビューティフル? (1998) BIN ICH SCHON? (原題) / AM I BEAUTIFUL? (英題) 』など、本国ドイツでは多作で人気のある女性監督のドーリス・デリエ監督。デジタル・カメラで撮影したという映像は、映画っぽくないけど、それもまたこの映画『 MON−ZEN [もんぜん] (1999) ERLEUCHTUNG GARANTIERT (原題) / ENLIGHTENMENT GUARANTEED (英題) 』の味になっている。 ▲TOPへ ■映画『 MON−ZEN [もんぜん 』のあらすじ 妻と子供に去られた、キッチン・セールスマンのウーヴェ(ウーヴェ・オクセンネヒト)は、風水コンサルタントの弟グスタフ(グスタフ=ペーター・ヴェーラー)に泣きついた。グスタフは、予てから計画していた日本の石川県總持寺での禅寺修行を実行しようとしているところ。ウーヴェはグスタフに付いて行く事に…。果たして二人に”悟り ERLEUCHTUNG / ENLIGHTENMENT ”は”保証されている GARANTIERT / GUARANTEED ”? ▲TOPへ ■映画『 MON−ZEN [もんぜん] 』のトリビア 「映画の森てんこ森」には、現在( 2005/03/02 )以下のドイツの映画の紹介をしています。 『 ショコラーデ (1998) MESCHUGGE (原題) / THE GIRAFFE (英題) 』 『 プリンセス&ウォーリアー (2000) DER KRIEGER UND DIE KAISERIN (原題) / THE PRINCESS AND THE WARRIOR (米題) 』 『 官能 (2001) IN DEN TAG HINEIN (原題) / THE DAYS BETWEEN (英題) 』 『 9000マイルの約束 (2001) SO WEIT DIE FUBE TRAGEN (原題) / AS FAR AS MY FEET WILL CARRY ME (英題) 』 『 エーミールと探偵たち (2001) EMIL UND DIE DETEKTIVE (原題) / EMIL AND THE DETECTIVES (英題) 』 『 アナトミー2 (2003) ANATOMIE 2 (原題) / ANATOMY 2 (英題) 』 『 グッバイ、レーニン! (2003) GOOD BYE, LENIN! 』 『 ベルンの奇跡 (2003) DAS WUNDER VON BERN (原題) / THE MIRACLE OF BERN (英題) 』 『 青い棘 (2004) WAS NUTZT DIE LIEBE IN GEDANKEN (独題) / LOVE IN THOUGHTS (英題) 』 『 0:34 レイジ34フン (2004) CREEP 』 『 ヒトラー 最期の12日間 (2004) DER UNTERGANG (原題) / THE DOWNFALL (英題) 』 『 ベルリン、僕らの革命 (2004) DIE FETTEN JAHRE SIND VORBEI (独題) / THE EDUKATORS (欧米題) 』 |
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【『 MON−ZEN [もんぜん] 』のスタッフとキャスト】 | |||||||||||||||||||||||||||
監督: ドーリス・デリエ Doris Dorrie (Directed
by) 製作: フランツ・X・ゲルンストゥル Franz X. Gernstl (producer) 製作総指揮: ルイ・ザウル Louis Saul (executive producer) 脚本: ドーリス・デリエ Doris Dorrie (Writing credits) 脚本協力: ルート・シュタードラー Ruth Stadler (Writing credits) 撮影: ハンス・カール・フー Hans Karl Hu (Cinematography by) 編集: イネス・レニエ Inez Regnier (Film Editing by) アルネ・シンウェル Arne Sinnwell (Film Editing by) 音楽: ゾルヴァイク・ボーレス Solweig Bores (sound designer) 出演: ウーヴェ・オクセンネヒト Uwe Ochsenknecht as Uwe ウーヴェ グスタフ=ペーター・ヴェーラー Gustav-Peter Wohler as Gustav グスタフ ペトラ・ツィーザー Petra Zieser as Petra ペトラ ウルリーケ・クリーナー Ulrike Kriener as Ulrike ウルリーケ アニカ・ドブラ Anica Dobra as Anica アニカ イマゼキ Imaseki as Sumo-Ringer 相撲取り ▲TOPへ |
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<もっと詳しく> | |||||||||||||||||||||||||||
ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。 |
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■映画『 MON−ZEN [もんぜん] (1999)
ERLEUCHTUNG GARANTIERT (原題) / ENLIGHTENMENT
GUARANTEED (英題) 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー 【MON−ZEN [もんぜん] 第01段落】 雪の中を、提燈を持って歩く、微笑ましいウーヴェの家族。そんな良い時もあったのに…。 ウーヴェの家族は子沢山。『 パリの確率 (1999) PEUT-ETRE 』のレヴューを書いた時に、先進各国の出生率を調べたことがあったが、その中でも特に数値の低かったドイツで、4人も子供がいるなんてスゴイ。なのにウーヴェは、3人の幼い腕白息子と赤ん坊の世話を妻ペトラ(ペトラ・ツィーザー)に押し付けている上に、妻のことを労(いた)わることもない。騒ぎ立てている息子たちを妻に任せて、一人ジョギングへと出かける。雪の積もる墓場には、ダンボールの中に寝るホームレスがいる。 【MON−ZEN [もんぜん] 第02段落】 いつものように子供が床にこぼした牛乳を拭くペトラ。彼女のことを手伝うこともなく、ウーヴェはヴィデオ・カメラで赤ん坊を撮影しながら彼女に酷い事を言う。「経験から学ぶものだ。それが人間と動物の違いだ。」この一言がペトラを決断させた。 【MON−ZEN [もんぜん] 第03段落】 ウーヴェの弟、グスタフ(グスタフ=ペーター・ヴェーラー)は、立派な体格の兄とは違って、ドイツ人にしては背が低く、メガネをかけた小太り男。風水コンサルタントを職業にしている彼は、モノトーンのシックな感じの部屋に室内噴水を置き、今朝も座禅を組んで瞑想している。その後ろでは妻のウルリーケ(ウルリーケ・クリーナー)が噴水のお蔭でこぼれた水を拭いている。二人には子供がいない。 【MON−ZEN [もんぜん] 第04段落】 グスタフは仕事で、ある男の部屋を訪ねた。その男は、ゲイのカップルの女性の役割を果たしている方で、横暴なパートナーとの関係に悩んでいるようだ。グスタフは、彼から誘惑の視線を感じながら、方位盤を観て、風水のアドヴァイスをする。 【MON−ZEN [もんぜん] 第05段落】 一方、ウーヴェは台所の販売員。仕事を終え、アパート(日本と違って広い)に戻ったウーヴェだが、ペトラと子供たちがいない!台所の床の置手紙を読み、ウーヴェは状況を知った。その頃、グスタフは、ウルリーケに手伝ってもらいながら、日本への旅支度をしていた。禅に心の慰めを見出しているグスタフは、石川県鳳至郡門前町にある曹洞宗大本山総持寺祖院で修行を体験するのだ。やっと夢が叶う喜びにウキウキのグスタフに、疎遠だった兄ウーヴェから電話がかかってくる。 【MON−ZEN [もんぜん] 第06段落】 ウーヴェはあんなにペトラにつらく当たっておきながら、涙でボロボロ。グスタフのアパートに転がり込んで、夜遅くまでお酒におぼれて泣きまくる。グスタフが作った枯山水のミニチュアの庭を灰皿と間違うくらい、禅になど全く興味がないウーヴェだが、一緒に日本へ連れて行ってくれと弟に泣きついた。 【MON−ZEN [もんぜん] 第07段落】 翌朝、空港に向かう電車の中、ウーヴェは酒の話のことだったのにと日本行きにブツクサ。しかし、もうグスタフが兄の分の航空券まで用意してしまっているのだから、行くしかない。「中国のどこ?」と訊くウーヴェに、「日本だよ!」とイライラして答えるグスタフ。東京に一泊してから、石川県の門前町にある総持寺に向かうのだが、何故かグスタフは目的地を” MONZEN (門前)”としか言わない。門前という地名は、日本に山ほどあるのに、大丈夫? 5年前に東京のデパートで迷子になったことがあるというグスタフと、日本について全く知識のないウーヴェの珍道中は、果たしてどうなる? 【MON−ZEN [もんぜん] 第08段落】 日本へ向かう飛行機の中は、乗客も日本人だし、フライト・アテンダントも日本人。そこかしこに不思議な日本語の表示がある。グスタフは禅の本を読み、そこに書かれている小話をウーヴェに話す。また、ウーヴェは、トイレの中にこもって、ビデオ・カメラで自分自身を撮影しながら真情を吐露する。ヘンなドイツ人兄弟である。 【MON−ZEN [もんぜん] 第09段落】 アジアの大都市、東京。人々は携帯電話を持ち、町は騒音で溢れ、カラスが多い。ホテルで隣同士の部屋をとった兄弟は、各部屋でそれぞれの行動を起こす。風水コンサルタントのグスタフは、まず方位磁針で方位を見て、枕の位置を整える。台所のセールスマンのウーヴェは、巻尺でベッドの長さを測る。ヘンなドイツ人兄弟である。可笑しいのは、またまたビデオ・カメラを取り出して自己撮影をするウーヴェ。縞模様の浴衣と、ホテルのスリッパが珍しいみたい。浴衣を着た自分を「縞リス」みたいだとコメント。 【MON−ZEN [もんぜん] 第10段落】 夜の東京へと繰り出そうとする兄弟。日本はパスポートや航空券をホテルの部屋に置いていても大丈夫だと、二人はその二つの貴重品を置いて外へ出た。ネオンと騒音。グスタフは迷子にならないよう、エプソン Epson とカワサキ Kawasaki のネオンをホテルの位置の目印にした。そば屋(うどん屋?)に入った二人は、上手にお箸を使って、うどん(そば?)を食べる。その間、ウーヴェは、急に出て行った妻ペトラのことを愚痴りっぱなし。「こんな嫌な日本にいて…」と、まるで異星のような東京の町も好きになれないようだ。 【MON−ZEN [もんぜん] 第11段落】 お次はバーで一杯。ウーヴェのビデオに、割っていない割り箸を鼻に挟んでおどけるグスタフが映る。お酒で気分がよくなった二人だが、お勘定にびっくり!たった5杯で 600 ドル(1ドル=約 120 円換算で 72000 円)もするのだ。おかげでウーヴェはスッテンテン!さらに災難が降りかかる。ホテルに帰ろうとすると、目印にしていたネオンが消えていて、ホテルがどこか分からない。ウーヴェとグスタフはタクシーでホテルまで帰ることに。グスタフはタクシーの女性運転手にホテルにあったという名刺を見せて行き先を示した。ところが、それはホテルの名刺ではなかった。車窓がどんどん見たこともない風景になって行くし、運転手とは言葉が通じなくてコミュニケーションできないしで、不安を感じるドイツ人兄弟。 【MON−ZEN [もんぜん] 第12段落】 ここがどこかも分からないところでタクシーを降りた二人。手元にあるお金はたった 1000 円。なんとかホテルに帰るために、グスタフが思いついた解決策は、ドイツの妻ウルリーケに電話をかけること。自分の家に置いて来た、ホテルの案内を教えてもらうためだ。グスタフは 1000 円札を小銭に替えてもらうため、道行く人に英語で頼む。親切なオジサンに両替してもらって、グスタフが公衆電話から電話をかけると、ウルリーケはなんと不倫の真っ最中。グスタフは妻がホテルの案内を探してくれていると思っているが、妻はベッドで愛人と楽しんでいる。ホテルの案内なんて見つかるわけない。 【MON−ZEN [もんぜん] 第13段落】 その電話で 1000 円も失った二人は、ATMからお金を引き出すことに。ところが、モニター画面も使用説明の音声も日本語で、二人には全く使い方が分からない。憐れ!二人のカードは、機械に吸い込まれたままに。困難に陥った自分を落ち着かせるため、グスタフは禅の本を開く。すると、ウーヴェのポケットから 300 円が出てきた。今までの損失の元を取るには、ギャンブルしかないと思ったのだろうか?ウーヴェはその 300 円でパチンコに初挑戦。もちろんうまくいくはずない。 【MON−ZEN [もんぜん] 第14段落】 「明日、ドイツ大使館で何とかしてもらおう。」と言うグスタフに、ウーヴェは「臆病者。」と詰(なじ)った。ヘトヘトになった二人は、ダンボールの中で寝ることにした。ウーヴェが背中の痛さで目覚めると、そこは墓場だった。何故か電動髭剃りを持っているグスタフは、髭をそる。 【MON−ZEN [もんぜん] 第15段落】 朝一で、東京のデパートに入った二人。店員たちの丁寧なお辞儀に、会釈を返しながら、アウトドア売り場へ。ドイツでのジョギング・コースの墓場で見たホームレスとの違いを作りたかったのだろうか、ウーヴェはテントを万引きする。 【MON−ZEN [もんぜん] 第16段落】 ウーヴェとグスタフは、人の多い渋谷のスクランブル交差点ではぐれてしまった。そんなに仲良くなくても、独りはやっぱり寂しい。ウーヴェはビデオ・カメラで異国東京を撮影。また、言葉が分からないながらも、手相を見てもらい、それもビデオに収める。盗んだテントを張り、そこで休むウーヴェ。一方、グスタフは雑踏の中で禅の本を読んで、心を落ち着かせようとする。しかし、まだまだ未熟者で、空腹を感じるグスタフは、回転寿司で食い逃げをする。駅の構内で、歌を歌っている男の人を見たグスタフは、同じようにしてお金をゲットしようと、自分も歌を歌ってみる。ドイツ語のグスタフの歌に、小銭を投げ入れたのは、やっぱり同胞の女の子アニカ(アニカ・ドブラ)。彼女は、ヨージ・ヤマモトの弟子を目指して、日本で頑張って生活をしているのだ。 【MON−ZEN [もんぜん] 第17段落】 アニカと一緒に電車に乗ったグスタフは、窓からウーヴェのテントを発見。二人は再び合流し、アニカのアパートで一晩を過ごさせてもらうことにする。不思議なことに、アニカの同棲相手は、まだ髷も結えない下っ端の相撲取り。相撲部屋で生活している、下っ端のお相撲さんって、同棲なんかできるの?電車がすぐそばを通る、アニカたちの部屋で眠りながら、今度はウーヴェが「明日は大使館へ行く。」と思わず弱音(?)を吐く。家に帰りたいと思ったウーヴェだが、グスタフの言葉に気付いた。自分には帰る家がない。 【MON−ZEN [もんぜん] 第18段落】 翌日、ウーヴェとグスタフは、アニカが勤める怪しいドイツパブでアルバイトをする。ドイツの民族衣装を着て、兄弟はお客にビールを配る。そのパブには舞台もあって、そこでドイツの民族衣装を身に着けた日本人がパフォーマンス。日本人の私でも理解できないのが、舞台の上で車のハンドルを持って、笛を吹いているオバサン。これって、ドイツ的な芸なのか?まぁ、何はともあれ、二人はお金を手にすることができた。これでやっと、 MONZEN へ行くことができる。 【MON−ZEN [もんぜん] 第19段落】 アニカに見送られ、ウーヴェとグスタフは電車に乗った。東京から石川県の MONZEN までは5回も乗換えがある。ピンチを切り抜けることができた二人は、自信が付いたのか、少し余裕が出てきたようだ。二人は共通の思い出である、亡き母親の話をした。ウーヴェがグスタフの禅の本を読むようになり、また、グスタフはウーヴェのビデオ・カメラを撮影するようになる。珍しい日本の風景を目にしながら、二人は能登半島の MONZEN へ。 【MON−ZEN [もんぜん] 第20段落】 すっかり日が落ちてから、ウーヴェとグスタフは総持寺に到着した。ここからは、普通の日本人も知らない禅寺の生活が映し出される。 【MON−ZEN [もんぜん] 第21段落】 翌朝、午前 3 時 30 分。 振鈴(しんれい):お寺の廊下を目覚ましの鈴(鐘みたい)を鳴らしながら修行僧が走る。 眠い目をこすって、ウーヴェとグスタフも起床。そして、水風呂。冬に冷たい水を被るのは、中々大変そうだ。グスタフは小太りでお腹の出た中年体型だが、ジョギングをしているウーヴェは、引き締まったなかなか良い体型をしている。 【MON−ZEN [もんぜん] 第22段落】 暁天座禅(ぎょうてんざぜん):夜明けの座禅。 曹洞宗と言えば、只管打坐(しかんたざ:悟りを求めたり想念をはたらかすことなく、ひたすら座禅すること)。警策(けいさく/きょうさく:禅宗で、座禅中の僧の眠気や気のゆるみを戒めるためなどに用いる棒。)を持った僧が後ろを歩く中、黒くて丸い座禅用の座布団に座り、ひたすら座禅を行う。グスタフはこの時点ですでに足が痛くなる。 【MON−ZEN [もんぜん] 第23段落】 午前 5 時ごろ。 朝課(ちょうか):朝のお勤め。全てが規則だって行われる儀式は、経典をパラパラさせる転読(法会において、経の題名と初・中・終の数行を読み、経巻を繰って全体を読んだことにする読み方)など、芸術的であると思った。 朝のお勤めの順序(朝課差定)は以下の通り。 荒神諷経…ご祈祷。一日の安寧を願う。 伝燈諷経…インド・中国・日本の祖師の思いに報いる。 御両尊諷経…両師さま、五院尊歴代の祖師方の思いに報いる。 祠堂諷経…本山関係・檀信徒の方々を慰霊する。 【MON−ZEN [もんぜん] 第24段落】 午前 6 時ごろ。 行鉢(ぎょうはつ):朝の食事。 白い布に包まれた食器を扱うのにも、色々と作法があり、グスタフは食事の後、その練習をする。弟のそんな様子をビデオに収めるウーヴェは、結構器用なようで、布を結ぶのも上手だ。 【MON−ZEN [もんぜん] 第25段落】 作務(さむ):掃除。 「塵もないのにどうして掃除をするんだ?」と疑問に思いながら、掃除をするウーヴェ。小太りグスタフは、床拭きが他の人のようにスムーズにできない。 と、いう風なことが繰り返され、禅寺の一日は過ぎていく。因みに、昼食は点心(てんしん)、夕食は薬石(やくせき)と言うそうだ。開枕(かいちん:就寝のこと)は午後 9 時だ。・・・ ▲TOPへ ◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say ! 【MON−ZEN [もんぜん] 第26段落】 翌日、暁天座禅の時、ウーヴェの頭にはペトラと子供たち、グスタフの頭には風水コンサルティングを行ったゲイの男性が過ぎった。禅寺での修行で、グスタフが兄に持っていた劣等感が再び蘇ってきた。ウーヴェは要領の良いタイプだが、グスタフは逆。できないことを真面目に思い悩みすぎて、失敗してしまうタイプだ。グスタフは体格もウーヴェより劣っているし、きっと長年兄への劣等感に苦しめられてきたに違いない。そして今は床拭きができないことに悩んでいる。グスタフは、こんなことは終わりにして、流れる川になりたいと思う。 【MON−ZEN [もんぜん] 第27段落】 縁側で、ウーヴェとグスタフは、修行僧たちと一緒に、差し入れの菓子パンを食べる。修行僧たちは、ドイツ人俳優に勧められ、カメラに向かって自分の名前を言う。このシーンは、映画のストーリーを越えて、現実になっていたけど、国際文化交流といった感じで微笑ましかった。この時、ウーヴェとグスタフは、「塵もないのにどうして掃除をするんだ?」という問いに対する答えを、総持寺の事務長から聞いた。掃除によって心を清めることが大切。泥足の猫が掃除したばかりの床を歩いても、それは些細なことで、また、掃除し直せばいいだけのことなのだ。ウーヴェとグスタフの心は何だか軽くなった。 【MON−ZEN [もんぜん] 第28段落】 いかにも東洋的な風景に囲まれ、ドイツ人兄弟の心は癒されていく。ここでもカラスが鳴いている。でも、東京のカラスとは鳴き声が違うようだ。カラスの鳴きまねをする弟が、兄には少し変わったように感じた。グスタフにとって、以前は”ナインナイン Nein Nein (いいえ、いいえ)”だったけど、今は” ヤーヤー Ja Ja (はい はい)”だとウーヴェはカラスっぽく鳴いてみた。ウーヴェ自身は”ソーソー So So (まぁまぁ)”になったそうだ。 【MON−ZEN [もんぜん] 第29段落】 総持寺の事務長とそれぞれ話をする二人。日本語ができないのに、どのようにして事務長の話を理解したのかと思うけど、その辺りは深く考えないことにしよう。ウーヴェは妻に捨てられ、彼女を恨まずにはいられないことを事務長に話した。事務長は言った。寝食を断って、とことん恨みなさい。そうすれば、恨みは自ずから消え、恨みからは何も生まれないことが分かる。 【MON−ZEN [もんぜん] 第30段落】 グスタフは、不安を抱くと失敗して自分を責め、失敗をなくそうと躍起になってしまうことを事務長に話した。事務長は言った。誰でも失敗する。お茶をこぼすまいとばかり考えていると、茶碗を持っていることの素晴らしさや、お茶の温かさや香りに気付かない。グスタフは、大切なのは本質で外面ではないと感じた。劣等感の塊で、誰にも愛されないと思っていたグスタフだったが、事務長の大きな愛に包まれている感覚に感動した。嬉しくなったグスタフは、ウーヴェのビデオ・カメラの前で、日本舞踊もどきをおどけて踊る。 【MON−ZEN [もんぜん] 第31段落】 グスタフは床拭きが少しできるようになった。また、二人は托鉢も経験した。ウーヴェとグスタフのドイツ人兄弟は、お寺の仲間に見送られ、平穏な気持ちで総持寺を後にする。帰りに寄った温泉はまた格別だった。 【MON−ZEN [もんぜん] 第32段落】 東京。今日も沢山の人々が行き交う大都会。二人は疑問に思った。「皆どこへ行くんだろう?」 電車の中で、吹っ切れたグスタフはウーヴェに自分がゲイであることを告白した。以前ならできなかっただろうが、ウーヴェはそんな弟を在るがままに受け入れることができた。 【MON−ZEN [もんぜん] 第33段落】 駅でラーメンを食べる二人には、禅寺の作法がしっかり身についている。また、日が落ちて、テニスコートの端に張ったテントの中では、総持寺の時間に倣って、お経を読み始めるウーヴェとグスタフの姿があった。この二人、ドイツに帰らないのかな? 以上。 <もっと詳しく>からスペースを含まず7245文字/文責:幸田幸 参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集 http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm IMDb allcinema ONLINE Nostalgia.com CinemaClock.com 「MON−ZEN [もんぜん]」日本語公式サイト 公式サイト(独版) http://www.erleuchtunggarantiert.de/林 大本山総持寺祖院 http://w2252.nsk.ne.jp/~notosoin/index.html 曹洞宗大本山總持寺 http://sojiji.jp/index.html |
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■映画『 MON−ZEN [もんぜん] 』の更新記録 2004/02/01 新規: ファイル作成 2005/03/02更新: ◆一部テキスト追記と書式変更 2005/07/02更新: ◆データ追加 |
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幸田 幸 coda_sati@hotmail.com |
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